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第五話
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困惑している俺達の中から、一人前に出て来た。
黒髪の短髪に犀利な顔と切れ目を持ち、すっきりと背が高かった。
縁が付いた眼鏡をかけており、制服を上から下までキッチリと着ていた。
こいつの名前は築山正太郎と言い、クラスメートの一人だ。
クールな性格なんだが、口が悪いせいか喧嘩を売っている様にしか見えない話し方をする。
顔も良く、頭は良くて、運動も得意という事で、女子からは人気がある。
その為か、男子の大多数からは嫌われている。俺は嫌っているというよりも、口が悪いのはどうにか出来ないのかと思うぐらいであった。
ちなみに、字は違うが璃子と同じ読み方をする苗字なので、紛らわしいのでクラスメート達は『築山』か『築山君』と呼び、璃子の方はそのまま璃子と呼んでいる。
「女神様? と呼んでいいのかな。聞いても宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「僕達を召喚したという事は、僕達を元の世界に返す事が出来るですか?」
築山がそう訊ねると、ミネルヴァは難しい顔をした。
「出来ないとは言いませんが、今は無理です」
それを聞いてクラスメート達は希望を持った顔をしだした。
「『今は』と言うと、どういう事ですか?」
「この世界と貴方達が居た世界とは別次元となります。ですので、貴方達を元の世界に戻すには、次元に穴を開ける必要があります。その為には膨大な魔力を消費します。少し時間を頂ければ、貴方達を元の世界に帰せるでしょう」
ミネルヴァがそう告げると、皆は喜びだした。
「それで、どれほど時間が掛るのですか?」
築山がそう訊ねると、ミネルヴァは先程と同じく難しい顔をしたままで答えた。
「それは、分かりません。貴方達を此処に召喚する時に、膨大な魔力を使いましたので、それと同等の魔力が必要となります。それが溜まるまでとしか」
「ふざけんな!」
ミネルヴァが話している最中に、怒鳴り声が響いた。
その声を聞いて、俺達はそちらに顔を向ける。
刈り上げした金髪に大きな目を持っていた。
つんけんした面構えで、大柄でいかつい体つきであった。
こいつの名前は鬼島剛士と言って、こいつの出身中学では相当な不良だったそうだ。
俺達が通っていた中学にまで、その名前が聞こえるぐらいであった。
ちなみ、中学時代、俺に喧嘩を売って来た一人で、返り討ちにされた。
同じクラスになって顔会わせた時は本当に驚いた。
鬼島も驚いていたが、未だにお礼参りする様子は無かった。
「俺達を無理矢理召喚して、何をするかも言わねえで、そして、いつ帰れるか分からねえだとっ。ふざけんなよ! 早く俺達を帰しやがれっ」
ミネルヴァに噛みつく鬼島。
鬼島の怒鳴り声を聞いても、ミネルヴァは平静であった。
「貴方の気持ちも分かります。ですが、我らもそれだけの手段を取らねばならない程に、追い詰められているのです」
「そんな事、俺らには関係ないだろうがっ」
ミネルヴァが宥めようとするが、その態度は鬼島の怒りを助長させるだけであった。
鬼島が何か言うと口を開いたのだが、その肩に手が掛けられた。
「其処までだ。鬼島」
鬼島に声を掛けるのは築山であった。
「何だよ。築山っ」
「お前が怒鳴った所で、僕達が帰れるわけじゃないんだ。少しは落ち着け」
「うるせえっ、てめえが俺に指図するんじゃねえっ」
自分の肩に置かれている手を振り払い、鬼島は怒りの矛先をミネルヴァから築山へと変えた。
鬼島と築山は仲が悪く、喧嘩になりそうな事がよくあった。
その度にクラスメート達が止めたり、霧島先生が仲裁などしていた。
「二人共、止めなさい」
険悪な雰囲気を察してか、霧島先生が宥めた。
「先生っ」
「俺は悪くねえぞ。こいつが」
「良いから、静かにしなさい。話が進まないでしょう」
霧島先生が強く言うと、二人共大人しくなった。
霧島先生は担当は英語なのだが、合気道を嗜んでいるそうで、鬼島が以前、霧島先生に絡もうとしたら、簡単に投げ飛ばされた所為か逆らわない様になったそうだ。
亜美がその現場に居合わせたとかで、興奮しながら教えてくれた。
鬼島が大人しくなると、築山も大人しくなった。
「失礼しました。ミネルヴァ様。話の続きをお願いできますか」
二人が大人しくなったのを確認した霧島先生はミネルヴァに話を促した。
様付けをしたのは、今俺達がいる何とか神権国の君主という事を考慮しての事だろう。
