純白少女と転生者

おすねこ

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第1章『聖霊樹の巫女』

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「う~ん……」

 宿屋でエミリオ達と合流し、自分用の部屋に入った後で、俺は一人悩んでいた。
 悩みの種はもちろんチートについての事だ。

 合流前にギルドによって、そこで少しだけこの世界のレベルについて情報収集してみたのだが……現在三人しか存在しないというSランクを除けば、ある意味この世界の最高ランクの基準はAランク冒険者という事になる。
 そのAランク冒険者のレベル帯は……五十前後だそうだ。
 俺のレベルは七八、うん、十分チートだな。

 ちなみにSランクの冒険者がちょうど俺と同レベル帯らしいので、俺の能力はこの世界においてもきっと十指に入るレベルなんだろうなと思う。
 そして今悩んでいるのは、この能力を……隠すか公開するかだ。
 公開すれば隠し事なく気楽にすることができるが……いろいろと厄介ごとには巻き込まれるだろう。

 そして隠すとなると、今度は隠すために色々と苦労するだろう。
 隠すための救いは俺のステータスの低さにある。
 普通はある程度特化型に育てる以上、ALL百に育てている俺のステータスは、各ステータス一つだけを見るなら、特化型にとっては五十前後と同等……ってだめじゃん、Aランクレベルじゃん。
 こうなったら極力ステータスを披露しないで済む系のスキルを主体にして、職業を偽るのが一番いいかもしれない。

 俺は能力的に目立たなさそうなスキルを持った英魂を調べ始めた。
 英魂は基本高性能だ。
 課金というリアルマネーを要求するのだから、弱い英魂なんてものがあったらそりゃあ叩かれるだろうしな。
 だから、いっそ英魂をセットしないというのも一つの選択ではないかとさえ思えてくる。

「……ん、これは?」

 そんな俺の目に留まったのは、俺が転生前に入手した『錬金術師ユーディリット』だった。



『錬金術師ユーディリット』

全くの無名から突然成り上がる事となった錬金術師の少女。
錬金術学園ワーストワンであった彼女だが、とある事件をきっかけに生み出した新薬により脚光を浴びる。
その新薬は彼女にしか生み出せず、それ故に彼女は伝説として語られることとなったが能力自体は平凡な錬金術師の能力をはるかに下回るものだったという。

アクティブスキル:
『へっぽこ錬金術』中級までの錬金術を使用可能。高品質の物は非常に成功しづらい。
『読書睡眠』読書をすることで深い眠りにつくことができる。睡眠中は徐々にMP回復。
『奇跡の新薬』最高レベルに達すると伝説の治療薬“女神の落涙”を製薬できる。

パッシブスキル:
『学園ワーストワン』全ての能力値に-30の補正がかかる



 お、おおぅ………これかなり酷くないか?
 能力値のマイナス補正もぶっとんでるし、使えるスキルもかなり残念だ。
 唯一性のあるスキル『奇跡の新薬』も最高レベルまで上げ切らなければまったく意味がないっぽい。

 そして当然のように手に入れてすぐにこの世界に転生した俺は『錬金術師ユーディリット』のレベルはまったく上がっていない。
 昔のゲームに物凄いマイナス補正しかついていない装備を付けた状態で、一定回数戦闘をし続けることで強力な装備に変化するみたいなものがあったがそれと似たものを感じる。

 ……うん、とりあえず人前では極力この英魂をつけておこう。
 これで俺の能力はALL七十まで低下する。レベル的には特化型の三五レベルぐらいだ。それに職業補正ボーナスも存在するから、実際にはもう少し下に見えるだろう。この世界でいうCランク上位からBランクなり立てぐらいだから、この位なら目立たないだろう。

 よし人前では鑑定があり、能力補正のつかない『宝石商ゴードウェル』と『錬金術師ユーディリット』と、後は………『蛇眼盗賊王マカラブル』、これだな。
 アクティブスキルは『短剣術』『トラップマスター』『毒の盃』で、パッシブスキルは『盗賊王の瞳』だ。
 短剣の扱いに長け、罠を発見・解除に加え制作・設置も可能で、ありとあらゆる毒を生成可能で、AGIとDEXにボーナスと罠発見の自動化付き。

 うん、これならスキルを実際見られない限りはいけるか……?
 俺は早速英魂を付け替える。



――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:カイト=インディナル 種族:人間
性別:男 年齢:十八 職業:輪廻士ソウルリンカー
レベル:78
HP:950/950 MP:930/930
STR:100(-30) VIT:100(-30) AGI:100(+10)
DEX:100(-10) INT:100(-30) MIN:100(-30)
スキル:
ソウルリンク『錬金術師ユーディリット』『宝石商ゴードウェル』『蛇眼盗賊王マカラブル』
アクティブ:『へっぽこ錬金術』『読書睡眠』『奇跡の新薬』『宝石研磨』『真贋判定』『鑑定眼』『短剣術』『トラップマスター』『毒の盃』
パッシブ:『学園ワーストワン』『商人の豪運』『盗賊王の瞳』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



 よし、とりあえずこんな所だろう。
 後は可能な限り能力は隠して、盗賊のジョブを取得したことにしてごまかしていくつもりだ。
 ばれたらばれたでその時のことで、とにかく行き当たりばったりに行こう。

 必死にゲームをなぞろうとしていた当初に比べれば、チートはさすがに一気にイージーモードになった気がするので俺は気楽に流れに身を任せる事にした。

 とにかく明日は初の『現実』のダンジョンだ。
 大した仕掛けも魔物もない、本当に洞窟探索のチュートリアルといった簡素な洞窟だったはずだが、チートを手にして気の大きくなった俺は純粋に明日が来るのを楽しみにしていた。
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