堕ちた英勇の子

正海広竜

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第十話

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 エドワード達は持って来た昼食を食べ終えて食休みしながら、カードゲームをしていると。

「さて、そろそろ。皆に会いに来た訳を話すわね」

 腹もくちくなり、茶を飲んで気分を落ち着けたアイギナがそう言うと、エドワード達はカードゲームを止めて顔を向ける。

「皇女様。今日はいったい、どういう理由で僕達に会いに来たのですか~?」

 シモンファルトが疑問に思っている事を訊ねた。

 それが口火となり、他の者達も口を開いた。

「うむ」

「そうだね。姫様とは幼馴染とは言え、僕達とは学年が違うんだ。だから、接する事が少ない。それなのに会いに来た」

「旧交を温めるだけならば、学院ではなく茶会を開くので呼び出せばいい。それをしないという事は」

 エドワードは其処で区切ってアイギナを見る。

 見ているだけで心臓がドキドキ言うが、顔に出さない様に頑張るエドワード。

『このまま告れば?』

 相棒テッドの声が頭の中に響いた。

 エドワードは心の中で黙っていると思いながら口を開く。

「この学院内で、俺達としたい事がある。だから会いに来たという事ですか?」

 エドワードがそう訊ねると正解とばかりに笑うアイギナ。

「そうなの。この学院は入学して半年したら、部活に入るという校則がある事を知っている?」

 アイギナの問いかけにエドワード達は頷いた。

 この校則は学年が違う生徒達との交流を深める為と言う名目で作られたものだ。

 様々な部活があるので、最低でも一つ選び其処に入る事が決められていた。

「貴方達は何処かの部活に入るか決めた?」

 アイギナの問いにエドワードはオスカー達を見る。

 三人は決まっていないのか首を横に振る。

「皆、決まっていないそうです。自分もそうです」

 エドワード達が決まっていないと言うと、アイギナはこれ幸いとばかりにポケットから紙を出した。

 その紙には『入部届け』と書かれていた。

 エドワード達はその紙をジッと見る。

「「「「遊戯部?」」」」

「そう。去年からわたし達が入っている部活なの。カードゲームやボードゲームとかをして遊ぶ部活よ」

「……それって要するに遊ぶという事ですか?」

「そうとも言えるわね。でも、ちゃんとした大会にも出ている部なのよ」

「へぇ~、そうなんだ」

「遊べるのなら、良いんじゃない?」

「うむ」

 アイギナの話を聞いてオスカー達は入部に乗り気であった。

「エドはどうなの?」

 オスカー達は入部に乗り気であったが、エドワードだけ顎を撫でた。

「エド?」

「どうかしたの?」

 オスカーとシモンファルトは返事をしないエドワードに不審に思いエドワードの顔を見る。

「……他の部にも並列して入っても良いですか」

 実はエドワードは入りたい部があり、其処に入ろうと決めていた。

 だが、アイギナ皇女が勧めるので断るのも勿体ないと思った。

「別に良いわよ。強制はしないし、他の部と一緒に入って問題ないわ。それに」

 アイギナはルイーズを見た。

「ルイーズも遊戯部の他に剣術部も入っているから問題ないわ」

 アイギナがそう言うのを聞いてエドワードは頭を下げた。

「では、わたしも遊戯部ともう一つの部にも入るという事で」

「そう良かったわ」

 エドワードが入部すると言うと、クリュネ達は不満を述べた。

「ええ~、お兄ちゃん。そうしたら、わたし達と遊ぶ時間がなくなるよ~」

「エド兄。妹を可愛がらないのは問題だよっ」

「その、わたしも出来れば、兄さんと一緒に遊びたいな……」

 不満を述べる義妹達を見て苦笑いしつつエドワードは三人の頭を撫でた。

「お前達とはちゃんと遊ぶ時間を作るから、大丈夫だ」

「「本当に~~~?」」

「本当だ」

「「じゃあ、いいや」」

 クリュネ達はすんなり了承した。

 ヘレネだけは渋い顔をしていたが、エドワードが頭を撫でた。

「大丈夫だ。本当にちゃんと時間を作るから」

「本当に?」

「ああ。約束だ」

「うん」

 ヘレネは目を細めて気持ちよさそうに頭を撫でられていた。

『お前ってさ、女を誑し込む才能あるぜ。兄弟』

 テッドがそう言うのを聞いてエドワードは心の中でどういう意味だよと言うが、テッドからの答えはなかった。

 その後、オスカー達も『遊戯部』に入る事を決めた。
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