「分かりました。では、話の続きをお話しします」
ミネルヴァが話の続きを話し出した。
黒髪の短髪に犀利な顔と切れ目を持ち、すっきりと背が高かった。
縁が付いた眼鏡をかけており、制服を上から下までキッチリと着ていた。
こいつの名前は築山正太郎と言い、クラスメートの一人だ。
クールな性格なんだが、口が悪いせいか喧嘩を売っている様にしか見えない話し方をする。
顔も良く、頭は良くて、運動も得意という事で、女子からは人気がある。
その為か、男子の大多数からは嫌われている。俺は嫌っているというよりも、口が悪いのはどうにか出来ないのかと思うぐらいであった。
ちなみに、字は違うが璃子と同じ読み方をする苗字なので、紛らわしいのでクラスメート達は『築山』か『築山君』と呼び、璃子の方はそのまま璃子と呼んでいる。
「女神様? と呼んでいいのかな。聞いても宜しいでしょうか?」
「どうぞ」
「僕達を召喚したという事は、僕達を元の世界に返す事が出来るですか?」
築山がそう訊ねると、ミネルヴァは難しい顔をした。
「出来ないとは言いませんが、今は無理です」
それを聞いてクラスメート達は希望を持った顔をしだした。
「『今は』と言うと、どういう事ですか?」
「この世界と貴方達が居た世界とは別次元となります。ですので、貴方達を元の世界に戻すには、次元に穴を開ける必要があります。その為には膨大な魔力を消費します。少し時間を頂ければ、貴方達を元の世界に帰せるでしょう」
ミネルヴァがそう告げると、皆は喜びだした。
「それで、どれほど時間が掛るのですか?」
築山がそう訊ねると、ミネルヴァは先程と同じく難しい顔をしたままで答えた。
「それは、分かりません。貴方達を此処に召喚する時に、膨大な魔力を使いましたので、それと同等の魔力が必要となります。それが溜まるまでとしか」
「ふざけんな!」
ミネルヴァが話している最中に、怒鳴り声が響いた。
その声を聞いて、俺達はそちらに顔を向ける。
刈り上げした金髪に大きな目を持っていた。
つんけんした面構えで、大柄でいかつい体つきであった。
こいつの名前は鬼島剛士と言って、こいつの出身中学では相当な不良だったそうだ。
俺達が通っていた中学にまで、その名前が聞こえるぐらいであった。
ちなみ、中学時代、俺に喧嘩を売って来た一人で、返り討ちにされた。
同じクラスになって顔会わせた時は本当に驚いた。
鬼島も驚いていたが、未だにお礼参りする様子は無かった。
「俺達を無理矢理召喚して、何をするかも言わねえで、そして、いつ帰れるか分からねえだとっ。ふざけんなよ! 早く俺達を帰しやがれっ」
ミネルヴァに噛みつく鬼島。
鬼島の怒鳴り声を聞いても、ミネルヴァは平静であった。
「貴方の気持ちも分かります。ですが、我らもそれだけの手段を取らねばならない程に、追い詰められているのです」
「そんな事、俺らには関係ないだろうがっ」
ミネルヴァが宥めようとするが、その態度は鬼島の怒りを助長させるだけであった。
鬼島が何か言うと口を開いたのだが、その肩に手が掛けられた。
「其処までだ。鬼島」
鬼島に声を掛けるのは築山であった。
「何だよ。築山っ」
「お前が怒鳴った所で、僕達が帰れるわけじゃないんだ。少しは落ち着け」
「うるせえっ、てめえが俺に指図するんじゃねえっ」
自分の肩に置かれている手を振り払い、鬼島は怒りの矛先をミネルヴァから築山へと変えた。
鬼島と築山は仲が悪く、喧嘩になりそうな事がよくあった。
その度にクラスメート達が止めたり、霧島先生が仲裁などしていた。
「二人共、止めなさい」
険悪な雰囲気を察してか、霧島先生が宥めた。
「先生っ」
「俺は悪くねえぞ。こいつが」
「良いから、静かにしなさい。話が進まないでしょう」
霧島先生が強く言うと、二人共大人しくなった。
霧島先生は担当は英語なのだが、合気道を嗜んでいるそうで、鬼島が以前、霧島先生に絡もうとしたら、簡単に投げ飛ばされた所為か逆らわない様になったそうだ。
亜美がその現場に居合わせたとかで、興奮しながら教えてくれた。
鬼島が大人しくなると、築山も大人しくなった。
「失礼しました。ミネルヴァ様。話の続きをお願いできますか」
二人が大人しくなったのを確認した霧島先生はミネルヴァに話を促した。
様付けをしたのは、今俺達がいる何とか神権国の君主という事を考慮しての事だろう。
「分かりました。では、話の続きをお話しします」
ミネルヴァが話の続きを話し出した。
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