うまく笑えない君へと捧ぐ

西友

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第二章

7

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 一人でとぼとぼと歩いていると、小さな公園を見つけた。ブランコが二つに、滑り台が一つ。ジャングルジムが一つ。そして、三人座れる真っ白なペンキで塗られたベンチが一つだけある、小さな公園。

 彰太は公園に足を向け、ブランコに腰掛けた。一翔に告白されたのも、こんな小さな公園だったなと感慨にふける。本当に告白だったのか、今ではよくわからないけれど。

(……何か、いろいろ思い出してきたな)

 一翔のことを忘れた日はない。でも、考えないようにはしていたから、懐かしいような、切ないような、そんな気持ちに包まれていた。

 都会だというのに、辺りは静まり返っている。音のない空に、白い小さな雪がちらほらふってくる。身体が芯から冷えてくる。それでも彰太は家に帰ろうとはせず、そのままぼんやり空を見上げていた。

「──風邪引くよ」

 足音と共に響いた声に、彰太の目が大きく見開かれた。ゆっくり音のした方に目線を向ける。そこには、いるはずのない人物がいた。

 夢かな。ずいぶん、リアルな。

 そんな風に本気で考え、彰太は現実感のないまま口を開いた。

「びっくりした。白沢の家、この近くなの?」

「そうじゃないけど。心配になって」

 誰が。
 思わず聞き返しそうになったが、ここには一翔の他に、一人しかいない。優しいのは相変わらずのようだ。

「少し酔いを覚ましていただけ。大丈夫だから、もう帰りなよ」

 え。
 一翔が驚いたように声を小さくあげた。

「お酒、飲めるようになったの? ジュースでも酔っていたのに」

 今度は彰太が驚く番だった。一翔の前で炭酸飲料で酔ったのは、たった一回。なのに。

「覚えてたんだ」

 確かに珍しい体質ではあるが、まさか覚えてくれているとは思わず、素直に嬉しかった。

「……覚えてるよ。忘れるわけない」

「あんまりそんな人、いないもんね。お酒は飲んでないよ。炭酸飲料もね。情けないけど、お酒の匂いだけで酔っちゃうんだ」

「……そう」

「そんなことより。あんまり遅くなると、奥さんが心配するんじゃない? 早く帰ってあげなよ」

 こんな風に会話が出来るなんて思ってもみなかった。付き合ってたころのことを覚えてくれていたなんて思わなかった。あの記憶は、嘘じゃなかったんだと実感出来たことが嬉しくて、彰太は小さく笑ってみせた。けれど一翔の表情は、硬いまま。

「──泣いた?」

 数秒の後、一翔は消え入りそうな声で言った。
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