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第二章 クラスメイトは吸血鬼
プロローグ
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その建物は異形の集団によって占拠されていた。
ビルの内部を奇妙なシルエットの影が蠢いている。
カエルが飛び跳ねるようにして移動している影の正体は、人間と魚を融合させたような正体不明の生き物だった。
体長は2メートルほど。ずんぐりむっくりの身体は緑色の鱗によって覆われており、粘性のある液体によって濡れている。
プンと生臭い体臭を放った彼らは『半魚人』とでも呼ぶのが適切だろう。異形の怪物がビルの中に数えられないほど歩き回っており、まるで獲物を求めてさまよっているようだった。
まさか市街の中央。駅にも程近い位置に立っているビルがこんな半魚人の巣窟になっているなど、誰も想像しないだろう。
そこは半魚人の巣窟。楽園と言っても過言ではない場所である。
「ギョギョギョギョッ……」
「ギョッ! ギョギョンッ!」
ビルの1階にある自動ドアが開き、そこから新たな半魚人が入ってくる。
ビルにやってきた半魚人は大きなズタ袋に入った何かを抱えていた。ちょうど人間が入るほどの大きさの袋である。
「ギョッ!」
「ギョギョン!」
ビルに戻ってきた半魚人と戻ってきた半魚人が合流した。半魚人は挨拶でもするようにお互い身体を跳ねさせる。
ズタ袋を抱えた半魚人はそのままエレベーターに入っていき、地下に通じるボタンを押した。
しばしの時間をおいてエレベーターが目的の階層に到着する。扉が開くと、そこは闇に閉ざされた廊下だった。
明かりは点いていない。それでも半魚人は不自由なく暗い廊下を進んでいき……とある部屋の前に立ち止まる。
部屋の前には警備をするように半魚人が立っており、こちらも挨拶をするように飛び跳ねた。
「ギョッ!」
半魚人が水かきのついた手で部屋の扉を開けると、そこには裸の女性が何人も閉じ込められていた。
「キャアアアアアアアアッ!」
「いや! 来ないで!」
「やだやだ! お母さああああああああんっ!」
部屋に入ってきた半魚人を見て、閉じ込められていた女性が恐怖の悲鳴を上げる。
半魚人は叫ぶ女性に構うことなく抱えてきたズタ袋を開いた。
「ヒッ……!」
袋から出てきたのは高校生くらいの年齢の少女である。その少女もまた裸であり、一糸まとわぬ肌色だった。
「いや! 誰か助けてっ!」
「ギョギョン」
ブンブンと首を振って抵抗する少女。
半魚人は少女の首根っこを掴むようにしてズタ袋から引きずり出し、まるで荷物でも放るようにして部屋の中に投げ出した。
役目を終えた半魚人が部屋から出ていくと……扉越しに哀れな被害者がすすり泣く嗚咽が漏れてくる。
彼女達は生け贄である。
異形の見た目の半魚人……彼らの崇める神に捧げるための供物だった。
数日後には儀式が行われることになり、彼女達は神に捧げられることだろう。
運良く神の腹が早々に満たされれば貪り食われる未来は回避できるが、代わりに半魚人らの餌食となってより悲惨な末路を迎えることになってしまう。無残な最期を迎えることが決定している悲劇の犠牲者だった。
「ギョギョッ!」
そんな哀れな被害者に同情することなく、半魚人は空っぽになったズタ袋を提げて去って行こうとする。
人外の怪物である半魚人らに女性達への同情はない。人間の多くが踏み潰されるアリに心を痛めることがないように、半魚人らもまた下等生物と侮っている人間のために流す涙はなかったのである。
「ギョ?」
そのまま根城にしているビルの上層に戻ろうとする半魚人であったが……ふとエレベーターが上から下に降りてくることに気がついた。
誰かが地下にやってこようとしている。半魚人は首を傾げて、エレベーターの電光掲示板を見上げた。
それほど待つことなくエレベーターが開く。
そこにいたのは同胞の半魚人ではない。パーカーにジーンズという服装の人間の少年だった。
