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4.学長からの依頼を断れない事情
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私は中学のころからこの某有名A大学へ入ろうと決めていた。
その為に高校も推薦入学枠が多い高校を選んで、普段から定期テストの成績は
学年上位を維持して、楽して入学しようと思っていた。
例年だと定期テストでだいたい学年10番以内に入っていれば、このA大学への推薦は
もらえるはずなのに、私が受験する年に限ってA大学が人気で(大学駅伝のせい?)
成績上位者の中からもA大学推薦希望が殺到した。
学校推薦枠から漏れてしまった私は、総合推薦(AO入試)で受験しようと決意した。
だけど、生徒会をやっていたわけでも運動部で優秀な成績を残したわけでもないので唯一、自慢できることをAO入試の最終面接でプレゼンした。
「私は高校時代に起きた、盗難事件を3件解決しています」
実際にいじめからのカバン盗難事件や現金盗難事件、スマホ盗難事件の3件を、
生徒指導室からの依頼で解決していた。
その頃から「推理小説大好き少女」で高校では有名だったからね。
そのことは、学校からの推薦書にも書かれていたし、
PowerPointで資料を作って1件ずつ説明した。
「それであなたはその実績を当大学のために役立ててくれる気はありますか」
面接員の中央に座る一番偉そうな人から質問された。
「もちろんです。この大学のために尽力したいと思います」
「わかりました、頼りにしていますよ」
入学してからこの人が学長だと知った。
大学って高校や中学みたく生徒会や生徒指導部がないから、厄介ごと?を
解決してくれるところって実際ないんだよね。
「学生の自主性を重んじる」って名目だから事務局は形式的に対応だけだし。
「入学したい一心で、軽々しく約束しちゃったなあ」と今になって後悔。
綾瀬綾香は帰国子女だった。
商社マンをしていた父親に連れられて、子供のころからUSA、中国、アルゼンチン、
ベトナムで生活していた。そのおかげで英語はもちろん、中国語、スペイン語
ベトナム語が話せるようになっていた。
高校2年の時、日本の高校に編入して、第一希望のA大学へは帰国子女推薦枠で、
楽勝で入学できると思っていた。
ところが、推薦入学に必要な書類を提出し忘れて、AO入試で受験することになってしまった。
「綾瀬さんは4か国語も話せるのですか」
「そうです。海外生活が長かったため、語学力はもちろんコミュニケーション能力も
かなり高いと思います」
「それでは友達も多いですか」
「もちろんです。友達の数が多いことは私の自慢の一つです。頼りにされることも多く、相談されて解決に導いたこともたくさんありました」
「その高いコミュニケーション能力を当大学で生かしてもらえますか」
「当然です、期待してください」
「わかりました、頼りにしていますよ」
実際には綾瀬は海外の学校で孤立することが多く、友達はほとんどいなかった。
「よく面接であれだけ嘘を並べられたものだ」と
自分でも感心していたが、入学後後悔することとなる。
鉄山哲郎は高校時代、数学と物理は抜群の成績を収めていた。
定期テストで満点が取れなかったことは2回しかない、それも98点と95点。
しかし、英語の成績が致命的だった。
だいたい30点から50点、赤点で追試になったことも2回ほどあった。
とにかく、英単語が覚えられない。
プログラムのコマンドは覚えようとするまでもなく、スット頭に入ってくるのに、
英単語が覚えられないのは自分でも不思議だった。
たぶん、中学校1年の時、最初の英単語テストで全くできなかったことが、
今もトラウマになっているんだと思う。
哲郎の家庭は一般的なサラリーマン家庭だが、私立高校に通う弟と、
私立中学に通う双子の妹がいる。
この3人だけでかなりの学費がかかるため、
「哲郎、頼むからお前は国公立大学へ行ってくれ」
と父親から懇願された。
科目数が多い国公立大学は哲郎にとっては難しかった。
英語だけでなく、国語や社会もなかなか成績が上がらない。
興味が無いことを覚えることが、何とも苦痛だったから仕方がない。
好きな事はいくらでも覚えられるのに。
A大学にはAO入試で特別枠と言うものがあって、合格できると
学費免除という特権が与えられた。
彼はこれしかないと思い、受験に望んだ。
高校時代ロボットコンクールで優勝したことが哲郎のアピールポイントだった。
「高校生で電子工作技術だけでなく、AIプログラムの知識にも長けているとは、
素晴らしいですね」
「ありがとうございます。ぜひ、こちらの大学で知識と技術の探求に励みたいです」
「こちらとしても是非ともお願いしたいところです」
面接の感触は非常によくて、二週間後合格通知が届いた。
ただ、その合格通知の中には1文が付け加えられていた。
「但し、学長からの依頼に対しては忠実に従う事」
この時はこの意味がよく分からなかったが、
3人の中では学費がかかっている哲郎が一番きつい立場なのかもしれない。
私と綾香の二人だけだったサークル室に、哲郎が遅れて入ってきた。
「今度の土曜日、菅平さんLive配信の収録があるらしいよ」
「だから何?」
綾香はいきなりお怒りモードだ。
「だから、Live配信だと帰りが遅くなるし、こっそり護衛した方がいいのかなと」
「護衛?尾行の間違えじゃないの!」
「一応護衛よね、尾行だと法に触れるみたいだし、本人納得済みなんだから」
私がちょっと口を挟んでみた。
「まあそう言う事にしといてあげるわ」
綾香はどうしても、尾行にしたいらしい。
ということで今度の土曜日、菅平さんを護衛(尾行?)することになった。
ストーカーをうまく捕まえられると良いのだけれど。
その為に高校も推薦入学枠が多い高校を選んで、普段から定期テストの成績は
学年上位を維持して、楽して入学しようと思っていた。
例年だと定期テストでだいたい学年10番以内に入っていれば、このA大学への推薦は
もらえるはずなのに、私が受験する年に限ってA大学が人気で(大学駅伝のせい?)
