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憂鬱な月曜日

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「おい!!!爽真!昨日出た新刊読んだか!!!?」


月曜日から元気なこいつは唯一の友達、幼なじみである晴人だ。新刊が出たらしい。俺が漫画に全くもって興味が無い事を知っているのだろうか。いや毎回俺はこいつに言っている。晴人が聞いてないだけだ。

「それより超眠いわ帰りてえ」

「爽真ってまじで眠いしか言ってないよな好きなもんとかないの??」

「今日の夕飯なんだろうカレーかな」

「聞け」

そんなくだらない会話から一日が始まった。



一限目終わり女子が騒いでいる。次の授業が水泳らしい。
恐らくあれだろう。化粧を落としたくないだの髪の毛がくずれるだの騒いでいるが俺にとってはどうでもいいし耳障りだ。静かにしてくれ。


二限目終わり移動教室だったので1人で教室に戻ると女子が鏡を必死に見て化粧をし今までに見たことの無いくらい真剣な表情をしている。その顔で授業もまともに受ければいいのにと陰キャな俺は心の中で静かに思う。

そんなこんなで三限目が始まる
「はーい。化粧ポーチはさっさとしまって教科書を出せよー」

国語の授業が始まった。俺はラッキーなことに1番後ろの席なので寝る体勢に入る。水泳終わりの塩素の効いた教室の匂いが好きで落ち着くんだと変な趣味を晴人には絶対に言えない。

ふといつも通り筆箱を枕替わりにして横を向くと静かに端っこで髪の毛を拭いている女子がいる。いや確かに顔は見た事ある

多分あの子は麦だ。名前が珍しいので覚えていた。   
周りの女子のように化粧をすることも無く髪を拭き終わるとすやすやと寝てしまった。
ただ寝ているだけ。それだけなのに何故か視界に入る。いや俺が見ていたのだ。
寝顔が可愛いすごく可愛かった。化粧もしていないすっぴんで無造作な髪の毛が顔にかかり気持ちよさそうに寝ている。

麦は窓際の席だったので自然と空も視界に入る。快晴で雲ひとつない空と気持ち良さそうに寝ている麦はまるで青春映画の一コマのようだ。

「爽真、、?見すぎじゃね??」
小声で晴人に言われ我に返る

「い、いや今日天気よくね???それじゃ寝るわ」


水泳終わりは眠くなるよな、、と心の中で麦に話しかけ俺も眠りにつく


“キーンコーンカーンコーン”

チャイムが鳴った。三限目が終わったらしい。

「おい!爽真!!さっき絶対あの子の事見てただろ!!ついに爽真にも恋の神様が舞い降りてきたかあ~~~🎶」

「ちげえよ!!!そもそも名前すら知らねえ」

「ほんと~???俺あの子可愛いと思うんだけどなあ~だってすっぴんであれだぜ?国宝級じゃん」

「国宝、、分かる、、超分かる」

「、、え!!???分かる!!?やっぱ!?」

やばい本当にやばいやばすぎる何年間も女子に興味がなかった俺が晴人に共感してしまっている。そして声に出てしまった。
この場合は修正するべきか??そのまま共感するべきか??  
いや少し否定するくらいにしておこう。どっちにしろ絶対に面倒くさくるなるのは承知済みだ。

「まあ~分からなくもないけどどうでもいい」

「でた、〝どうでもいい〟まあ俺はね可愛いと思ってるよ麦ちゃん♡」

「ふーん」

よしこれでどうだ。少しは誤魔化せただろうか。にしてもさっきからちょっと引っかかる事がある。それは晴人が“麦ちゃん”と言う度にムカムカしている自分がいる。これは何だ???まさか嫉妬しているのか???名前を呼んでいるだけで???