「お待たせしました、ウーバー〇ーツでーす。焼肉弁当のお届けに参りましたー」
「ギョギョッ!?」
「はい、冗談ですよ……っと!」
半魚人が驚きながらも身構えるが、同時に少年が右手を振る。
少年の手には光り輝く剣が握られていた。白い尾を引いて剣が半魚人を斬り裂くや、その身体が粒子状に分解されてしまう。
断末魔の悲鳴すら上げる時間もなく、人間を越えた身体能力を持っているはずの半魚人が討滅された。
「ギョッ!」
「ギョギョー!」
「おおう……まだこんなに半魚人がいたのか! いったい、いつからこの町はアー〇ンパークになったんだよ!」
異変に気がつき、生け贄の部屋を見張っていた半魚人が駆けつけてくる。
2匹の半魚人は水棲動物とは思えないような機敏な動きで廊下を跳ね、獰猛に太い腕で少年に攻撃してきた。
狭い廊下。狭いエレベーター。少年に逃げ場はないはずである。
「だけど僕は慌てなーい! 逃げられないのなら倒せばいいだけだからね!」
「ギョッ!?」
少年が地を滑るような足取りで半魚人の懐に滑り込む。
下から突き上げる斬撃により、飛びかかってきた半魚人の一方が粒子となって絶命した。
少年は残る一方の半魚人が振るった腕を身体を低くして躱し、カウンターで胴体に蹴りをぶち込んだ。
「グギャッ!」
「ぶっ壊すほどシュート……なんてね!」
蹴り飛ばされた半魚人が壁に衝突して床に倒れた。
慌てて身体を起こす半魚人であったが……すでにその眼前に光り輝く必殺の刃が突き付けられている。
「チェックメイト……このセリフ、敵を追い詰めた時に1度は言ってみたいよね。念願がまた1つ叶ったよ。ありがとう」
「ギョッ……」
「アハハハ、そんな目をしないでくれよ。こう見えても動物好きなんだよ?」
半魚人が命乞いでもするように見上げてくるが……少年は困ったように笑うだけで、剣を引くことはなかった。
「それじゃあ、さようなら」
「ッ……!」
少年が剣を突き出し、半魚人の首を貫いた。緑色の鱗に覆われた怪物が粉々になって消滅する。
「完全勝利。制圧完了……僕は余裕だったけど、みんなも大丈夫かな?」
一仕事終えたとばかりに額を流れる汗をぬぐい……その少年――異世界からの帰還者である元・勇者、八雲勇治は爽やかに笑ったのである。
ビルの内部を奇妙なシルエットの影が蠢いている。
カエルが飛び跳ねるようにして移動している影の正体は、人間と魚を融合させたような正体不明の生き物だった。
体長は2メートルほど。ずんぐりむっくりの身体は緑色の鱗によって覆われており、粘性のある液体によって濡れている。
プンと生臭い体臭を放った彼らは『半魚人』とでも呼ぶのが適切だろう。異形の怪物がビルの中に数えられないほど歩き回っており、まるで獲物を求めてさまよっているようだった。
まさか市街の中央。駅にも程近い位置に立っているビルがこんな半魚人の巣窟になっているなど、誰も想像しないだろう。
そこは半魚人の巣窟。楽園と言っても過言ではない場所である。
「ギョギョギョギョッ……」
「ギョッ! ギョギョンッ!」
ビルの1階にある自動ドアが開き、そこから新たな半魚人が入ってくる。
ビルにやってきた半魚人は大きなズタ袋に入った何かを抱えていた。ちょうど人間が入るほどの大きさの袋である。
「ギョッ!」
「ギョギョン!」
ビルに戻ってきた半魚人と戻ってきた半魚人が合流した。半魚人は挨拶でもするようにお互い身体を跳ねさせる。
ズタ袋を抱えた半魚人はそのままエレベーターに入っていき、地下に通じるボタンを押した。
しばしの時間をおいてエレベーターが目的の階層に到着する。扉が開くと、そこは闇に閉ざされた廊下だった。
明かりは点いていない。それでも半魚人は不自由なく暗い廊下を進んでいき……とある部屋の前に立ち止まる。
部屋の前には警備をするように半魚人が立っており、こちらも挨拶をするように飛び跳ねた。
「ギョッ!」
半魚人が水かきのついた手で部屋の扉を開けると、そこには裸の女性が何人も閉じ込められていた。
「キャアアアアアアアアッ!」
「いや! 来ないで!」
「やだやだ! お母さああああああああんっ!」
