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第1章『聖霊樹の巫女』
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「さて、この依頼を受けてもらう上で、もう一つ解決しておきたい問題があるのじゃよ」
そう言うとギルドマスターは机の上に置いていたベルを鳴らした。
その音を聞いてドアの向こうからノックと、失礼しますという声とともにやってきた職員さんが一つの見覚えのある水晶玉を置いていった。
「これは昨日俺たちが使った能力測定用の水晶ですよね?」
「そうじゃ。もちろんギルドカードのスキルを取得するための物でもある。これをリーフィア君に使ってもらおうかと思うのじゃよ」
そうか、俺やエミリオ達は既にギルドカードを得ているから冒険者を名乗れるが、リーフィアはそうじゃない。
俺と一緒に王宮に行くクエストを受けるなら、彼女もまた冒険者であることが望ましいわけだ。
「おーい、リーフィア~。起きろリーフィア~……」
とはいえ寝ていては話にならない。
俺はソファでうたたねするリーフィアをゆさゆさと揺り起こそうとするが……
「むにゅ……後1半刻~……」
「ベタだな、異世界仕様だが……起きろー」
「……もうカイトはお腹一杯、なの……」
「俺がお腹一杯って、どんな夢かな!?あーもう、起きろー!おごっ!」
突然何の前触れもなくがばっと上半身を起こしたリーフィアのおでこと俺のおでこが思い切り激突し、俺は痛みのあまりその場にうずくまった。
「……すごく痛い」
「俺もな」
珍しく涙目で恨みがましく俺を見つめてくるリーフィアに、俺も仏頂面で返す。
これはお互い様という奴だろう。
「ほっほっほ。おはよう、よく眠れたかな?」
「ん、熟睡した。これはいいソファー」
「それはよかった。では早速じゃが、この水晶玉に触れてくれるかのう?」
「いいよ?」
リーフィアは起きたばかりだから全く意味は解っていないだろうが、ギルドマスターの言う通り水晶にそっと手を触れた。
すると水晶は急速に眩いばかりの光を放ち始め………
ガシャアァァァンッ!
彼女の手の下で派手に砕け散った。
「なんじゃとっ!?Sランク冒険者の能力すら判別できる水晶がよもや……!?」
え?俺よりよっぽどチートじゃね?
俺は英魂を『蛇眼盗賊王マカラブル』『宝石商ゴードウェル』『錬金術師ユーディリット』のいつものセットに付け替えて『鑑定眼』を発動した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:リーフィア 種族:荳也阜讓ケ縺ョ遞ョ蟄
性別:女 年齢:0 職業:巫女
繝ャ繝吶Ν:82
HP:870/870 MP:1050/1050
STR:10 VIT:50 AGI:100
DEX:40 INT:358 MIN:200
スキル: 『聖属性魔法』『光属性魔法』『木属性魔法』『生活魔法』『指向性魔術操作』『聖水作成』『MP回復力向上』『神への祈祷』『天候予知』『絶対記憶領域』『空間収納』『手芸』『料理』『歌唱』『ポーカーフェイス』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
うん、もう一度言おう。
俺よりよっぽどチートじゃね!?
だけど、このレベルならまだSランク冒険者の方が能力は上だろう。
となると、もっと別の何かが水晶玉の破壊という現象を生み出したことになる。
能力値以外の何か……一番突っ込みどころの大きい部分は、間違いなく種族名だ。
当初俺の職業欄も文字化けしていたが、それと同じような状態が彼女の種族名に発生している。
他にもちょっと気になったのが『空間収納』だ。
アイテムボックスとか、インベントリとかは異世界あるあるだよな。
俺もその辺りのスキル、使えそうなもんなんだが……
「アイテムインベントリ……」
俺が念の為誰にも聞こえないようにボソッと小さく呟くと……おお、出たぞ!
ギルドカードと同じように中空に表示されたのは、見覚えのある所持アイテム一覧の画面だった。
この辺りはゲーム画面と一緒なんだよな。
アイテム欄をざっと見渡してみると………ああ、うん。
めちゃくちゃ色々入ってるな。
武器や防具はもちろんの事、ポーション類や食料の類もずらずらと入っている。
なぜこんなにいろいろなアイテムを持っているのかといえば……ガチャのハズレ品だったりする。
英魂を当てるまでひたすら回したガチャのハズレ品は、俺の望むものではなかったとはいえかなりの貴重品ばかりだ。
もちろんよく見るとお金もインベントリに入っていた。
くそぅ、これにもっと早く気づいていれば貧乏生活なんて経験しなくて済んだのに!
