純白少女と転生者

おすねこ

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第1章『聖霊樹の巫女』

03

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「ここが冒険者ギルド本部か……改めて現実の建物としてみると、なんともでかい建物じゃないか」

 外壁の門で聞いてきた通りの場所にある冒険者ギルド本部まで来ると、見覚えのある石造りの巨大な建物がそびえたっていた。
 もちろん見たのはスマホの画面越しにではあったが、こうして目の前に立ってみるとゲームのファンとして聖地巡りでもしに来たような感慨があった。
 もちろん、モデルになった場所とかではなく本物なのだが。

「さて、じゃあ行くかな」

 俺はできるだけきょろきょろしない様に、堂々とした足取りを心掛けながらギルド本部の中へと足を踏み入れた。
 いかにもど素人ですみたいな様子で入っていくと、テンプレ展開のように荒くれ冒険者に絡まれるようなこともあるかもしれないからだ。

 入ってすぐはロビーのようになっており、簡易ベンチがたくさん並んだ奥に受付がいくつか並んでいる。
 すぐ見える場所には案内板が設けてあり、どの受付がどの対応をしているのかが詳細に書かれていた。
 なかなか機能的である。

 受付の種類は主に『冒険者への依頼の受付』『冒険者の依頼の受領の受付』『冒険者登録受付』『別部署からの事務受付』『冒険者ギルド統括受付』の5種類のようだ。
 案内板によれば、養成コースの受講は『冒険者登録受付』で行えるようなので、俺は当然そちらの方に足を向けた。

 受付の近くで整理券(木札)を配っているようで、俺はそれを受け取ると近くのベンチに腰を下ろす。
 なんだか、普通に現実世界の銀行やスマホショップに着ているような感覚で、なんだかファンタジーっぽさを感じない。

 ゲームではこちらのキャラクターが受付に話しかけるだけで処理できたし、順番待ちもなければ受付の種類すらなかった。
 まぁ、ゲームだから全てはプレイヤーを優先すればいいわけで、それがこうして現実になってしまえばどうしても俗っぽくはなってしまうのだろう。

 いっそこういう部分が全然なってないような世界だったら、俺みたいな普通の一般人の知識でも内政チートみたいなことができたかもしれないのにな。

「三五番の方~。三五番の方がおられましたら『冒険者登録受付』の方までお越しください~」

 ……既に過去誰かが転生してきて、内政チートをした影響なのではなかろうか。
 何もおかしな事などないはずなのに、こんなファンタジーの世界での、こうしたシステムめいた対応に妙に元の世界を感じさせられた。

「すみません、三五番です。えっと、冒険者養成コースの受講を希望したいのですが」

 受付までやってきた俺は、丁寧に受付のお姉さんに目的を伝える。
 受付のお姉さんはさすがにこういう表に出る受付を任されるだけあってか、なかなかの美人さんだった。

 そしておっぱ……ごほん。
 たわわに実る果実が……あー。
 うん、見ない、見なかった、何も見ていない。

 一瞬ちらっと眼に映ったそれから慌てて視線を外し、俺は受付のお姉さんの視線と自分の視線を合わせるようにする。
 そう、俺は紳士。紳士なのだ!
 そんな俺に、お姉さんは少し苦笑交じりの笑顔を見せてきた。
 なんだか俺の中に生まれた色々な葛藤を、全て見透かされているような気がしてならない。

「冒険者養成コースですね。それじゃあ……えっと…はい、こちらの書類にお名前と出身地をお願いできますか?」

「解りました。名前と、出身地……?」

 まずい。
 名前は別に構わない。いつも普通にゲームで使用してる名前『カイト=インディナル』でいいはずだ。
 問題は出身地だ。

 一応このゲームをやりこんだ身としては、国の名前や町の名前はしっかり脳内に記憶しているのだが……何分俺はこの世界に今のこの姿で転生して来た身だ。
 ……とはいえ実は、自分の姿についてはまだしっかり見る機会はなかった。

 くそぅ、宿屋の部屋にドレッサーの一つも置いていてくれればっ……!
 ただ目覚めた時にも思ったが、体は生前の体よりもすらっとしているし髪の色だけはつまんでちゃんと確認していたりする。青色だった。

 その事からおそらく容姿はゲームでキャラメイクした容姿のままなのではないかと思っている。
 髪が青なのは俺の名前の『海斗』の海のイメージからだ。
 って、話が少しそれたが……とにかく出身地がなんとも悩ましい。

「あの……もし字が書けないようでしたら代筆させていただきますが……?」

「あ、いえ、その、大丈夫です」

 この世界の文字も会話も何の支障もない。
 それは俺に異世界転生にありがちな『全言語理解』のスキルが備わっているから!

 ……ではなく、普通に全て日本語と変わらないからだった。

 くそぅ、異世界っぽさ、異世界っぽさはどこに行った!
 俺は心の中でそんな事を嘆きながら、出身地は最初に俺がいた宿場町アリアラと記入することにした。
 まぁ、一介の冒険者の出身地なんかで後々困ってくるような事態にはならないだろう。

「『カイト=インディナル』様……出身は『宿場町アリアラ』……はい、大丈夫です。それではコースの受講料として銀貨三枚いただきますね」

 ば、馬鹿な、ゲームでは無料で受講できた(というか強制だった)チュートリアルが有料だとは……世知辛いが、普通に考えて冒険者の基本的なノウハウを三日つきっきりで教えてくれるわけで、それが無料というのはさすがにボランティアが過ぎるだろう。

 俺は内心泣く泣く銀貨三枚を支払った。
 くっ……これで俺の財布は残り銅貨十枚……まぁ、おそらく銀貨にして一枚分しかない。

 ちなみに宿屋メイリーフの支払いに関しては『済んでいた』らしく、俺は宿屋メイリーフでの金銭は要求されなかった。
 ちなみに聞く所によると、宿泊は朝ごはん込みで銀貨二枚と銅貨五枚だったとの事。俺の全財産の半分じゃないか!

「それでは受講の開始は明日の九の刻より開始しますので、その時間までにもう一度こちらの受付までお越しくださいね」

「解りました。それではあし…た……?」

 待て待て待て待て待て!
 これは出身地よりやばいぞ!

 普通の宿場町で銀貨二枚と銅貨五枚の宿泊費がかかったのだ。
 ましてやここは『首都』である。
 いったいどれ程の宿泊費が必要になるというのか!

「え、え~っと……どこかに銅貨十枚で泊まれる宿か何か……ありませんか?」

「家畜小屋の藁ぐらいなら貸してもらえるかもしれませんね?」

 ちょっ、前途多難すぎやしないかこの異世界転生っ!
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