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フルグラムを創りし者
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────1────
「持っていってくれ?」
フルグラムの管理はガラドに一任されていたようだが、話を聞くところによると、アルドンの所有物だと言う。
そこで俺はあの食事会の折、フルグラムを勝手に使った件をアルドンに相談した。
フルグラムと契約してしまった事、契約したせいでいつでも呼び出せてしまう事を。
あの時はそうするしかなかったとはいえ、他人の所有物を勝手に使ってしまった上に、自分以外には使えなくしてしまったのだ。
多額の慰謝料は覚悟せざるを得なかった。
のだが、アルドンの返答はこの通り。
返さなくても良いというものだった。
「ええ、是非持っていってください。 我々としてもその方がありがたく……」
なんでも、フルグラムを触った者や近くに居る者が、おかしくなってしまう事件が過去に多々あったのだとか。
そんな曰く付きの剣だ。
都に置いておきたくなどないのだろう。
半ば無理矢理押し付けられてしまったのである。
別にこいつを押し付けられた事自体はどうでも良い。
元々貰い受けなければならなかったのだ。
むしろ都合が良いとすら思った。
だが、こいつがどういう存在で、誰が作って、いつからあるのか、どこで手に入れたのか。
それぐらいは聞いておきたいと思った俺は、アルドンに根掘り葉掘り問い質した。
するとアルドンはこんな事を……。
「その剣がなんなのか、いつ作られたのか、何故これが我が家の家宝として封じられていたのかは定かではありません。 ですが、あれを創った方には一人だけ思い当たる人物がおります。 その者の名は……」
パンデモーナ。
原初にして最強の魔王、パンデモーナが産み出した可能性があると言った。
というよりも、これだけの剣を創れるのは悪魔を統べる王、パンデモーナしか居ないだろうという事だ。
フルグラムも悪魔だのなんだのと吠えていたし、悪魔王パンデモーナ様が産み出した可能性は非常に高い。
そんなもんがなんで俺に扱えるのかは謎すぎるが。
とまあそんなこんなあり、フルグラムの所有権は俺に譲渡された。
って事になったのだ。
正直、今となっては契約した事を後悔している。
「おおっし、目標の魔物みっけ! どう料理してやろうかしら! ソーマ、あんたはそこで見てなさいよ! あいつは私の獲物なんだから、邪魔したら許さないんだからね!」
「はいはい、なんでも良いからさっさと殺ってくれ。 はよ帰って飯食いたいんだよ、こっちは」
「なによ、ノリ悪いわね。 まっ、いいや。 あんな奴ほっといて……!」
『マスター、なにしてんだ! 嬢ちゃんに先越されちまうって! さっさと倒そうぜ、マスター! 俺様の飯が!』
そう、後悔している理由はまさにこれ。
ギャーギャーと煩いのだ、こいつ。
ラミィだけでも騒がしいのに、二人もだなんて耐え難い苦痛。
煩いのはラミィだけで十分です。
……今からでも返してこようかな。
「これで……終わり! ……よっしゃー! 真っ二つにしてやったわ! どうよ、ソーマ! この私の実力は! もうこれはあんたを越えたかもね! あーはっはっはー!」
『ぎゃああああ! 俺様の飯がああああ!』
…………はぁ。
────2────
「二人とも、お帰りー。 首尾はどうだったかな?」
「もちろん、クリアしたわよ! ぶい!」
「おおー、さっすがー。 やっぱりDランクは違うね、頼りになるよ。 じゃあ魔石出してくれるかな。 鑑定とクエスト処理するから」
ミニゴーレムの魔石、それと道中倒した魔物の魔石を渡すと、リオは鑑定用の機材に魔石を置き、鑑定を始めた。
ピコン。
「……うん、ミニゴーレム六体の討伐を確認。 お疲れ様、二人とも。 これでクエスト完了だよ。 はい、報酬金」
ドサッと置かれた袋からジャリジャリ音が鳴る。
流石はDランククエストだ。
実入りが良い。
「リア、ほら」
袋から取り出した銀貨を俺はリアに投げ渡す。
