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第1章『聖霊樹の巫女』
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遅刻ギリギリになってしまったが、俺たち三人は何とか講習の時間に間に合った。
受付のお姉さんに案内されてきたのは、ギルドの奥まった部屋でまるでちょっとした会議室のような場所だった。
そこには既に何人かの講習参加メンバーが来ていた。
俺たちがギリギリだったという事は、きっとこれで全員なんだろう。
先に会議室に来ていたのは、いかにも駆け出しといった様子がにじみ出る若い少年二人と少女一人の顔見知りっぽい三人と、むしろベテランじゃないのかという風格を漂わせるがっしりとした体格の女性が一人。
それからエミリオにも負けず劣らずといった金髪の優男風の青年が一人に、人相の悪いごろつき風の男の二人組で、俺達を含むと総勢十人のメンバーだった。
「よ~し、これで今回の講習メンバーは全員集まった訳だな」
俺たちがやってきて適当に席に着くと、講師になってくれるらしい現役冒険者らしい人物がすぐ後に入ってきて俺達を見渡した。
歴戦の戦士のような風格はあれど、声の感じや態度からひょうひょうとした感じのするとらえどころのない男性だった。
その後ろから紺色のローブを身にまとった小柄な女性がついてくる。
この二人が講師という事なのだろうか。
「よし、じゃあとっとと始めるか。いいかお前ら、冒険者っていうのはまぁ金をもらって色々する何でも屋だ。後ろ暗いことはギルドが依頼から弾いてるから安心だな。で、魔物と戦うことも日常茶飯事だ。だから命の危険がある。とにかく命は大事にするこった」
そう、普通のファンタジーゲーム同様、この世界にも魔物は存在している。
この世界における魔物の位置づけや、ギルドでのみの振り方はきっとこれから講習で教えてくれることだろう。
「というわけで以上だ!じゃあ早速能力測定してカード作成して解散……」
スパアァァァンッ!
笑顔で早々と閉めに入ろうとした男性冒険者の後頭部を、小柄な女性冒険者が一体どこから取り出したのかわからないハリセンで思いっきり叩きのめした。
おおぅ、凄い良い音がしたな。
ていうか、本来ハリセンなんて殺傷能力は無くて派手な音を鳴らすのが目的のお手軽おもちゃみたいなものじゃないのか?
男性冒険者は思い切り上半身を前に倒して、教卓(?)に顔面をめり込ませているし後頭部からは煙が立ち上っているような気がするんだが……
「まぁ、馬鹿の言うことは適当に流してちょうだい。まったく……ギルドもなんでこいつに講師役なんて依頼したのかしらね、ほんと」
小柄な女性の方がため息交じりに呆れたような呟きを漏らす。
うん、俺の意見も全く一緒です。
「さて、改めましてこの三日の講師を務めさせてもらう事になった『まほろばの剣』所属のリサ=クライムよ。で、こっちの机と熱いキスを交わしてるバカ男がロンド=ファレンクス。まぁ気軽に『バカ』とか、『リサ先生』とか呼んでちょうだい」
「おう!よろしくな!」
実際はどうだったのか解らないが、ダメージなどなかったように何事もなく上半身を起こしたロンド先生……さすがにバカとは呼べない……は、親指をぐっと立てていい笑顔をこちらに向けていた。
リサ先生の暴言や暴力は一切彼には響いていないらしい。
「って言ってもな、リサ。この後どうするんだ?」
「……ホントにあなたは」
ロンド先生は本気でそう思ってるらしく、リサ先生は深々とため息をついた。
「とにかく、基本的なところからしっかり教えていくからよく聞いてちょうだい。まずは冒険者についてからね」
こうしてまずはリサ先生の座学の授業が始まった。
「いい? そもそも冒険者の成り立ちはもうずいぶんと昔、ざっとだけれど八百年は昔の時代の事よ。あの頃はまだ冒険者なんて言うくくりもなくて……」
あ、これはマズイ。
これはかなり眠くなる系の授業の予感しかしない。
若干歴史の授業のようになりかけている授業を、俺はかなり端折って聞くようにする。
全部真剣に聞いてると間違いなく、途中で寝てしまいそうだったからだ。
自分たちにかかわる必要な部分だけを重点的に抜き取り、自分なりにまとめていく。
まず冒険者ギルドは非常に大きな組織であり、ギルド本部は今俺たちのいるこの建物。首都レイバーンに存在する。
