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第61話 キナ臭いな
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「成程。それでうちに来たと」
玄関先で口論をしていたリエリナ達であったが疲れたのか、屋敷の中に入り茶を飲む事になった。
リエリナとカルディアが対面になる位置に座り、カトリーヌはその二人に挟まれる様に座る位置になった。
勿論、ザガードはリエリナの後ろだ。
優雅に茶を飲みながらカルディアは此処に来たあらましを聞いた。
「貴女の家が分家をちゃんと躾けてないからこうなったのよ。ちゃんと躾けも出来ないのかしら?」
「わたしの家は貴女の家みたいに古いだけが取り柄の家柄と違って、分家は多くあるから統制をとるのが大変なのよ」
「それは大変ね。猫の手でも借りたら?」
「う~ん。出来れば忠実な子の手を借りたいわ。そう思わない。ザガード?」
話を振られたザガードは答えに窮した。
大変ですねと答えたらカルディアに「そう思うのなら我が家に来ない?」と言われそうであった。
それを聞いてリエリナが怒るのは火を見るよりも明らかであった。
だが、無言でいれば失礼にあたるし、その上「ああ、ご主人様に余計な口を挟むなと言われているの? 可哀そうにそんな窮屈な家に居るぐらいなら我が家に来ない? 貴方なら高待遇で迎えるわよ」と言われる。
それを聞いて激怒するリエリナ。
どう答えてもリエリナが怒るので困るザガード。
前に似たような事をされたので今回も同じような事を言うだろうなと内心思うザガード。
其処に意外な助け船が入った。
「あの、カルディア様はリエリナ様達と付き合いが長いのですか?」
カトリーヌが気になっていたのかカルディアに訊ねた。
訊ねられたカルディアは少し考えた。
「庶民的に言えば腐れ縁という感じよね」
「そうね。忘れもしないわ。初めて会った日の事を」
リエリナも昔の事を思い出す。
「もう七年前になるわね。とある貴族の社交パーティーであったのよ。この人とは」
「その時もザガードを連れていたわね貴女は。わたしはザガードを見た瞬間、ピカンっと光ったの。〝この人はいつか大物になる〟ってね。其処で今のうちに唾をつけとこうと、話をしに言ったのよ」
「あの時の言葉は忘れないわ。挨拶を交わすなり『わたしの婿にならない?』よ」
「勝手に捏造しないでくれるかしら? わたしは『我が家に仕えない。今ならわたしの婿になる権利もつくわよ」と言ったのよ」
カトリーヌは内心、あまり変わらないのではと思いつつも口は出さない。
下手に口を出したら余計に話が進まないと予想できたからだ。
「何でわたしの従者が貴女の家に雇われないといけないのよ。しかも、婿になる権利も付くとか有り得ないでしょうっ」
「あの時は口が滑ったけど、別に本人が構わなかったら別に良いでしょう」
「構うわよ。わたしの家の者なんだから」
「あら、やだ。使用人が何処に行くのも貴女の許可が必要なの? そんな窮屈な家ではさぞ使用人達は苦労しているでしょうね」
これ見よがしに鼻で笑うカルディア。
「ふん。言ってなさい。自分の家の分家の躾も出来ない本家の次期当主様の下に仕えている使用人達も大変でしょうけどね」
「むぅっ」
「ふんっ」
リエリナとカルディアは睨み合う。
少しでも視線を逸らせば負けだと言わんばかりに。
それを見てザガードは口を挟んだ。
「カルディア様。今回、我らが貴女様の下に来たのは分家の者達がした事についての処罰のついてです。どうか、相応の処分を」
ザガードがそう言うと、カルディアはリエリナから目を反らさないで口を開いた。
「ええ、別に良いわよ。それにしても、最近、分家の者達は妙に浮ついてるのよね。何故かしら? それに密かにクラ―トゲシャブ家の者達と接触している節があるのよね」
(クラ―トゲシャブ家と? ふむ)
