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第1章『聖霊樹の巫女』
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「今日はまず最初にギルドカードの作成に入るわ」
リサ先生の最初のその一言に、リックス達は興奮を隠せないようだった。
もちろん俺だってそうだ。
これでようやくこの世界のスタートラインに立てるのだと思うと、ついつい興奮してしまう。
エミリオ達や他の参加者はごろつきも含めてあまり興奮した様子はないが……まぁ、そこは人それぞれって奴だろう。
「カード作成に使うのはこの水晶玉よ。この水晶に手をかざすことで水晶がその人の能力や潜在値までもくまなく読み取りその人だけのギルドカードを生み出すの。と言っても、本当にカードが発行されるわけじゃないわ。これは一種のスキルなのよ」
「スキル?」
「冒険者ギルドカードは、名前こそカードと呼ばれているが実際には専用のスキルを習得する事によって、自身の能力。ステータスと呼ばれるものを可視化する事ができるらしいのだよ。まぁ私も聞いた話故、詳しいことまでは知らないのだがな」
「そう、彼の言う通りよ。そして可視化されたステータスはまるでカードのように、スキル使用者の前に表示されるの。もちろん普通に使用すれば使用者にのみしか表示されないけれど、使用者の意思によってその内容を他者に開示する事もできるわ。そしてそれをもって私たち冒険者の身分証となるわけ」
なるほど、可視化されたステータスか。
ゲームのウインドウみたいなものなんだろう。
ここにきて少しだけこの世界にゲームっぽさが出てきた気がするな。
これまでは魔法や異種族や魔物みたいなあからさまなファンタジーに出会っていなかっただけに、この世界は別の世界であり現実なんだという実感を持っていたんだが。
だが、それがある意味でよかったかもしれない。
この世界を『ゲーム』だなんて気楽に考えていると、きっと大きなしっぺ返しをくらう。そんな気がしてならないからだ。
この世界はこの世界であり『ゲーム』などではなく、一つの『現実』なのだ。
俺は最低限そこを間違えないようにしよう。
「それじゃあ一人ずつこの水晶に触れてもらうわね」
リサ先生の指示に従って一人ずつ水晶に触れていく。
その度に水晶はぼわっと明るい光を発していた。
これは……よもや異世界転生のお約束、触れた水晶玉が爆発する奴では!
つい先ほどゲームじゃないとか、ついこの間チートなんてなくてもと考えていたというのに、俺はついつい期待してしまう。
俺が水晶に手を触れたら眩い閃光と共に水晶が爆発!
そして俺の中に眠っているチートが目覚めるのだ。
「それじゃあ次は君ね。カイトだっけ?」
「はい!」
俺は意気揚々とリサ先生の前まで行くと、その目前に置かれた水晶に手を伸ばす。
俺の中の力よ、目覚めよ!
くわっ!と目を見開いて水晶の天辺を握るようにがっとつかんで気を練った。
魔法なんて使ったことないから、魔力なんてわからないし……気を練ったとか格好つけたがようするにつかんだ手のひらに思いっきり集中しただけだ。
ぼわっ……
うすぼんやりと光る水晶玉。
……うん、知ってた。現実は非常である。
「全員終わったわね。それじゃあ、あたしに続けて唱えてみて。“ギルドカード・オープン”」
『“ギルドカード・オープン”』
そのコマンドワード?呪文?を唱えると、俺の前に半透明の板のようなものが浮かび上がった。
そしてその板には俺についての情報が書かれているはず。
どれどれ…………
―――――――――――――――――――――――
名前:カイト=インディナル 種族:人間
性別:男 年齢:十八 職業:霆「閨キ蜿ッ閭ス
レベル:1
HP:50/50 MP:30/30
STR:12 VIT:10 AGI:8
DEX:10 INT:10 MIN:10
スキル:
なし
―――――――――――――――――――――――
表示されていたのは、まさにRPGなんかの初期パラメーターのような数字だった。
取り立てて珍しい物の見当たらない一般人Aそのもののようだ。
やはりチートなど夢のまた夢なのだろうか……ん?