「これで借金はチャラだよな」
「はい、これで全額返して貰いました! ありがとうございます、ソーマさん!」
ふぅ、これでやっと借金生活ともおさらばだな。
長かったような短かったような。
「礼を言うのはこっちなんだがな。 色々世話に……」
「これで結婚資金もようやく半分かぁ。 じゃああと半分は二人で貯めていきましょうね、ソーマさん! 私達の未来の為に!」
何をいってるんだ、こいつは。
「あのな、何度も言ってるだろ。 俺はお前と結婚するつもりはねえって。 だから結婚資金なんて貯めるつもりはない。 いい加減俺の事は諦め……」
「もうやだなぁ、ソーマさんったら。 恥ずかしがり屋さんなんだからぁ。 ふふっ、大丈夫ですよ。 私は全部わかってますから、そんな強がらなくてもー」
全然わかってないよね、君。
と、相も変わらず結婚をちらつかせてくるリアと無駄な論争を繰り広げていたら。
「あっ、そういえばさ、ソーマちゃん」
「だーかーらー! 俺はまだ結婚なんか考えちゃ……! ……なんだよ、リオ。 今忙しいんだけど」
「あはは、ごめんごめん。 お邪魔しちゃったかな? ソーマちゃんだけになるんだけど、Cランク昇格クエストが発行可能になったからどうかと思って」
おお、マジか。
ようやく俺もCランクに上がれるんだな。
頑張ってきた甲斐があった。
「は……? 嘘でしょ、もうCランク!? あり得ないスピードなんですけど!」
「まあソーマちゃんは元々Aランクみたいだし、妥当な昇格スピードじゃないかな。 で、どうする? 発行する?」
「ああ、もちろんだ。 頼む」
「りょーかーい。 んじゃ、ちょっと待っててね。 妥当なクエストを選ぶから」
そう言うとリオは大量の書類を取り出し、忙しなく厳選を始める。
この分だと少し時間かかりそうだし、ソファーに座って皆と待つか、と俺は三人の待つソファーに腰かけた。
「なーんか、面白くないわ。 私達Dランクまで上がるのに二年もかかったのに、あんたはたった一ヶ月よ、一ヶ月! ほんと腑に落ちない!」
そう、今やラミィとリアのランクはD。
そして俺もDランクに上がっている。
上がったのは結構前。
あのダンジョン攻略の直後だ。
どうやらあのダンジョンはDランク相当だったらしく、その功績により俺達は全員Dランクへ昇格したのである。
「うーん、でもソーマさんだしなぁ。 リオさんの言うように妥当じゃない? ね、ロゼちゃん」
「ん。 ご主人ならこのくらい当然。 それこそAランクまで飛び級でも良いくらい」
「むぅ……」
睨むなよ、俺は何も言ってねえだろうが。
「でもCランククエストなんて初めてだよね。 どんなクエストなんだろ。 ちょっと不安だなぁ」
「まさかとは思うが、お前ら一緒に受けるつもりじゃないだろうな」
「そりゃそうでしょ。 だって私達同じパーティーじゃん。 当然受けるわよ。 そうよね、リア」
「うん」
こいつら、完璧にクエストを受ける上でのルールを忘れてやがる。
「いやいやいやいや、何言ってんだ。 お前らが受けられる筈無いだろうが。 ロゼは冒険者じゃないし実力も申し分無いから、ついてくるのは構わないがお前らはダメだろ」
「はあ!? な、なんでよ! なんで私らはダメなのよ! 納得出来ない!」
「そうですよ! 私達は一蓮托生! どんなクエストだって皆で力を合わせて……!」
「……なぁ……もしかしてなんだが、お前ら。 あのルール忘れてないか?」
言うと二人はキョトンとする。
「「あのルール?」」
そんな二人に俺は溜め息混じりに。
「自分のランク以上のクエストは、同行する事が出来ないってルールだ。 まさか忘れてた訳じゃないよな」
「「……あ」」
こいつらやっぱり忘れてやがったか。
「まったく……だから連れていけないって言ったんだ。 わかったか?」
「うぐ……ううぅー! ……わ、わかったわよ! 留守番してれば良いんでしょ、留守番してれば! ふん!」
ようやく納得したのか、ラミィはへそを曲げて頬を膨らませてしまった。
ルールである以上諦めるしか無かないリアも、渋々────