軍事を司るクラ―トゲシャブ家。経済全般を司るリウンシュハイム家の分家。
これは何かあるなと思えた。
玄関先で口論をしていたリエリナ達であったが疲れたのか、屋敷の中に入り茶を飲む事になった。
リエリナとカルディアが対面になる位置に座り、カトリーヌはその二人に挟まれる様に座る位置になった。
勿論、ザガードはリエリナの後ろだ。
優雅に茶を飲みながらカルディアは此処に来たあらましを聞いた。
「貴女の家が分家をちゃんと躾けてないからこうなったのよ。ちゃんと躾けも出来ないのかしら?」
「わたしの家は貴女の家みたいに古いだけが取り柄の家柄と違って、分家は多くあるから統制をとるのが大変なのよ」
「それは大変ね。猫の手でも借りたら?」
「う~ん。出来れば忠実な子の手を借りたいわ。そう思わない。ザガード?」
話を振られたザガードは答えに窮した。
大変ですねと答えたらカルディアに「そう思うのなら我が家に来ない?」と言われそうであった。
それを聞いてリエリナが怒るのは火を見るよりも明らかであった。
だが、無言でいれば失礼にあたるし、その上「ああ、ご主人様に余計な口を挟むなと言われているの? 可哀そうにそんな窮屈な家に居るぐらいなら我が家に来ない? 貴方なら高待遇で迎えるわよ」と言われる。
それを聞いて激怒するリエリナ。
どう答えてもリエリナが怒るので困るザガード。
前に似たような事をされたので今回も同じような事を言うだろうなと内心思うザガード。
其処に意外な助け船が入った。
「あの、カルディア様はリエリナ様達と付き合いが長いのですか?」
カトリーヌが気になっていたのかカルディアに訊ねた。
訊ねられたカルディアは少し考えた。
「庶民的に言えば腐れ縁という感じよね」
「そうね。忘れもしないわ。初めて会った日の事を」
リエリナも昔の事を思い出す。
「もう七年前になるわね。とある貴族の社交パーティーであったのよ。この人とは」
「その時もザガードを連れていたわね貴女は。わたしはザガードを見た瞬間、ピカンっと光ったの。〝この人はいつか大物になる〟ってね。其処で今のうちに唾をつけとこうと、話をしに言ったのよ」
「あの時の言葉は忘れないわ。挨拶を交わすなり『わたしの婿にならない?』よ」
「勝手に捏造しないでくれるかしら? わたしは『我が家に仕えない。今ならわたしの婿になる権利もつくわよ」と言ったのよ」
カトリーヌは内心、あまり変わらないのではと思いつつも口は出さない。
下手に口を出したら余計に話が進まないと予想できたからだ。
「何でわたしの従者が貴女の家に雇われないといけないのよ。しかも、婿になる権利も付くとか有り得ないでしょうっ」
「あの時は口が滑ったけど、別に本人が構わなかったら別に良いでしょう」
「構うわよ。わたしの家の者なんだから」
「あら、やだ。使用人が何処に行くのも貴女の許可が必要なの? そんな窮屈な家ではさぞ使用人達は苦労しているでしょうね」
これ見よがしに鼻で笑うカルディア。
「ふん。言ってなさい。自分の家の分家の躾も出来ない本家の次期当主様の下に仕えている使用人達も大変でしょうけどね」
「むぅっ」
「ふんっ」
リエリナとカルディアは睨み合う。
少しでも視線を逸らせば負けだと言わんばかりに。
それを見てザガードは口を挟んだ。
「カルディア様。今回、我らが貴女様の下に来たのは分家の者達がした事についての処罰のついてです。どうか、相応の処分を」
ザガードがそう言うと、カルディアはリエリナから目を反らさないで口を開いた。
「ええ、別に良いわよ。それにしても、最近、分家の者達は妙に浮ついてるのよね。何故かしら? それに密かにクラ―トゲシャブ家の者達と接触している節があるのよね」
(クラ―トゲシャブ家と? ふむ)
軍事を司るクラ―トゲシャブ家。経済全般を司るリウンシュハイム家の分家。
これは何かあるなと思えた。
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