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3.浮気の証拠を探すにゃん
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はじめにジェナが目をつけた場所は、窓際に置かれたベッドの下だ。他人がわざわざ覗き込むような場所ではないから、隠し物をするにはぴったりだと思ったのだ。
かくいうジェナも自室のベッドの下に、令嬢友達から貰ったちょっとエッチな読み物を隠している。この秘密を知る者は、ジェナの幼少期からの専属メイドであるルピシアだけだ。
(もしイーサンが浮気をしていて、その証拠を隠そうと思うなら、ここ以上の隠し場所はないはずだわ……!)
ジェナは元々が人間であることも忘れてベッドの下を這いずり回った。
そしてついに見つけた。枕元の下、一番わかりにくい場所にひっそりと置かれた謎の小箱を。
「にゃっにゃ!(やった!)」
ジェナは歓喜し、その謎の小箱を開けようとした。
しかし繊細な動きができない猫の手では、しっかりと閉められた小箱を開けることはできず、ふたをカリカリと引っ掻くだけだった。
(……ダメだわ、開けられない。でもこうして小箱を隠しているということは、イーサンにはやましい事があるということだわ。何か、他に浮気の証拠になるような物はないかしら……)
何も見つけてはいないのに、ジェナはもうイーサンが浮気をしていると信じて疑わなかった。
なぜならそう考えれば辻褄が合うからだ。イーサンがジェナに冷たい態度を取り続けているのは、他に好きな女性がいるから。多分、その女性は平民か何かの生まれで、結婚することはできないからとジェナの存在を隠れ蓑にしている。
ジェナと結婚した後はその女性をメイドとして雇い、人目を忍んでイチャイチャする予定なのだろう。到底見逃すことのできない悪しき計画である。
(イーサン、許さないわ! 絶対に浮気の証拠を見つけてやるんだから!)
意気込み直したジェナは、猫の身軽さを生かして机の上に飛び乗った。日頃、イーサンが書き物用として使っている机だ。
机の上には何枚かの紙が散らばっていて、ジェナはそのうちの1枚に目を留めた。
(これは……手紙のようね。どれどれ……『貴女と一緒に過ごす日を楽しみにしている。一つ大人になった貴女は妖精のように美しいだろうから』……って何よこれ! 私が誕生日会に呼んだら迷惑そうな顔をする癖に、どこぞの女の誕生日会にはこんな甘々な手紙を添えて出席するつもりなの!?)
ジェナは憤慨した。浮気の証拠を見つけた喜びも忘れ、怒り任せに手紙を破ろうとした。
――そのときだ。
「こーら、猫ちゃん。悪戯をしてはいけませんよ」
ジェナの目の前から、さっと手紙を取り去ったのはメイドのエリサだった。気がつかないうちに部屋へと戻ってきていたようだ。
「にゃにゅにやー! にゃーにやっ!(てがみをー! かえしてー!)」
ジェナは手紙を取り返そうとエリサの手に飛びついた。
が、エリサはまるで猫の言葉を理解しているようにジェナをなだめた。
「駄目です。この手紙はイーサン様が大切な方に送られる予定の手紙なんです。破いてしまっては困りますよ」
(大切な方ですってぇ! メイドも公認の浮気相手ということなの!?)
ついに怒りは限界を超え、ジェナがシャーッと全身の毛を逆立てたときだ。部屋の扉が開き、何食わぬ顔のイーサンが入ってきた。
「エリサ、どうした?」
「猫ちゃんが手紙を破ろうとしていたので、叱っていたところです」
「手紙?」
「イーサン様が、ジェナ様のためにしたためた手紙ですよ。誕生日会へのお誘いをいただいて、そのお返事にと書かれていた」
「あー……」
(ジェナ! イーサンの浮気相手の名前はジェナというのね――ん?)
ジェナははてと首をかしげた。ジェナの名前はジェナ、そしてイーサンの浮気相手の名前もジェナ。そんな都合のいい偶然がはたしてあるものだろうか?