よく見たら職業のところ……バグってないか?
俺は気になって職業の文字化けした部分を指でついてみた。
すると新しいウインドウが俺の前にもう一枚現れた。
『特殊条件により、この場での転職が可能となっています。転職を行いますか?Y/N』
現れたのはそんな一文。
これは他の皆にも出現しているんだろうか?
俺はここでようやく他のメンバーの方へと意識を向ける。
彼らはそれぞれ自分の前に表示されているであろう情報を興味深そうに、あるいは賑やかに見つめ、語らっていた。
その様子をリサ先生は温かな眼差しで見守っている。
きっと新人達は、このギルドカードのスキルでしばらくがやがやとする事が当たり前のような光景になっているのだろう。
きっとリサ先生も初めての頃は、初めてのギルドカードに一喜一憂して興奮していたに違いない。
だからある程度皆が落ち着くまでこの時間をゆっくりと待ってくれているのだろう。
誰だってこういう初めては、誰だって大切な時間であり思い出となるのだから。
これならちょっとぐらいごそごそしていても、問題にはならないかもしれない。
俺は早速『Y/N』のYの方を指で触れる。
すると『戦士』『盗賊』『魔法使い』といったありふれたよく知る職業が沢山表示される。
これらに転職可能という事なのだろう、結構あるな……
だが……当然俺の目を引いたのはたった一点。
『輪廻士』の文字だけだった。
俺は一切迷う事無く『輪廻士』の文字を指でさす。
『解放条件を満たしました。これより貴方の得た全ての解放を行います』
新たなウインドウに綴られる文字。
その次の瞬間、眩い閃光が俺の視界を真っ白に染め抜いた!
水晶じゃなくてギルドカードか!
周囲のざわめきが聞こえてくるが、俺の中にそれらは意味ある言葉としては入ってこなかった。
そんな事よりも俺の脳内に物凄い勢いで刻み込まれる『輪廻士』としての知識の奔流を受け止める事に必死だったからだ。
無理やり刻み込まれる知識は激しい頭痛を引き起こし……そして俺はぷっつりとその意識を手放した。
リサ先生の最初のその一言に、リックス達は興奮を隠せないようだった。
もちろん俺だってそうだ。
これでようやくこの世界のスタートラインに立てるのだと思うと、ついつい興奮してしまう。
エミリオ達や他の参加者はごろつきも含めてあまり興奮した様子はないが……まぁ、そこは人それぞれって奴だろう。
「カード作成に使うのはこの水晶玉よ。この水晶に手をかざすことで水晶がその人の能力や潜在値までもくまなく読み取りその人だけのギルドカードを生み出すの。と言っても、本当にカードが発行されるわけじゃないわ。これは一種のスキルなのよ」
「スキル?」
「冒険者ギルドカードは、名前こそカードと呼ばれているが実際には専用のスキルを習得する事によって、自身の能力。ステータスと呼ばれるものを可視化する事ができるらしいのだよ。まぁ私も聞いた話故、詳しいことまでは知らないのだがな」
「そう、彼の言う通りよ。そして可視化されたステータスはまるでカードのように、スキル使用者の前に表示されるの。もちろん普通に使用すれば使用者にのみしか表示されないけれど、使用者の意思によってその内容を他者に開示する事もできるわ。そしてそれをもって私たち冒険者の身分証となるわけ」
なるほど、可視化されたステータスか。
ゲームのウインドウみたいなものなんだろう。
ここにきて少しだけこの世界にゲームっぽさが出てきた気がするな。
これまでは魔法や異種族や魔物みたいなあからさまなファンタジーに出会っていなかっただけに、この世界は別の世界であり現実なんだという実感を持っていたんだが。
だが、それがある意味でよかったかもしれない。
この世界を『ゲーム』だなんて気楽に考えていると、きっと大きなしっぺ返しをくらう。そんな気がしてならないからだ。
この世界はこの世界であり『ゲーム』などではなく、一つの『現実』なのだ。
俺は最低限そこを間違えないようにしよう。
「それじゃあ一人ずつこの水晶に触れてもらうわね」
リサ先生の指示に従って一人ずつ水晶に触れていく。
その度に水晶はぼわっと明るい光を発していた。
これは……よもや異世界転生のお約束、触れた水晶玉が爆発する奴では!