「ロゼちゃん、ソーマさんをよろしくね! 怪我しないよう守ってあげて! お願いね!」
おい。
「持っていってくれ?」
フルグラムの管理はガラドに一任されていたようだが、話を聞くところによると、アルドンの所有物だと言う。
そこで俺はあの食事会の折、フルグラムを勝手に使った件をアルドンに相談した。
フルグラムと契約してしまった事、契約したせいでいつでも呼び出せてしまう事を。
あの時はそうするしかなかったとはいえ、他人の所有物を勝手に使ってしまった上に、自分以外には使えなくしてしまったのだ。
多額の慰謝料は覚悟せざるを得なかった。
のだが、アルドンの返答はこの通り。
返さなくても良いというものだった。
「ええ、是非持っていってください。 我々としてもその方がありがたく……」
なんでも、フルグラムを触った者や近くに居る者が、おかしくなってしまう事件が過去に多々あったのだとか。
そんな曰く付きの剣だ。
都に置いておきたくなどないのだろう。
半ば無理矢理押し付けられてしまったのである。
別にこいつを押し付けられた事自体はどうでも良い。
元々貰い受けなければならなかったのだ。
むしろ都合が良いとすら思った。
だが、こいつがどういう存在で、誰が作って、いつからあるのか、どこで手に入れたのか。
それぐらいは聞いておきたいと思った俺は、アルドンに根掘り葉掘り問い質した。
するとアルドンはこんな事を……。
「その剣がなんなのか、いつ作られたのか、何故これが我が家の家宝として封じられていたのかは定かではありません。 ですが、あれを創った方には一人だけ思い当たる人物がおります。 その者の名は……」
パンデモーナ。
原初にして最強の魔王、パンデモーナが産み出した可能性があると言った。
というよりも、これだけの剣を創れるのは悪魔を統べる王、パンデモーナしか居ないだろうという事だ。
フルグラムも悪魔だのなんだのと吠えていたし、悪魔王パンデモーナ様が産み出した可能性は非常に高い。
そんなもんがなんで俺に扱えるのかは謎すぎるが。
とまあそんなこんなあり、フルグラムの所有権は俺に譲渡された。
って事になったのだ。
正直、今となっては契約した事を後悔している。
「おおっし、目標の魔物みっけ! どう料理してやろうかしら! ソーマ、あんたはそこで見てなさいよ! あいつは私の獲物なんだから、邪魔したら許さないんだからね!」
「はいはい、なんでも良いからさっさと殺ってくれ。 はよ帰って飯食いたいんだよ、こっちは」
「なによ、ノリ悪いわね。 まっ、いいや。 あんな奴ほっといて……!」
『マスター、なにしてんだ! 嬢ちゃんに先越されちまうって! さっさと倒そうぜ、マスター! 俺様の飯が!』
そう、後悔している理由はまさにこれ。
ギャーギャーと煩いのだ、こいつ。
ラミィだけでも騒がしいのに、二人もだなんて耐え難い苦痛。
煩いのはラミィだけで十分です。
……今からでも返してこようかな。
「これで……終わり! ……よっしゃー! 真っ二つにしてやったわ! どうよ、ソーマ! この私の実力は! もうこれはあんたを越えたかもね! あーはっはっはー!」
『ぎゃああああ! 俺様の飯がああああ!』
…………はぁ。
────2────
「二人とも、お帰りー。 首尾はどうだったかな?」
「もちろん、クリアしたわよ! ぶい!」
「おおー、さっすがー。 やっぱりDランクは違うね、頼りになるよ。 じゃあ魔石出してくれるかな。 鑑定とクエスト処理するから」
ミニゴーレムの魔石、それと道中倒した魔物の魔石を渡すと、リオは鑑定用の機材に魔石を置き、鑑定を始めた。
ピコン。
「……うん、ミニゴーレム六体の討伐を確認。 お疲れ様、二人とも。 これでクエスト完了だよ。 はい、報酬金」
ドサッと置かれた袋からジャリジャリ音が鳴る。
流石はDランククエストだ。
実入りが良い。
「リア、ほら」
袋から取り出した銀貨を俺はリアに投げ渡す。
「これで借金はチャラだよな」
「はい、これで全額返して貰いました! ありがとうございます、ソーマさん!」
ふぅ、これでやっと借金生活ともおさらばだな。
長かったような短かったような。
