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9.衣食住が整う
しおりを挟む目を開けると、辺りはまだ暗い。長く寝たような気がしたが。
ベッドから降り、家の外に出て、ここが洞窟の中であることを思い出した。
岸壁に出て、海の方を見ると、遠くの海面がキラキラと輝いている。
もう、昼近くのようだ。
長い間寝ていたようだ。
頭もすっきりしている。
再生転移2日目にして住まい、水、食が手に入った。
亜空間には家も食事もある。
やはり、この孤島で生きて行くための準備が整っていた。
精霊王に感謝。
家に戻り、台所を調べると、調理道具や器具があった。
棚には包丁、大小の鍋、鉄網、ざる、鉄串等があり、納戸の中に食器とスプーンフォークなどが入っている。
暮らしに必要な物は一通り、揃っている。これは何という幸運な展開なのだろう。
家だけでなく、生活道具まで揃った。
早速、魚をアイテム空間から取り出して、包丁で魚の鱗を取り、内臓を取り出した後、空の水瓶を水で満たし、その水を汲んで魚を洗う。
鉄串に刺し、積み上げてあった薪を竈にくべ、火を付けた。薪が乾燥していたのか、直ぐに燃え上がる。
薪の燃え方が落ち着いてくると、鉄網を置いて、鉄串を並べた。
数回、ひっくり返し、焼き上がるのを待つ。
窯の上に煙突に繋がる排気口が開いており、煙が吸い込まれてゆく
焼きあがると、納戸にあった皿を取り出し、魚を移した。
冷めるのを待って、魚に齧り付く。塩味だけだが白身魚は旨い。
あっさりとしているが、コクもある。
大きな魚の方が当然ながら食べた感があるが、小さな魚もなかなかに、肉感がある。
魚だけでは物足りないかと思ったが、数匹を残して、満腹になった。気分が良くなる。
食事を済ませると、洞窟を出て、歩く。
周囲に生き物の気配はない。
今日は、砂浜と反対の左側に向かって歩いて行く。
雑草が生い茂った一角が見えて来た。
よく見ると、雑草に交じって、野菜らしき植物がある。
鑑定してみると、キュウリ、ナス、白菜、カボチャ、スイカと出た。
小さな芽が沢山出ている。随分長く手入れされていないのだろう。
伸び放題、枯れ放題であるが、不思議と虫食いがない。そう言えば、
この島ではまだ、昆虫を見ていない。
雑草を抜いてゆくと、畑の畝が現れた。
殆どの野菜が枯れていたが、小さな芽が沢山、吹き出ている。
ナス、キュウリ、白菜らしきものが生えている畝の雑草だけを抜き取ると、水を撒いた。
野菜は確保できそうである。
大きくなった野菜も僅かだがある。
だが、固かったり、葉が枯れていたりと、食べられそうなものは少ない。
かろうじて、キュウリを数本確保できた。
「しっかり育って実を付けろよ」と言った途端、芽が伸びて小さな花が吹き出し、小さなナスやキュウリがなった。明日には収穫できそうだ。白菜も食べ頃の大きさになった。
林に入り、樹を1本1本、見上げて、木の実や果実がなっていないかと確認してゆく。
上を見上げながら歩いていると、何かの気配を感じ、視線を戻した。
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