成績上位者の中からもA大学推薦希望が殺到した。
学校推薦枠から漏れてしまった私は、総合推薦(AO入試)で受験しようと決意した。
だけど、生徒会をやっていたわけでも運動部で優秀な成績を残したわけでもないので唯一、自慢できることをAO入試の最終面接でプレゼンした。
「私は高校時代に起きた、盗難事件を3件解決しています」
実際にいじめからのカバン盗難事件や現金盗難事件、スマホ盗難事件の3件を、
生徒指導室からの依頼で解決していた。
その頃から「推理小説大好き少女」で高校では有名だったからね。
そのことは、学校からの推薦書にも書かれていたし、
PowerPointで資料を作って1件ずつ説明した。
「それであなたはその実績を当大学のために役立ててくれる気はありますか」
面接員の中央に座る一番偉そうな人から質問された。
「もちろんです。この大学のために尽力したいと思います」
「わかりました、頼りにしていますよ」
入学してからこの人が学長だと知った。
大学って高校や中学みたく生徒会や生徒指導部がないから、厄介ごと?を
解決してくれるところって実際ないんだよね。
「学生の自主性を重んじる」って名目だから事務局は形式的に対応だけだし。
「入学したい一心で、軽々しく約束しちゃったなあ」と今になって後悔。
綾瀬綾香は帰国子女だった。
商社マンをしていた父親に連れられて、子供のころからUSA、中国、アルゼンチン、
ベトナムで生活していた。そのおかげで英語はもちろん、中国語、スペイン語
ベトナム語が話せるようになっていた。
高校2年の時、日本の高校に編入して、第一希望のA大学へは帰国子女推薦枠で、
楽勝で入学できると思っていた。
ところが、推薦入学に必要な書類を提出し忘れて、AO入試で受験することになってしまった。
「綾瀬さんは4か国語も話せるのですか」
「そうです。海外生活が長かったため、語学力はもちろんコミュニケーション能力も
かなり高いと思います」
「それでは友達も多いですか」
「もちろんです。友達の数が多いことは私の自慢の一つです。頼りにされることも多く、相談されて解決に導いたこともたくさんありました」
「その高いコミュニケーション能力を当大学で生かしてもらえますか」
「当然です、期待してください」
「わかりました、頼りにしていますよ」
実際には綾瀬は海外の学校で孤立することが多く、友達はほとんどいなかった。
「よく面接であれだけ嘘を並べられたものだ」と
自分でも感心していたが、入学後後悔することとなる。
鉄山哲郎は高校時代、数学と物理は抜群の成績を収めていた。
定期テストで満点が取れなかったことは2回しかない、それも98点と95点。
しかし、英語の成績が致命的だった。
だいたい30点から50点、赤点で追試になったことも2回ほどあった。
とにかく、英単語が覚えられない。
プログラムのコマンドは覚えようとするまでもなく、スット頭に入ってくるのに、
英単語が覚えられないのは自分でも不思議だった。
たぶん、中学校1年の時、最初の英単語テストで全くできなかったことが、
今もトラウマになっているんだと思う。
哲郎の家庭は一般的なサラリーマン家庭だが、私立高校に通う弟と、
私立中学に通う双子の妹がいる。
この3人だけでかなりの学費がかかるため、
「哲郎、頼むからお前は国公立大学へ行ってくれ」
と父親から懇願された。
科目数が多い国公立大学は哲郎にとっては難しかった。
英語だけでなく、国語や社会もなかなか成績が上がらない。
興味が無いことを覚えることが、何とも苦痛だったから仕方がない。
好きな事はいくらでも覚えられるのに。
A大学にはAO入試で特別枠と言うものがあって、合格できると
学費免除という特権が与えられた。
彼はこれしかないと思い、受験に望んだ。
高校時代ロボットコンクールで優勝したことが哲郎のアピールポイントだった。
「高校生で電子工作技術だけでなく、AIプログラムの知識にも長けているとは、
素晴らしいですね」
「ありがとうございます。ぜひ、こちらの大学で知識と技術の探求に励みたいです」
「こちらとしても是非ともお願いしたいところです」
面接の感触は非常によくて、二週間後合格通知が届いた。
ただ、その合格通知の中には1文が付け加えられていた。
「但し、学長からの依頼に対しては忠実に従う事」
この時はこの意味がよく分からなかったが、
3人の中では学費がかかっている哲郎が一番きつい立場なのかもしれない。
私と綾香の二人だけだったサークル室に、哲郎が遅れて入ってきた。
「今度の土曜日、菅平さんLive配信の収録があるらしいよ」
「だから何?」
綾香はいきなりお怒りモードだ。
「だから、Live配信だと帰りが遅くなるし、こっそり護衛した方がいいのかなと」
「護衛?尾行の間違えじゃないの!」
「一応護衛よね、尾行だと法に触れるみたいだし、本人納得済みなんだから」
私がちょっと口を挟んでみた。
「まあそう言う事にしといてあげるわ」
綾香はどうしても、尾行にしたいらしい。
ということで今度の土曜日、菅平さんを護衛(尾行?)することになった。
ストーカーをうまく捕まえられると良いのだけれど。
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