「礼を言うのはこっちなんだがな。 色々世話に……」
「これで結婚資金もようやく半分かぁ。 じゃああと半分は二人で貯めていきましょうね、ソーマさん! 私達の未来の為に!」
何をいってるんだ、こいつは。
「あのな、何度も言ってるだろ。 俺はお前と結婚するつもりはねえって。 だから結婚資金なんて貯めるつもりはない。 いい加減俺の事は諦め……」
「もうやだなぁ、ソーマさんったら。 恥ずかしがり屋さんなんだからぁ。 ふふっ、大丈夫ですよ。 私は全部わかってますから、そんな強がらなくてもー」
全然わかってないよね、君。
と、相も変わらず結婚をちらつかせてくるリアと無駄な論争を繰り広げていたら。
「あっ、そういえばさ、ソーマちゃん」
「だーかーらー! 俺はまだ結婚なんか考えちゃ……! ……なんだよ、リオ。 今忙しいんだけど」
「あはは、ごめんごめん。 お邪魔しちゃったかな? ソーマちゃんだけになるんだけど、Cランク昇格クエストが発行可能になったからどうかと思って」
おお、マジか。
ようやく俺もCランクに上がれるんだな。
頑張ってきた甲斐があった。
「は……? 嘘でしょ、もうCランク!? あり得ないスピードなんですけど!」
「まあソーマちゃんは元々Aランクみたいだし、妥当な昇格スピードじゃないかな。 で、どうする? 発行する?」
「ああ、もちろんだ。 頼む」
「りょーかーい。 んじゃ、ちょっと待っててね。 妥当なクエストを選ぶから」
そう言うとリオは大量の書類を取り出し、忙しなく厳選を始める。
この分だと少し時間かかりそうだし、ソファーに座って皆と待つか、と俺は三人の待つソファーに腰かけた。
「なーんか、面白くないわ。 私達Dランクまで上がるのに二年もかかったのに、あんたはたった一ヶ月よ、一ヶ月! ほんと腑に落ちない!」
そう、今やラミィとリアのランクはD。
そして俺もDランクに上がっている。
上がったのは結構前。
あのダンジョン攻略の直後だ。
どうやらあのダンジョンはDランク相当だったらしく、その功績により俺達は全員Dランクへ昇格したのである。
「うーん、でもソーマさんだしなぁ。 リオさんの言うように妥当じゃない? ね、ロゼちゃん」
「ん。 ご主人ならこのくらい当然。 それこそAランクまで飛び級でも良いくらい」
「むぅ……」
睨むなよ、俺は何も言ってねえだろうが。
「でもCランククエストなんて初めてだよね。 どんなクエストなんだろ。 ちょっと不安だなぁ」
「まさかとは思うが、お前ら一緒に受けるつもりじゃないだろうな」
「そりゃそうでしょ。 だって私達同じパーティーじゃん。 当然受けるわよ。 そうよね、リア」
「うん」
こいつら、完璧にクエストを受ける上でのルールを忘れてやがる。
「いやいやいやいや、何言ってんだ。 お前らが受けられる筈無いだろうが。 ロゼは冒険者じゃないし実力も申し分無いから、ついてくるのは構わないがお前らはダメだろ」
「はあ!? な、なんでよ! なんで私らはダメなのよ! 納得出来ない!」
「そうですよ! 私達は一蓮托生! どんなクエストだって皆で力を合わせて……!」
「……なぁ……もしかしてなんだが、お前ら。 あのルール忘れてないか?」
言うと二人はキョトンとする。
「「あのルール?」」
そんな二人に俺は溜め息混じりに。
「自分のランク以上のクエストは、同行する事が出来ないってルールだ。 まさか忘れてた訳じゃないよな」
「「……あ」」
こいつらやっぱり忘れてやがったか。
「まったく……だから連れていけないって言ったんだ。 わかったか?」
「うぐ……ううぅー! ……わ、わかったわよ! 留守番してれば良いんでしょ、留守番してれば! ふん!」
ようやく納得したのか、ラミィはへそを曲げて頬を膨らませてしまった。
ルールである以上諦めるしか無かないリアも、渋々────
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おい。
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