ちなみに水晶は壊れたとはいえ、リーフィアはちゃんとギルドカードのスキルは習得できたようだった。
とはいえ、水晶玉が砕け散ったことにギルドマスターやリサ先生、セレンさんといった真っ当な人たちは唖然とした表情で完全に固まっていた。
水晶玉、弁償した方がいいんだろうか………
そう言うとギルドマスターは机の上に置いていたベルを鳴らした。
その音を聞いてドアの向こうからノックと、失礼しますという声とともにやってきた職員さんが一つの見覚えのある水晶玉を置いていった。
「これは昨日俺たちが使った能力測定用の水晶ですよね?」
「そうじゃ。もちろんギルドカードのスキルを取得するための物でもある。これをリーフィア君に使ってもらおうかと思うのじゃよ」
そうか、俺やエミリオ達は既にギルドカードを得ているから冒険者を名乗れるが、リーフィアはそうじゃない。
俺と一緒に王宮に行くクエストを受けるなら、彼女もまた冒険者であることが望ましいわけだ。
「おーい、リーフィア~。起きろリーフィア~……」
とはいえ寝ていては話にならない。
俺はソファでうたたねするリーフィアをゆさゆさと揺り起こそうとするが……
「むにゅ……後1半刻~……」
「ベタだな、異世界仕様だが……起きろー」
「……もうカイトはお腹一杯、なの……」
「俺がお腹一杯って、どんな夢かな!?あーもう、起きろー!おごっ!」
突然何の前触れもなくがばっと上半身を起こしたリーフィアのおでこと俺のおでこが思い切り激突し、俺は痛みのあまりその場にうずくまった。
「……すごく痛い」
「俺もな」
珍しく涙目で恨みがましく俺を見つめてくるリーフィアに、俺も仏頂面で返す。
これはお互い様という奴だろう。
「ほっほっほ。おはよう、よく眠れたかな?」
「ん、熟睡した。これはいいソファー」
「それはよかった。では早速じゃが、この水晶玉に触れてくれるかのう?」
「いいよ?」
リーフィアは起きたばかりだから全く意味は解っていないだろうが、ギルドマスターの言う通り水晶にそっと手を触れた。
すると水晶は急速に眩いばかりの光を放ち始め………
ガシャアァァァンッ!
彼女の手の下で派手に砕け散った。
「なんじゃとっ!?Sランク冒険者の能力すら判別できる水晶がよもや……!?」
え?俺よりよっぽどチートじゃね?
俺は英魂を『蛇眼盗賊王マカラブル』『宝石商ゴードウェル』『錬金術師ユーディリット』のいつものセットに付け替えて『鑑定眼』を発動した。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:リーフィア 種族:荳也阜讓ケ縺ョ遞ョ蟄
性別:女 年齢:0 職業:巫女
繝ャ繝吶Ν:82
HP:870/870 MP:1050/1050
STR:10 VIT:50 AGI:100
DEX:40 INT:358 MIN:200
スキル: 『聖属性魔法』『光属性魔法』『木属性魔法』『生活魔法』『指向性魔術操作』『聖水作成』『MP回復力向上』『神への祈祷』『天候予知』『絶対記憶領域』『空間収納』『手芸』『料理』『歌唱』『ポーカーフェイス』
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
うん、もう一度言おう。
俺よりよっぽどチートじゃね!?
だけど、このレベルならまだSランク冒険者の方が能力は上だろう。
となると、もっと別の何かが水晶玉の破壊という現象を生み出したことになる。
能力値以外の何か……一番突っ込みどころの大きい部分は、間違いなく種族名だ。
当初俺の職業欄も文字化けしていたが、それと同じような状態が彼女の種族名に発生している。
他にもちょっと気になったのが『空間収納』だ。
アイテムボックスとか、インベントリとかは異世界あるあるだよな。
俺もその辺りのスキル、使えそうなもんなんだが……
「アイテムインベントリ……」
俺が念の為誰にも聞こえないようにボソッと小さく呟くと……おお、出たぞ!
ギルドカードと同じように中空に表示されたのは、見覚えのある所持アイテム一覧の画面だった。
この辺りはゲーム画面と一緒なんだよな。
アイテム欄をざっと見渡してみると………ああ、うん。
めちゃくちゃ色々入ってるな。
武器や防具はもちろんの事、ポーション類や食料の類もずらずらと入っている。
なぜこんなにいろいろなアイテムを持っているのかといえば……ガチャのハズレ品だったりする。
英魂を当てるまでひたすら回したガチャのハズレ品は、俺の望むものではなかったとはいえかなりの貴重品ばかりだ。
もちろんよく見るとお金もインベントリに入っていた。
くそぅ、これにもっと早く気づいていれば貧乏生活なんて経験しなくて済んだのに!
ちなみに水晶は壊れたとはいえ、リーフィアはちゃんとギルドカードのスキルは習得できたようだった。
とはいえ、水晶玉が砕け散ったことにギルドマスターやリサ先生、セレンさんといった真っ当な人たちは唖然とした表情で完全に固まっていた。
水晶玉、弁償した方がいいんだろうか………
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