つい先ほどゲームじゃないとか、ついこの間チートなんてなくてもと考えていたというのに、俺はついつい期待してしまう。
俺が水晶に手を触れたら眩い閃光と共に水晶が爆発!
そして俺の中に眠っているチートが目覚めるのだ。
「それじゃあ次は君ね。カイトだっけ?」
「はい!」
俺は意気揚々とリサ先生の前まで行くと、その目前に置かれた水晶に手を伸ばす。
俺の中の力よ、目覚めよ!
くわっ!と目を見開いて水晶の天辺を握るようにがっとつかんで気を練った。
魔法なんて使ったことないから、魔力なんてわからないし……気を練ったとか格好つけたがようするにつかんだ手のひらに思いっきり集中しただけだ。
ぼわっ……
うすぼんやりと光る水晶玉。
……うん、知ってた。現実は非常である。
「全員終わったわね。それじゃあ、あたしに続けて唱えてみて。“ギルドカード・オープン”」
『“ギルドカード・オープン”』
そのコマンドワード?呪文?を唱えると、俺の前に半透明の板のようなものが浮かび上がった。
そしてその板には俺についての情報が書かれているはず。
どれどれ…………
―――――――――――――――――――――――
名前:カイト=インディナル 種族:人間
性別:男 年齢:十八 職業:霆「閨キ蜿ッ閭ス
レベル:1
HP:50/50 MP:30/30
STR:12 VIT:10 AGI:8
DEX:10 INT:10 MIN:10
スキル:
なし
―――――――――――――――――――――――
表示されていたのは、まさにRPGなんかの初期パラメーターのような数字だった。
取り立てて珍しい物の見当たらない一般人Aそのもののようだ。
やはりチートなど夢のまた夢なのだろうか……ん?
よく見たら職業のところ……バグってないか?
俺は気になって職業の文字化けした部分を指でついてみた。
すると新しいウインドウが俺の前にもう一枚現れた。
『特殊条件により、この場での転職が可能となっています。転職を行いますか?Y/N』
現れたのはそんな一文。
これは他の皆にも出現しているんだろうか?
俺はここでようやく他のメンバーの方へと意識を向ける。
彼らはそれぞれ自分の前に表示されているであろう情報を興味深そうに、あるいは賑やかに見つめ、語らっていた。
その様子をリサ先生は温かな眼差しで見守っている。
きっと新人達は、このギルドカードのスキルでしばらくがやがやとする事が当たり前のような光景になっているのだろう。
きっとリサ先生も初めての頃は、初めてのギルドカードに一喜一憂して興奮していたに違いない。
だからある程度皆が落ち着くまでこの時間をゆっくりと待ってくれているのだろう。
誰だってこういう初めては、誰だって大切な時間であり思い出となるのだから。
これならちょっとぐらいごそごそしていても、問題にはならないかもしれない。
俺は早速『Y/N』のYの方を指で触れる。
すると『戦士』『盗賊』『魔法使い』といったありふれたよく知る職業が沢山表示される。
これらに転職可能という事なのだろう、結構あるな……
だが……当然俺の目を引いたのはたった一点。
『輪廻士』の文字だけだった。
俺は一切迷う事無く『輪廻士』の文字を指でさす。
『解放条件を満たしました。これより貴方の得た全ての解放を行います』
新たなウインドウに綴られる文字。
その次の瞬間、眩い閃光が俺の視界を真っ白に染め抜いた!
水晶じゃなくてギルドカードか!
周囲のざわめきが聞こえてくるが、俺の中にそれらは意味ある言葉としては入ってこなかった。
そんな事よりも俺の脳内に物凄い勢いで刻み込まれる『輪廻士』としての知識の奔流を受け止める事に必死だったからだ。
無理やり刻み込まれる知識は激しい頭痛を引き起こし……そして俺はぷっつりとその意識を手放した。
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