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第1章『聖霊樹の巫女』
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「というわけなのだが、理解できたかね?」
『おおー!』
午後の授業の前のお昼休憩。
昨日はなんだかんだでヴィオラさんの食堂で一泊できたので宿泊費は浮いたのだが、金欠自体は変わっていない。
一応一つだけ金欠をどうにかするアテがあるのだが、今のところは純粋にお金がないのでギルドに併設している安食堂で食事をとっていたのだが、そこで新米三人組と出会い一緒に食事となったのだが……
詰め込みすぎで煙を噴いていた三人に、エミリオがかなり噛み砕いて解り易くまとめてあげていた所だ。
「いやぁ、ありがてー……正直俺ほとんどちんぷんかんぷんだったからよぅ」
「僕も一応理解はしていましたが……要点だけまとめてもらえるとわかりやすいですね」
「というかさー。あのお姉さんも、この位解り易く教えてくれればいいのに。バカさんも論外だけど、なんだか両極端っていうかさー」
いや、バカさんってあんた……
新米三人組の女の子、ミシェルちゃんのロンド先生の呼び方に、俺は苦笑を浮かべた。
呼んでいいって言われたからって、本当にそう呼ぶとは……しかも言ったの本人じゃないのに。
ちなみにちんぷんかんぷんなのが、三人の中ではガタイの良いリックス君で、生真面目そうな少年がミドル君というらしい。
「カイトさんは普通に理解されていましたね」
「ん、ああまぁね。一応知識としてはある程度知ってる事柄でしたし……」
「そうでしたか。予習済みだったんですね」
「そういうセレンさんも問題なさそうでしたよ?」
「いえ、途中から寝ていました」
「寝てたの!?」
「いえ、冗談です」
完全に真顔でのやり取りに騙されたが、まさかの冗談だった。
そうだよなぁ、だって寝てるようなそぶりはちっともしなかったし……
「エミリオ様の従者である私が、エミリオ様より知識が劣っていてはいざという時にお支えできませんからね」
「エミリオ様、ね」
彼女のエミリオ推しは決してぶれない。
ぶれないんだが……なんだかちょっと不思議な感じなんだよなぁ。
恋焦がれる乙女……というのとは絶対違う感じだし、崇拝ともなんだか違う気がする。
彼女のエミリオに対する思いは、口にしている分には完璧なんだが……言い方はすごく失礼なんだがどこか薄っぺらいというか、嘘くさい感じが透けて見える気がしてならない。
彼女の本当の気持ちがどこにあるのかは分からないが……気にはなるものの、さすがに先日会ったばかりの俺が踏み込んでいい領域じゃないだろう。
「それより……実は私はさっきの授業ですが……あえて解りにくく喋っていたのではないかと思っています」
『は?』
セレンさんのその一言に、俺と三人組が同時に声を上げる。
エミリオはセレンさんが何を言いたいのかを分かっているのかもしれない。
それとも何も考えてないだけだったりして。
「それってさー。あたしらに対する新米いびりみたいなアレなわけ?」
「いえ、そうではなくおそらくは……」
「はいは~い。そこの六人組―。そろそろ休憩時間は終わりだから戻りなさいよー」
セレンさんが説明を始めようとした所で、手をパンパンと叩いてリサ先生がやってきた。
おっと、確かに時間的にはそろそろ戻った方がいい時間だな。
「ふむ、では解散としようか。また良ければ夕飯の席でも共に語ろうではないか!はっはっはっは」
そういってエミリオが席を立つと、当然のようにセレンさんが後に続く。
「なんか都合よく話を切られたような気がしねえか?」
「そうかもな。という事は覚悟しておいた方がいいかもしれないぞ」
リックスの疑念に、俺はそれだけ言い残すと二人の後を追った。
後ろで何か思い当たったらしいミドルが、二人に何やら説明している。
俺もセレンさんに言われて少し考えてみたのだ。
なぜ、簡単に済ますことのできる話をあえてややこしく時間をかけて語ったのかを。
おそらくその意図は………
「はーい、じゃあ午後の授業の前に小テストね。出来上がったら前まで持ってくるように」
午後の授業開始と同時に、リサ先生は羊皮紙を一枚づつ俺たちに配って回った。
やっぱりか……
「一応あたしの名誉のために言っておくけど……午前の授業はあえて解りにくく回りくどく喋ったんだからね。沢山の情報量の中から的確な情報を抜き取る技術も冒険者には大事って事だもの。大体、知識の講釈だけなら別にギルド付属の冒険者の心得が書かれた冊子でも勝手に読んだらいいじゃない」
そう、座学といえどこれは立派に冒険者の為の訓練だったわけだ。
俺は小テストをさらさらと埋めると、早々に提出しに行く。
俺たち三人と新米三人は、比較的悩むことなく提出できているようだった。
一方でチンピラ二人と大柄な女性は早速頭を抱えていた。
もし昼食で俺達と一緒にならなければ、新米三人組は間違いなく頭を抱える方だっただろう。
ミドルならあるいは回答できたかもしれないが、他の二人は確実にダメだっただろう。
一応全員の提出が終わるのを待って、リサ先生は改めて口を開いた。
「理想はもちろん、聞いた段階での即時理解よ。けれど、それが難しい場合も往々にしてあるわ。そういう時は頭がパンクしそうでも全部の話をしっかり聞き取って、後で整理して考える、あるいは相談するでもいいわね。一番まずいのは鵜呑みにしたり、自分勝手な解釈をしてしまったり、理解を放棄する事よ。情報は武器よ。剣や魔法はもちろんだけど、こういう所もしっかり鍛えなさいね」