そして各町や他の大都市にも冒険者ギルドはほぼ必ず存在しており、本部とほぼ同等の役割を担っている。
もちろん本部でしかできない役割はいくつかあるが、俺たち冒険者にとって重要なものは二つだけだ。
冒険者ギルドへの登録と、冒険者資格の更新の二つだ。
初回登録が完全本部集中型になっているのは、冒険者をしっかりとギルド側が把握するためなのだそうだ。
そして資格更新というのは、三年に一度だけだが冒険者としてしっかりと活動できているのかをギルド側が確認するための呼び出しのようなものだ。
ここであまりに冒険者として不適合であると判断された場合は、資格取り消しがあるのだという。
これは冒険者登録そのものが、全国で通用する一つの『身分』として認められているからこその措置であるらしい。
これは最初の歴史っぽい話の中で出てきたことなのだが、冒険者ギルドは国家とは完全に別勢力として君臨している組織であるらしい。
これは国家に対する武の抑止力的な意味もあるらしいが……その辺りの政治的判断は正直俺としては割とどうでもいい辺りだ。
だが、だからこそ冒険者の身分は場合によっては大変優遇される一面がある。
国家からの税収や徴兵の免除、国家間の通行許可証とその通行税の減額。ギルド加盟店における店舗での割引サービスなんてものもあるらしい。
そんなお得極まりない身分証であるがゆえに、しっかりと冒険者活動をしないペーパー冒険者であると判断された場合は免許剥奪、その上場合によっては罰金などの罰則もありうるらしい。
ちなみに冒険者を続けられないと自己判断した場合の冒険者の免許返納に関しては、どのギルドでも手続き可能らしい。
さて、ここまではギルドの本部と冒険者資格に関する話だった。
午前中はここまでという事で、一度休憩をはさんでくれたのだが……
ごろつき風の二人は完全に夢のなかだし、新米三人組は詰め込む知識に疲労困憊の様子だった。
あれはまじめすぎて、全部が全部頭に叩き込もうと頑張った口だな。
まぁ、素直なのはいいことだ、うん。
俺たち三人は特に問題もなく平然としていたし、優男風の青年や大柄な女性も問題なさそうだ。
というか、ごろつき二人は何しに来たんだ?
さすがに参加費用が無駄じゃないのか?
受付のお姉さんに案内されてきたのは、ギルドの奥まった部屋でまるでちょっとした会議室のような場所だった。
そこには既に何人かの講習参加メンバーが来ていた。
俺たちがギリギリだったという事は、きっとこれで全員なんだろう。
先に会議室に来ていたのは、いかにも駆け出しといった様子がにじみ出る若い少年二人と少女一人の顔見知りっぽい三人と、むしろベテランじゃないのかという風格を漂わせるがっしりとした体格の女性が一人。
それからエミリオにも負けず劣らずといった金髪の優男風の青年が一人に、人相の悪いごろつき風の男の二人組で、俺達を含むと総勢十人のメンバーだった。
「よ~し、これで今回の講習メンバーは全員集まった訳だな」
俺たちがやってきて適当に席に着くと、講師になってくれるらしい現役冒険者らしい人物がすぐ後に入ってきて俺達を見渡した。
歴戦の戦士のような風格はあれど、声の感じや態度からひょうひょうとした感じのするとらえどころのない男性だった。
その後ろから紺色のローブを身にまとった小柄な女性がついてくる。
この二人が講師という事なのだろうか。
「よし、じゃあとっとと始めるか。いいかお前ら、冒険者っていうのはまぁ金をもらって色々する何でも屋だ。後ろ暗いことはギルドが依頼から弾いてるから安心だな。で、魔物と戦うことも日常茶飯事だ。だから命の危険がある。とにかく命は大事にするこった」
そう、普通のファンタジーゲーム同様、この世界にも魔物は存在している。
この世界における魔物の位置づけや、ギルドでのみの振り方はきっとこれから講習で教えてくれることだろう。
「というわけで以上だ!じゃあ早速能力測定してカード作成して解散……」
スパアァァァンッ!
笑顔で早々と閉めに入ろうとした男性冒険者の後頭部を、小柄な女性冒険者が一体どこから取り出したのかわからないハリセンで思いっきり叩きのめした。
おおぅ、凄い良い音がしたな。
ていうか、本来ハリセンなんて殺傷能力は無くて派手な音を鳴らすのが目的のお手軽おもちゃみたいなものじゃないのか?
