堕ちた英勇の子

正海広竜

文字の大きさ
12 / 17

第十一話

しおりを挟む
 翌日。


「ええ~、あたしが居ない時にそんな話をしたのっ⁉」

 エドワードは昨日アイギナと昼食を食べた場所で、昼ご飯を食べながらアルティナに昨日話した事を話した。

「ああ、その話を来た時は驚いたぜ」

 エドワードは持たされた弁当を食べながら昨日の事を思い返す。

 その顔を見るにアイギナに部活を誘われるとは思わなかった様だ。

「むぅ~、あたしも行けばよかった~」

 話を聞いたアルティナはむくれだした。

「まぁまぁ、ティナが入りたいと言ったら姫様も快く入部させてくれるよ」

 シモンファルトがアルティナを宥める様に言うが、アルティナはむくれたままであった。

「ティナが遊戯部か……向いていない気がするな」

「……うむ」

 オスカーがアルティナの部活をしているのを想像したのか苦笑いする。

 ランドルフは少し考えてみて、その通りだと思い頷く。

「何でよっ‼」

 二人の発言が聞き捨てられないのか、大きな声を上げるアルティナ。

 その疑問にはオスカーでもランドルフでも無く、エドワードが答えた。

「だって、お前ジッとしているの苦手だろう?」

「うぐっ」

 エドワードの指摘にアルティナは言葉を詰まらせた。

 活発な性格のアルティナ。

 学業の成績こそ悪くはないが、勉強するよりも身体を動かす事が好きな為、ジッとしているのを苦手としていた。

 なので、遊戯部には向いていないと幼馴染達は断言した。

「まぁ、人には向き不向きがあるからね」

「ティナは身体を動かすのが好きだからね~」

「そうだな」

「言えてるな。こいつの場合、ボードゲームをする姿は想像できないが、野原で走り回っている姿は容易に想像できるからな」

「く、くうう~~~~」

 幼馴染達のキツイ口撃にアルティナは悔しがる事しか出来なかった。

 クリュネ達はそんなアルティナを見て笑いをこらえていた。

 ヘレネだけは黙々と弁当を食べていた。

 ちなみに、この場に居るエドワードの幼馴染の中で一番学業の成績が悪いのはアルティナであった。一番をエドワード、オスカーと来て同率でランドルフとシモンファルトという成績順だ。

「まぁ、無理して入らなくても良いと思うぞ。お前は自分が選んだ部に入れば良いだろう」

 エドワードは皆より一足先に昼ご飯を食べ終わると弁当を仕舞い立ち上がった。

「ああ、そうだ。クリュネ。ストラー。ヘレネ」

「「「なに?」」」

「今日は用事があるから、お前等先に帰ろよ」

「「ええええ~~~」」

 クリュネとストラーは不満の声を上げた。

「どうして? 今日はわたし達が学校が終わる時間にお兄ちゃんの受ける授業が終わるから一緒に帰れると思ったのにっ」

「なに、エド兄。何処かの女生徒デートでも行くの? 可愛い妹を先に帰らせてっ」

 何時もは帰りはすれ違いになるのに、今日は一緒に帰れると思っていたのに出来ないと言われたのでクリュネ達は豚の様に不満を垂れた。

「済まない。今日は遊戯部とは別に入りたい部の説明会があるから。帰りが遅くなるんだ。だから、一緒に帰る事が出来ないんだ」

 エドワードは謝りながら一緒に帰れない理由を説明した。

 ヘレネはそれを聞いて気になった顔をした。

「そう言えば、兄さんは遊戯部とは別に入りたい部があるって言っていたけど、どんな部に入るの?」

「ああ、そう言えば言ってなかったな」

 ヘレネに言われて、言っていなかった事を思い出したエドワードは別段隠す事ではないと思った様で口を開いた。

「俺が入りたい部は騎乗部だ」


 放課後。


 今日受ける授業は全て終わり、エドワードは騎乗部の説明会が行われる場所に向かおうとしたが。

「何で、お前が付いて来るんだよ?」

 エドワードは自分の左側に居るアルティナを見て目を細める。

「べつに~、あたしが説明会に行っても問題ないでしょう。あたしは、ジッとしているのが苦手な女なんだからっ。騎乗部に行っても、何も問題ないでしょう?」

 所々、強調しながらアルティナは顔を背けながら昼時に言われた事を皮肉りだした。

「僻むな。お前には向いていないと言っただけだろう。別に入部しても良いだろう」

 そのまま入部し続けるか、三日坊主で終わるかは本人次第だがなと思うエドワード。

「それにしても、あんたが。騎乗部ね。動物好きなのは知っていたけど、部には居る程好きだったとはね~」

「…………正確に言えば、知り合いから誘われているんだ。入る入らないにしても説明会には顔を出してと言われていてな」

「へぇ~、知り合いね。誰?」

「おふくろの縁で知り合ったんだよ」

「へぇ、ラトレダさんの…………んっ⁉ もしかして⁉」

「多分、お前が思っている同じ人だ」

 エドワードがそう言うのを聞いてアルティナは思わず溜息を吐いた。



 それから少し歩くと、騎乗部の説明会が行われる教室の前に着いた。

 説明会を聞きに来た生徒達の列になっていた。

 受付に生徒がおり、其処に名前を言えば入れる様になっている様だ。

 エドワード達は列に並んだ。エドワード達の前に並んでいる者達が受付が終わり教室に入って行くので前へと進んでいく。

 そうして、ようやくエドワード達の番になった。

 受付の生徒がエドワード達と言うかエドワードの姿を見るなりギョッとした。

「これはこれは、どうぞ。こちらへ」

 受付の生徒が立ち上がり、騎乗部の説明会が行われる教室とは別の所に案内しだした。

 エドワード達は互いの顔を見てどういう事だと思ったが、何か有るのだろうと思いその生徒の後を追いかけた。

 そうして追い駆けていると、説明会が行われる教室から少し離れた教室の前まで案内された。

 案内をしてくれた生徒が教室の扉を叩く。

「お連れしました」

『そう。入りなさい』

 ドア越しに聞こえるのは艶がある声であった。

 その声を聞いて生徒はドアを開けて、手でエドワード達に入る様に促した。

 エドワード達は案内してくれた生徒に一礼して教室に入った。

 入ったエドワード達は室内を見回して驚いた。

 部屋に入ると、まず目に付いたのが背もたれと肘置きなどが付けられた座椅子があった。

 横に三人並んで座る事が出来る位に幅があり、背もたれもその幅に合わせて広かった。

 その座椅子にはエドワードと同じ位の身長の女性が居た。

 漆黒色の尻まで伸ばしたロングヘア。

 吊り上がった目に碧の瞳。整った気品がある顔立ち。

 手足が細く長く胸と尻がデカかった。

 エドワード達はその女性の前まで来て拝跪した。

「お久しぶりです。カサンドラ第二皇女殿下」

「元気そうね。エド」

 拝跪しながら挨拶するエドワードに座椅子に座っている女性ことカサンドラは笑みを浮かべつつ挨拶する。

 このカサンドラのフルネームはカサンドラ=アルカディアと言い、アルカディア皇国の次期王位継承権第二位にして第一皇女アイギナの異母姉妹であった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

悪役令嬢の慟哭

浜柔
ファンタジー
 前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。  だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。 ※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。 ※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。 「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。 「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。

さようなら婚約者

あんど もあ
ファンタジー
アンジュは、五年間虐げられた婚約者から婚約破棄を告げられる。翌日、カバン一つを持って五年住んだ婚約者の家を去るアンジュ。一方、婚約者は…。

処理中です...