それだけ言うと、午後の授業を開始した。
ちなみに午後の授業はかなりストレートで解り易く、冒険者のランクや依頼の受け方といった基本的なことを教えてくれた。
『おおー!』
午後の授業の前のお昼休憩。
昨日はなんだかんだでヴィオラさんの食堂で一泊できたので宿泊費は浮いたのだが、金欠自体は変わっていない。
一応一つだけ金欠をどうにかするアテがあるのだが、今のところは純粋にお金がないのでギルドに併設している安食堂で食事をとっていたのだが、そこで新米三人組と出会い一緒に食事となったのだが……
詰め込みすぎで煙を噴いていた三人に、エミリオがかなり噛み砕いて解り易くまとめてあげていた所だ。
「いやぁ、ありがてー……正直俺ほとんどちんぷんかんぷんだったからよぅ」
「僕も一応理解はしていましたが……要点だけまとめてもらえるとわかりやすいですね」
「というかさー。あのお姉さんも、この位解り易く教えてくれればいいのに。バカさんも論外だけど、なんだか両極端っていうかさー」
いや、バカさんってあんた……
新米三人組の女の子、ミシェルちゃんのロンド先生の呼び方に、俺は苦笑を浮かべた。
呼んでいいって言われたからって、本当にそう呼ぶとは……しかも言ったの本人じゃないのに。
ちなみにちんぷんかんぷんなのが、三人の中ではガタイの良いリックス君で、生真面目そうな少年がミドル君というらしい。
「カイトさんは普通に理解されていましたね」
「ん、ああまぁね。一応知識としてはある程度知ってる事柄でしたし……」
「そうでしたか。予習済みだったんですね」
「そういうセレンさんも問題なさそうでしたよ?」
「いえ、途中から寝ていました」
「寝てたの!?」
「いえ、冗談です」
完全に真顔でのやり取りに騙されたが、まさかの冗談だった。
そうだよなぁ、だって寝てるようなそぶりはちっともしなかったし……
「エミリオ様の従者である私が、エミリオ様より知識が劣っていてはいざという時にお支えできませんからね」
「エミリオ様、ね」
彼女のエミリオ推しは決してぶれない。
ぶれないんだが……なんだかちょっと不思議な感じなんだよなぁ。
恋焦がれる乙女……というのとは絶対違う感じだし、崇拝ともなんだか違う気がする。
彼女のエミリオに対する思いは、口にしている分には完璧なんだが……言い方はすごく失礼なんだがどこか薄っぺらいというか、嘘くさい感じが透けて見える気がしてならない。
彼女の本当の気持ちがどこにあるのかは分からないが……気にはなるものの、さすがに先日会ったばかりの俺が踏み込んでいい領域じゃないだろう。
「それより……実は私はさっきの授業ですが……あえて解りにくく喋っていたのではないかと思っています」
『は?』
セレンさんのその一言に、俺と三人組が同時に声を上げる。
エミリオはセレンさんが何を言いたいのかを分かっているのかもしれない。
それとも何も考えてないだけだったりして。
「それってさー。あたしらに対する新米いびりみたいなアレなわけ?」
「いえ、そうではなくおそらくは……」
「はいは~い。そこの六人組―。そろそろ休憩時間は終わりだから戻りなさいよー」
セレンさんが説明を始めようとした所で、手をパンパンと叩いてリサ先生がやってきた。
おっと、確かに時間的にはそろそろ戻った方がいい時間だな。
「ふむ、では解散としようか。また良ければ夕飯の席でも共に語ろうではないか!はっはっはっは」
そういってエミリオが席を立つと、当然のようにセレンさんが後に続く。
「なんか都合よく話を切られたような気がしねえか?」
「そうかもな。という事は覚悟しておいた方がいいかもしれないぞ」
リックスの疑念に、俺はそれだけ言い残すと二人の後を追った。
後ろで何か思い当たったらしいミドルが、二人に何やら説明している。
俺もセレンさんに言われて少し考えてみたのだ。
なぜ、簡単に済ますことのできる話をあえてややこしく時間をかけて語ったのかを。
おそらくその意図は………
「はーい、じゃあ午後の授業の前に小テストね。出来上がったら前まで持ってくるように」
午後の授業開始と同時に、リサ先生は羊皮紙を一枚づつ俺たちに配って回った。
やっぱりか……
「一応あたしの名誉のために言っておくけど……午前の授業はあえて解りにくく回りくどく喋ったんだからね。沢山の情報量の中から的確な情報を抜き取る技術も冒険者には大事って事だもの。大体、知識の講釈だけなら別にギルド付属の冒険者の心得が書かれた冊子でも勝手に読んだらいいじゃない」
そう、座学といえどこれは立派に冒険者の為の訓練だったわけだ。
俺は小テストをさらさらと埋めると、早々に提出しに行く。
俺たち三人と新米三人は、比較的悩むことなく提出できているようだった。
一方でチンピラ二人と大柄な女性は早速頭を抱えていた。
もし昼食で俺達と一緒にならなければ、新米三人組は間違いなく頭を抱える方だっただろう。
ミドルならあるいは回答できたかもしれないが、他の二人は確実にダメだっただろう。
一応全員の提出が終わるのを待って、リサ先生は改めて口を開いた。
「理想はもちろん、聞いた段階での即時理解よ。けれど、それが難しい場合も往々にしてあるわ。そういう時は頭がパンクしそうでも全部の話をしっかり聞き取って、後で整理して考える、あるいは相談するでもいいわね。一番まずいのは鵜呑みにしたり、自分勝手な解釈をしてしまったり、理解を放棄する事よ。情報は武器よ。剣や魔法はもちろんだけど、こういう所もしっかり鍛えなさいね」
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