部屋に入ってきた半魚人を見て、閉じ込められていた女性が恐怖の悲鳴を上げる。
半魚人は叫ぶ女性に構うことなく抱えてきたズタ袋を開いた。
「ヒッ……!」
袋から出てきたのは高校生くらいの年齢の少女である。その少女もまた裸であり、一糸まとわぬ肌色だった。
「いや! 誰か助けてっ!」
「ギョギョン」
ブンブンと首を振って抵抗する少女。
半魚人は少女の首根っこを掴むようにしてズタ袋から引きずり出し、まるで荷物でも放るようにして部屋の中に投げ出した。
役目を終えた半魚人が部屋から出ていくと……扉越しに哀れな被害者がすすり泣く嗚咽が漏れてくる。
彼女達は生け贄である。
異形の見た目の半魚人……彼らの崇める神に捧げるための供物だった。
数日後には儀式が行われることになり、彼女達は神に捧げられることだろう。
運良く神の腹が早々に満たされれば貪り食われる未来は回避できるが、代わりに半魚人らの餌食となってより悲惨な末路を迎えることになってしまう。無残な最期を迎えることが決定している悲劇の犠牲者だった。
「ギョギョッ!」
そんな哀れな被害者に同情することなく、半魚人は空っぽになったズタ袋を提げて去って行こうとする。
人外の怪物である半魚人らに女性達への同情はない。人間の多くが踏み潰されるアリに心を痛めることがないように、半魚人らもまた下等生物と侮っている人間のために流す涙はなかったのである。
「ギョ?」
そのまま根城にしているビルの上層に戻ろうとする半魚人であったが……ふとエレベーターが上から下に降りてくることに気がついた。
誰かが地下にやってこようとしている。半魚人は首を傾げて、エレベーターの電光掲示板を見上げた。
それほど待つことなくエレベーターが開く。
そこにいたのは同胞の半魚人ではない。パーカーにジーンズという服装の人間の少年だった。
「お待たせしました、ウーバー〇ーツでーす。焼肉弁当のお届けに参りましたー」
「ギョギョッ!?」
「はい、冗談ですよ……っと!」
半魚人が驚きながらも身構えるが、同時に少年が右手を振る。
少年の手には光り輝く剣が握られていた。白い尾を引いて剣が半魚人を斬り裂くや、その身体が粒子状に分解されてしまう。
断末魔の悲鳴すら上げる時間もなく、人間を越えた身体能力を持っているはずの半魚人が討滅された。
「ギョッ!」
「ギョギョー!」
「おおう……まだこんなに半魚人がいたのか! いったい、いつからこの町はアー〇ンパークになったんだよ!」
異変に気がつき、生け贄の部屋を見張っていた半魚人が駆けつけてくる。
2匹の半魚人は水棲動物とは思えないような機敏な動きで廊下を跳ね、獰猛に太い腕で少年に攻撃してきた。
狭い廊下。狭いエレベーター。少年に逃げ場はないはずである。
「だけど僕は慌てなーい! 逃げられないのなら倒せばいいだけだからね!」
「ギョッ!?」
少年が地を滑るような足取りで半魚人の懐に滑り込む。
下から突き上げる斬撃により、飛びかかってきた半魚人の一方が粒子となって絶命した。
少年は残る一方の半魚人が振るった腕を身体を低くして躱し、カウンターで胴体に蹴りをぶち込んだ。
「グギャッ!」
「ぶっ壊すほどシュート……なんてね!」
蹴り飛ばされた半魚人が壁に衝突して床に倒れた。
慌てて身体を起こす半魚人であったが……すでにその眼前に光り輝く必殺の刃が突き付けられている。
「チェックメイト……このセリフ、敵を追い詰めた時に1度は言ってみたいよね。念願がまた1つ叶ったよ。ありがとう」
「ギョッ……」
「アハハハ、そんな目をしないでくれよ。こう見えても動物好きなんだよ?」
半魚人が命乞いでもするように見上げてくるが……少年は困ったように笑うだけで、剣を引くことはなかった。
「それじゃあ、さようなら」
「ッ……!」
少年が剣を突き出し、半魚人の首を貫いた。緑色の鱗に覆われた怪物が粉々になって消滅する。
「完全勝利。制圧完了……僕は余裕だったけど、みんなも大丈夫かな?」
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