男性冒険者は思い切り上半身を前に倒して、教卓(?)に顔面をめり込ませているし後頭部からは煙が立ち上っているような気がするんだが……
「まぁ、馬鹿の言うことは適当に流してちょうだい。まったく……ギルドもなんでこいつに講師役なんて依頼したのかしらね、ほんと」
小柄な女性の方がため息交じりに呆れたような呟きを漏らす。
うん、俺の意見も全く一緒です。
「さて、改めましてこの三日の講師を務めさせてもらう事になった『まほろばの剣』所属のリサ=クライムよ。で、こっちの机と熱いキスを交わしてるバカ男がロンド=ファレンクス。まぁ気軽に『バカ』とか、『リサ先生』とか呼んでちょうだい」
「おう!よろしくな!」
実際はどうだったのか解らないが、ダメージなどなかったように何事もなく上半身を起こしたロンド先生……さすがにバカとは呼べない……は、親指をぐっと立てていい笑顔をこちらに向けていた。
リサ先生の暴言や暴力は一切彼には響いていないらしい。
「って言ってもな、リサ。この後どうするんだ?」
「……ホントにあなたは」
ロンド先生は本気でそう思ってるらしく、リサ先生は深々とため息をついた。
「とにかく、基本的なところからしっかり教えていくからよく聞いてちょうだい。まずは冒険者についてからね」
こうしてまずはリサ先生の座学の授業が始まった。
「いい? そもそも冒険者の成り立ちはもうずいぶんと昔、ざっとだけれど八百年は昔の時代の事よ。あの頃はまだ冒険者なんて言うくくりもなくて……」
あ、これはマズイ。
これはかなり眠くなる系の授業の予感しかしない。
若干歴史の授業のようになりかけている授業を、俺はかなり端折って聞くようにする。
全部真剣に聞いてると間違いなく、途中で寝てしまいそうだったからだ。
自分たちにかかわる必要な部分だけを重点的に抜き取り、自分なりにまとめていく。
まず冒険者ギルドは非常に大きな組織であり、ギルド本部は今俺たちのいるこの建物。首都レイバーンに存在する。
そして各町や他の大都市にも冒険者ギルドはほぼ必ず存在しており、本部とほぼ同等の役割を担っている。
もちろん本部でしかできない役割はいくつかあるが、俺たち冒険者にとって重要なものは二つだけだ。
冒険者ギルドへの登録と、冒険者資格の更新の二つだ。
初回登録が完全本部集中型になっているのは、冒険者をしっかりとギルド側が把握するためなのだそうだ。
そして資格更新というのは、三年に一度だけだが冒険者としてしっかりと活動できているのかをギルド側が確認するための呼び出しのようなものだ。
ここであまりに冒険者として不適合であると判断された場合は、資格取り消しがあるのだという。
これは冒険者登録そのものが、全国で通用する一つの『身分』として認められているからこその措置であるらしい。
これは最初の歴史っぽい話の中で出てきたことなのだが、冒険者ギルドは国家とは完全に別勢力として君臨している組織であるらしい。
これは国家に対する武の抑止力的な意味もあるらしいが……その辺りの政治的判断は正直俺としては割とどうでもいい辺りだ。
だが、だからこそ冒険者の身分は場合によっては大変優遇される一面がある。
国家からの税収や徴兵の免除、国家間の通行許可証とその通行税の減額。ギルド加盟店における店舗での割引サービスなんてものもあるらしい。
そんなお得極まりない身分証であるがゆえに、しっかりと冒険者活動をしないペーパー冒険者であると判断された場合は免許剥奪、その上場合によっては罰金などの罰則もありうるらしい。
ちなみに冒険者を続けられないと自己判断した場合の冒険者の免許返納に関しては、どのギルドでも手続き可能らしい。
さて、ここまではギルドの本部と冒険者資格に関する話だった。
午前中はここまでという事で、一度休憩をはさんでくれたのだが……
ごろつき風の二人は完全に夢のなかだし、新米三人組は詰め込む知識に疲労困憊の様子だった。
あれはまじめすぎて、全部が全部頭に叩き込もうと頑張った口だな。
まぁ、素直なのはいいことだ、うん。
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