困惑するジェナの目の前で、エリサの説教が始まった。
「イーサン様。私は何度も申し上げておりますが、手紙は渡さないと相手に届きません。いくら心を込めて手紙をしたためても、ジェナ様に渡さなければ何の意味もありませんよ」
「……」
「誕生日プレゼントだってそうです。毎年気合いの入ったプレゼントを用意するくせに、一度も渡せたことがないではありませんか。……ああ、昨年は母君にお願いして、代わりに渡してもらったのでしたね。進歩……というべきかどうかは判断しかねますが」
イーサンは拳を握りしめてエリサの説教に耳を澄ませていたが、ここまでくると声を荒げた。
「うううるせぇぇ! 俺のこのひねくれた性格を知ってんだろうが! そう簡単に手紙やプレゼントが渡せてたまるか!」
エリサはしれっと答えた。
「世の大半の男性は、そうして意中の女性と愛を育んでいらっしゃるのですけれどね」
「うぐっ……」
「いい加減、素直におなりくださいませ。イーサン様がジェナ様にベタ惚れしていることは、ブライトン家の者ならば誰でも知っていることです。そもそも婚約を申し込まれたのだって、イーサン様がジェナ様に一目惚れなさったからではありませんか」
(……え、そうなの?)
「今までにジェナ様からもらった手紙や、誕生日プレゼントなどを、すべて大切に取ってあることを私は存じておりますよ。ほら、あのベッドの下に隠した小箱……あの箱の中身をジェナ様がご覧になったら何とおっしゃることやら」
エリサの視線を追って、ジェナはベッドの方を見た。ベッドの下に隠された小箱ならさっき見つけた。てっきり浮気の証拠が隠されていると思い、猫の手で懸命に開けようとした小箱だ。
うつむき、黙り込むイーサンに、エリサはとどめの一言を刺す。
「1ヶ月後、ジェナ様の誕生日会が最後のチャンスかもしれませんよ? 私が見る限り、ジェナ様はイーサン様の態度にかなり腹を立てていらっしゃいます。先ほど宝石商から受け取ったプレゼントをご自分の手でしっかりと渡し、『愛してる』の一言くらい囁かないと、誕生日会の最後には婚約破棄を言い渡されてしまうかもしれませんね?」
「っ……」
イーサンの答えを聞くことなく、エリサは部屋を出て行った。
また2人きりとなってしまった部屋の中で、ジェナはどこか夢見心地で考えた。
(イーサンが私にベタ惚れ……? 今まで渡した手紙やプレゼントを全部とってある……? いやいやいや、そんな馬鹿な……)
ジェナの脳裏に、イーサンと過ごした時間がまざまざと思い出された。
茶会で顔を合わせるたびに「俺の前に立つんじゃねぇ」と暴言を吐かれ、ドレスや髪飾りを揶揄われた回数は数知れず。手紙を送れば返事はこず、はるばる自宅まで足を運べば迷惑そうな顔をされ、社交辞令で渡したプレゼントにお礼を言われたこともない。
もしもそれらの態度が愛情の裏返しだとしたら、ちょっと裏返りすぎではないだろうか。
「にゃにゃーん……にゃっ(イーサン……わっ)」
混乱して思わずイーサンの名前を呼べば、思いがけず近いところにイーサンの顔があった。
いつもジェナを小馬鹿にしたような表情を浮かべているイーサンが、今ばかりは真剣な面持ちでジェナの顔を覗き込んでいた。
(な、何? ひょっとして猫になったことがバレた……?)
戸惑うジェナを見つめながら、イーサンは静かに口を開いた。
「ジェナ……あ、あい、愛…………って言えるかぁッ!」
バァンッ、と思い切り机を叩き、イーサンはベッドにダイブした。両手で髪を掻きむしりながら、ベッドの上をゴロゴロと転げ回る。
「猫相手でも言えねぇのに、本人相手に言えるわけがあるか! 今まで嫌味ばっか言ってた俺が、どの面ひっさげて『愛してる』なんて言うんだボケッ!」
絶叫するイーサンの上着のポケットから、何やら小さな物がころりと落ちた。興味を引かれたジェナがそばに寄って見てみると、それは高級感のあるリングケースだった。転がり落ちた拍子にケースのふたが開き、中身がちらりと見えてしまっている。
指輪。ついている宝石はブラックダイヤモンド――ジェナの瞳と同じ色だ。
「……にゃ」
何だかいろんなことが、すとんと胸に落ちてしまった。
「『愛してる』は無理……『愛してる』は無理だっつの……でも婚約破棄はもっと無理……ジェナと離れるくらいなら死ぬ……」
ぶつぶつとつぶやくイーサンに、ジェナは背中を向けた。そしてエリサが閉め忘れたのであろう扉の隙間から、そっと部屋を抜け出した。
気がつけば、ジェナはまた林の中にきていた。目の前には女神の木がぽつねんと佇んでいる。
ジェナはその木に背中をつけて、「どうか人間の姿に戻してほしい」と願った。木はすぐに願いを叶えてくれた。
人間の姿へと戻ったジェナは、女神の木に背中を預けたまま長いことその場所に佇んでいた。
かくいうジェナも自室のベッドの下に、令嬢友達から貰ったちょっとエッチな読み物を隠している。この秘密を知る者は、ジェナの幼少期からの専属メイドであるルピシアだけだ。
(もしイーサンが浮気をしていて、その証拠を隠そうと思うなら、ここ以上の隠し場所はないはずだわ……!)