な訳がないよなと思いつつさっさと次の授業の用意をして席に着く

次も寝ようかな。そう考えつつふと横を見ると、まだ寝ていた。麦が。
いや勝手に麦と呼んでいるけど話した事もないし向こうが俺を認知している訳でもない。お互いただのクラスメイトだ。

何故こんなに気になる???いつもは視界にも入らないのに。
と考えていると、サッ と麦の机にあるプリントが落ちた。しかし寝ている麦は気づくはずもない。  周りを見渡しても授業に集中しているか恋バナに夢中になっている女子しかいない。

麦は同じ列だが間に2人男子がいる。
でもそいつらはプリントを拾おうとしない。
というか女子のプリントが落ちてもどうでもいい。そんな考えの俺だが今回は違う。気になって仕方ないのだ。
そんな俺はチャレンジを試みることにした。
間の男子二人がカードゲームの話をしている隙に素早く端っこに消しゴムを蹴りそれを拾う振りをしてプリントを拾った。

ふとプリントを見るとそこには漫画が書かれていたのだ。頭が真っ白になっていると

「おい!!山本!!そんなとこで何をしている!!席に戻れ!!」

やってしまった、、周りを見渡すと皆笑っている。運のいいことにまだ麦は寝ている。
俺はすぐさま席に戻る

待ってくれ、、、俺は漫画が書かれたプリントを持ってきてしまった。
でもこの時間に返しに行くのも気まづいので諦めることにし、本当に申し訳ないが無我夢中に漫画を読んでいた。
それはアクション漫画だった。
女子って恋愛ものとか青春ものを書くと思っていたのですごく驚いた。

四コマ漫画だったが三コマ目で終わっていた。かなりガチモンのアクションだ、、
俺はこれがチャンスだと思い 四コマ目を書くことにした。いや俺はなぜこんな気持ち悪いことをしているのだろう。
一旦忘れよう。

そして出来上がった四コマ目は最後に敵が負けるという何と単純な結末だった。
俺にはこれが限界だ。よしこの状態で返そう。顔も気づかれず、名前も知られないよう

確認のためもう一度横を見るとなんと麦が起きている。いやまあ普通に考えればそんな寝ているのもありえないが、、
俺は計算違いだった。横を見ると眠たそうに目を擦りながら手探りで何か探している

絶対にこれだよな


俺はすぐさま手に持っていたプリントを机に隠した。

どうしよう、どうしよう、、晴人、、!!

授業が終わると俺は晴人の席に駆け込んだ

「一生のお願いだ。何でも聞くからこのプリントをあの端っこの女子の席に置いてきてくれ」

「お、おう、、、後で事情は聞くわ、、」

「あざっす、、、」

一件落着。晴人は俺と違って明るい性格なので女子とでも気軽に話せる。だからこそ頼んだ。 この明るい性格今のためにあったといっても過言ではない。  

「麦ちゃん!!プリント落ちてたよ!!」

「え!!?ありがとう!!見た??」

「見てない!!!どうしたの??」

「いや何でもない!!ありがと!!」

ふう、、後々四コマ目には気づくだろう。
しかし名前も何も書いてないのでバレることは無い。安心だ、、


「爽真!行ってきた!!てか何あれ?」

「お、おい!!声でかいだろ、!あれは、、その、、プリント!」

「いやどうみてもプリントだろ(笑)様子おかしくね???」

「いやまあ助かったぜありがとな」

「てか今日の5限目席替えって知ってる?」

「えまじ」

俺にとって席替えなど興味もなかったのに妙に緊張しているというか胸がドキドキしている。こんな感覚今までにない。
嘘だろ???いや嘘だよな。俺は誰にも興味ない。


~5限目~

「おーい!!席替え黒板に書いておいたからお前たちで勝手に移動しとけよー」

恐る恐る黒板を見ると俺は1番後ろの窓際だった。ラッキーと思い机を動かす。

「あ また1番後ろだ。ラッキー」

声が聞こえ隣を見ると麦がいた




“ミーンミーン”

いつもよりセミの鳴き声がうるさく聞こえた
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