黒猫は闇に泣く

ギイル

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第1章 黒猫の友人

師匠

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この日議会は今までに無い緊張の色を見せていた。
原因は先日届いた聖教会からの手紙。
幾度となく対立を繰り返してきた聖教会と議会が、互いに手を取り合う。
そのような異例の事態に、双方事の重大さを理解したということを示していた。
優、燈、刻は自らの師匠を探すべく今回会合が開かれた場所を訪れた。
会場となった高い山の上に聳え立つ古めかしい城は、異彩な空気を放っている。
「こんな所でやるなんて、気分も沈んでいきそうだよねえ」
不意に刻が呟くと周囲の視線が一同に集まった。
なに食わぬ顔をして三人は城の中へと足を進める。
入り口には警備員が網羅しており、中に入る際に必ず能力を打ち消す効果を持つ指輪が手渡された。
「私は何の能力も持たない人間だ。指輪は必要ない」
そう言って渡された指輪を突き返す燈に、警備員達は不信感を露わにした。
ギルドの中に十八歳にも満たない人間がいる事だけでも珍しいと言われるこの業界で、能力者ではない者が混ざっているというのは稀だ。
また能力者は人間との対立も激しい為、燈の存在は異例の事態だった。
「そいつを入れてやってくれ」
廊下に木霊した声にその場にいた人間は一斉に振り返る。
人々の視線の先には聖教会の羽織を着た女が立っていた。
「そいつらは私の弟子でね。ここに来るように言いつけたんだ。入れてもらわなければ困る」
有無を言わさぬ口調に、警備員達は身を引く。
彼女の名をレトロ、聖教会屈指の武闘派で知られる人間であり三人の師匠でもあった。
何も言えなくなった警備員達を他所に、彼女は三人の元へと歩み寄った。
「お久しぶりです、師匠」
よそよそしくも型通りの挨拶に彼女はふと笑みを零すと、ふわりと優の頭を撫でた。
「あいつの葬儀以来か。大きくなったな」
「師匠は以前とお変わりないですね」
彼女は三人を一瞥するとまた微笑み、羽織を翻し廊下を歩き出した。
大広間には既に聖教会の人間がおり、その他にも他ギルドの知っている顔がちらほら見受けられた。
聖教会とギルド、どちらをとっても世界で十本の指には入るとされている者が集うこの会合に思わず三人は息を飲む。
レトロに連れられ空いていた壁沿いへ移動した時、始まりを告げる鐘の音が響いた。
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