ジェナは元々が人間であることも忘れてベッドの下を這いずり回った。
そしてついに見つけた。枕元の下、一番わかりにくい場所にひっそりと置かれた謎の小箱を。
「にゃっにゃ!(やった!)」
ジェナは歓喜し、その謎の小箱を開けようとした。
しかし繊細な動きができない猫の手では、しっかりと閉められた小箱を開けることはできず、ふたをカリカリと引っ掻くだけだった。
(……ダメだわ、開けられない。でもこうして小箱を隠しているということは、イーサンにはやましい事があるということだわ。何か、他に浮気の証拠になるような物はないかしら……)
何も見つけてはいないのに、ジェナはもうイーサンが浮気をしていると信じて疑わなかった。
なぜならそう考えれば辻褄が合うからだ。イーサンがジェナに冷たい態度を取り続けているのは、他に好きな女性がいるから。多分、その女性は平民か何かの生まれで、結婚することはできないからとジェナの存在を隠れ蓑にしている。
ジェナと結婚した後はその女性をメイドとして雇い、人目を忍んでイチャイチャする予定なのだろう。到底見逃すことのできない悪しき計画である。
(イーサン、許さないわ! 絶対に浮気の証拠を見つけてやるんだから!)
意気込み直したジェナは、猫の身軽さを生かして机の上に飛び乗った。日頃、イーサンが書き物用として使っている机だ。
机の上には何枚かの紙が散らばっていて、ジェナはそのうちの1枚に目を留めた。
(これは……手紙のようね。どれどれ……『貴女と一緒に過ごす日を楽しみにしている。一つ大人になった貴女は妖精のように美しいだろうから』……って何よこれ! 私が誕生日会に呼んだら迷惑そうな顔をする癖に、どこぞの女の誕生日会にはこんな甘々な手紙を添えて出席するつもりなの!?)
ジェナは憤慨した。浮気の証拠を見つけた喜びも忘れ、怒り任せに手紙を破ろうとした。
――そのときだ。
「こーら、猫ちゃん。悪戯をしてはいけませんよ」
ジェナの目の前から、さっと手紙を取り去ったのはメイドのエリサだった。気がつかないうちに部屋へと戻ってきていたようだ。
「にゃにゅにやー! にゃーにやっ!(てがみをー! かえしてー!)」
ジェナは手紙を取り返そうとエリサの手に飛びついた。
が、エリサはまるで猫の言葉を理解しているようにジェナをなだめた。
「駄目です。この手紙はイーサン様が大切な方に送られる予定の手紙なんです。破いてしまっては困りますよ」
(大切な方ですってぇ! メイドも公認の浮気相手ということなの!?)
ついに怒りは限界を超え、ジェナがシャーッと全身の毛を逆立てたときだ。部屋の扉が開き、何食わぬ顔のイーサンが入ってきた。
「エリサ、どうした?」
「猫ちゃんが手紙を破ろうとしていたので、叱っていたところです」
「手紙?」
「イーサン様が、ジェナ様のためにしたためた手紙ですよ。誕生日会へのお誘いをいただいて、そのお返事にと書かれていた」
「あー……」
(ジェナ! イーサンの浮気相手の名前はジェナというのね――ん?)
ジェナははてと首をかしげた。ジェナの名前はジェナ、そしてイーサンの浮気相手の名前もジェナ。そんな都合のいい偶然がはたしてあるものだろうか?
困惑するジェナの目の前で、エリサの説教が始まった。
「イーサン様。私は何度も申し上げておりますが、手紙は渡さないと相手に届きません。いくら心を込めて手紙をしたためても、ジェナ様に渡さなければ何の意味もありませんよ」
「……」
「誕生日プレゼントだってそうです。毎年気合いの入ったプレゼントを用意するくせに、一度も渡せたことがないではありませんか。……ああ、昨年は母君にお願いして、代わりに渡してもらったのでしたね。進歩……というべきかどうかは判断しかねますが」
イーサンは拳を握りしめてエリサの説教に耳を澄ませていたが、ここまでくると声を荒げた。
「うううるせぇぇ! 俺のこのひねくれた性格を知ってんだろうが! そう簡単に手紙やプレゼントが渡せてたまるか!」
エリサはしれっと答えた。
「世の大半の男性は、そうして意中の女性と愛を育んでいらっしゃるのですけれどね」
「うぐっ……」
「いい加減、素直におなりくださいませ。イーサン様がジェナ様にベタ惚れしていることは、ブライトン家の者ならば誰でも知っていることです。そもそも婚約を申し込まれたのだって、イーサン様がジェナ様に一目惚れなさったからではありませんか」
(……え、そうなの?)
「今までにジェナ様からもらった手紙や、誕生日プレゼントなどを、すべて大切に取ってあることを私は存じておりますよ。ほら、あのベッドの下に隠した小箱……あの箱の中身をジェナ様がご覧になったら何とおっしゃることやら」
エリサの視線を追って、ジェナはベッドの方を見た。ベッドの下に隠された小箱ならさっき見つけた。てっきり浮気の証拠が隠されていると思い、猫の手で懸命に開けようとした小箱だ。
うつむき、黙り込むイーサンに、エリサはとどめの一言を刺す。
「1ヶ月後、ジェナ様の誕生日会が最後のチャンスかもしれませんよ? 私が見る限り、ジェナ様はイーサン様の態度にかなり腹を立てていらっしゃいます。先ほど宝石商から受け取ったプレゼントをご自分の手でしっかりと渡し、『愛してる』の一言くらい囁かないと、誕生日会の最後には婚約破棄を言い渡されてしまうかもしれませんね?」
「っ……」
イーサンの答えを聞くことなく、エリサは部屋を出て行った。
また2人きりとなってしまった部屋の中で、ジェナはどこか夢見心地で考えた。
(イーサンが私にベタ惚れ……? 今まで渡した手紙やプレゼントを全部とってある……? いやいやいや、そんな馬鹿な……)
ジェナの脳裏に、イーサンと過ごした時間がまざまざと思い出された。
茶会で顔を合わせるたびに「俺の前に立つんじゃねぇ」と暴言を吐かれ、ドレスや髪飾りを揶揄われた回数は数知れず。手紙を送れば返事はこず、はるばる自宅まで足を運べば迷惑そうな顔をされ、社交辞令で渡したプレゼントにお礼を言われたこともない。
もしもそれらの態度が愛情の裏返しだとしたら、ちょっと裏返りすぎではないだろうか。
「にゃにゃーん……にゃっ(イーサン……わっ)」
混乱して思わずイーサンの名前を呼べば、思いがけず近いところにイーサンの顔があった。
いつもジェナを小馬鹿にしたような表情を浮かべているイーサンが、今ばかりは真剣な面持ちでジェナの顔を覗き込んでいた。
(な、何? ひょっとして猫になったことがバレた……?)
戸惑うジェナを見つめながら、イーサンは静かに口を開いた。
「ジェナ……あ、あい、愛…………って言えるかぁッ!」
バァンッ、と思い切り机を叩き、イーサンはベッドにダイブした。両手で髪を掻きむしりながら、ベッドの上をゴロゴロと転げ回る。
「猫相手でも言えねぇのに、本人相手に言えるわけがあるか! 今まで嫌味ばっか言ってた俺が、どの面ひっさげて『愛してる』なんて言うんだボケッ!」
絶叫するイーサンの上着のポケットから、何やら小さな物がころりと落ちた。興味を引かれたジェナがそばに寄って見てみると、それは高級感のあるリングケースだった。転がり落ちた拍子にケースのふたが開き、中身がちらりと見えてしまっている。
指輪。ついている宝石はブラックダイヤモンド――ジェナの瞳と同じ色だ。
「……にゃ」
何だかいろんなことが、すとんと胸に落ちてしまった。
「『愛してる』は無理……『愛してる』は無理だっつの……でも婚約破棄はもっと無理……ジェナと離れるくらいなら死ぬ……」
ぶつぶつとつぶやくイーサンに、ジェナは背中を向けた。そしてエリサが閉め忘れたのであろう扉の隙間から、そっと部屋を抜け出した。
気がつけば、ジェナはまた林の中にきていた。目の前には女神の木がぽつねんと佇んでいる。
ジェナはその木に背中をつけて、「どうか人間の姿に戻してほしい」と願った。木はすぐに願いを叶えてくれた。
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