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第1章『聖霊樹の巫女』
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男が何者なのかは俺たちの誰もわからなかったが、今はそれより自分達の用事が先だった。
俺たちが改めて城門の方に近づいていくと、門番の片方は明らかに嫌そうな表情になった。
おそらく、さっきと同じようなやり取りをしなければならないのではないかと疑っているのだろう。
とはいえ、俺たちには一応冒険者ギルド総括ギルドマスター、サンザ=ロートスのお墨付き紹介状があるのだ。
そういう意味では、さっきの彼とは一線を画していると思いたいところだ。
「あ~ん?なんだお前らは?」
「お忙しいところを失礼します。自分は冒険者をしていますカイト=インディナルと申します。実は冒険者ギルドの総括ギルドマスター、サンザ=ロートス様の依頼を受けてこちらに聖霊樹の様子を拝見させてもらいに来たのですが、通していただくことはできますでしょうか?」
「はっ、お前らもか。通すわけないだろ、帰れ帰れ!」
ブンッ!
こちらの平身低頭な対応にも、門番は全く取り合う事無く手にしたハルバードでこちらを威嚇してくる。
なんとも気の短い男だ。
しかも頭が悪そうだった。
「……なぁ、エミリオ。俺今こんな風に武器を突き付けられるほどに変な事言ったか?」
「礼儀という面においては特に礼は失さなかったと思うぞ。とはいえ、事が事であるゆえにな……おいそれと、はいそうですかとはいかぬであろうとは思って居ったよ。まぁ、いきなり武器を突き付けられたのは、先ほどの無礼な男に対するイライラが収まっていない為であると思うがね」
「なんだとコラ。てめぇ何様だ、あ~ん?」
「それは君にも言えるよ、ジュド。それより、冒険者ギルドマスター直々の視察依頼というならそれ相応の委任状は持っていますよね。拝見できますか?」
恫喝するような小物臭漂う門番の反対に位置する相方の門番さんは、警戒はしているものの穏やかな様子で俺の方に尋ねてきた。
こちらはどうやら話が通じそうな感じだ。
「はい、これを預かってきています」
「拝見します」
俺が手渡した委任状を持って、彼は奥の方に引っ込んでいく。
その間もジュドと呼ばれた門番は、ずっとこちらにハルバードを向けていた。
「……カイト。こいつ敵?」
「いや、敵じゃないから落ち着け。な?」
リーフィアは物凄いイライラした様子でジュドの方を睨みつける。
感情に疎いからこそ、相手の感情に真正直に反応してしまうんだろうな。
もしここで俺が、敵だぞと冗談でも言ってしまうと本当に攻撃しかねないほどの殺気を放っていた。
その殺気をまともに浴びてジュドの方も更にイライラしている様子だ。
それでも、彼女の殺気を浴びてその程度というのは、これだけ小物臭丸出しでもこの男がそれなりに手練れである事の証なのかもしれない。
俺はちらっと『鑑定眼』を発動し………
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:ジュド=シーゲル 種族:人間
性別:男 年齢:23 職業:戦士
レベル:8
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
……途中で見るのをやめた。
弱っ!単純に殺気に対抗できる強さがあるとかじゃなくて、殺気に鈍いだけかよ!
ちなみに今のところ、俺はエミリオやセレンさんに『鑑定眼』は使っていない。
使っても早々ばれないだろうが、なんとなく仲間に使うのをはばかられているからだ。
本当はパーティーを組んで動くなら、きっちり能力を知っていた方がいいんだろうが……
「お待たせしました、カイトさん」
そんな考えに浸っていた俺の所に、もう一人の門番さんが戻ってくる。
「封蝋が本物であることは確認できました。サインも本人の物で間違いないようです。ただ内容が内容ですので、今日の所はお引き取りいただき後日滞在されている場所へこちらから返答の使いを出すという事でご了承いただけないでしょうか?」
「そうですね、それならこちらも問題ありません」
実際訪ねていきました、さあ入れろというには王宮というのは繊細な場所すぎるだろう。
それに目的もまた、聖霊樹という国の防備を担う最重要機密だ。
そう簡単にいかないのは仕方ないだろう。
「じゃあ、いったん帰るかな……えっとでは滞在先は……」
「カイト、カイト」
彼の言い分をのんで滞在先の宿屋を伝えようとしていた俺の袖を、リーフィアがくいくいと引っ張った。
「何か来る、よ?」
「ん、何かって、なんだ?」
リーフィアが指さすのは俺たちが来た方向だった。
確かに、そちらの方から大型の馬車のようなものがこちらに向かってきている。
「あれは……王族御用達の馬車のようであるな」
「王族?」
だとすれば俺たちが城門の前を陣取っているわけにはいかないだろう。
馬車の進路を邪魔しないように、俺たちは左右の端に分かれた。
そこへ王族御用達の馬車がやってくる。
「レイオス王子の帰還だ。門を開けろ!」
『はっ!』
御者をしていた男が門番に声を上げると、門番二人はそろって敬礼すると早速開門の準備に入った。
さすがに王族ともなると対応が違うな……ってまぁ、普通に考えたら家人が返ってきたようなものなんだから当たり前か。
とりあえずこの馬車が中に入ってから、宿泊場所を教えて俺たちは一度引き上げるか。
そんな事を考えていると、馬車の扉が開いてそこから一人の青年が降りてきた。
俺たちが改めて城門の方に近づいていくと、門番の片方は明らかに嫌そうな表情になった。
おそらく、さっきと同じようなやり取りをしなければならないのではないかと疑っているのだろう。
とはいえ、俺たちには一応冒険者ギルド総括ギルドマスター、サンザ=ロートスのお墨付き紹介状があるのだ。
そういう意味では、さっきの彼とは一線を画していると思いたいところだ。
「あ~ん?なんだお前らは?」
「お忙しいところを失礼します。自分は冒険者をしていますカイト=インディナルと申します。実は冒険者ギルドの総括ギルドマスター、サンザ=ロートス様の依頼を受けてこちらに聖霊樹の様子を拝見させてもらいに来たのですが、通していただくことはできますでしょうか?」
「はっ、お前らもか。通すわけないだろ、帰れ帰れ!」
ブンッ!
こちらの平身低頭な対応にも、門番は全く取り合う事無く手にしたハルバードでこちらを威嚇してくる。
なんとも気の短い男だ。
しかも頭が悪そうだった。
「……なぁ、エミリオ。俺今こんな風に武器を突き付けられるほどに変な事言ったか?」
「礼儀という面においては特に礼は失さなかったと思うぞ。とはいえ、事が事であるゆえにな……おいそれと、はいそうですかとはいかぬであろうとは思って居ったよ。まぁ、いきなり武器を突き付けられたのは、先ほどの無礼な男に対するイライラが収まっていない為であると思うがね」
「なんだとコラ。てめぇ何様だ、あ~ん?」
「それは君にも言えるよ、ジュド。それより、冒険者ギルドマスター直々の視察依頼というならそれ相応の委任状は持っていますよね。拝見できますか?」
恫喝するような小物臭漂う門番の反対に位置する相方の門番さんは、警戒はしているものの穏やかな様子で俺の方に尋ねてきた。
こちらはどうやら話が通じそうな感じだ。
「はい、これを預かってきています」
「拝見します」
俺が手渡した委任状を持って、彼は奥の方に引っ込んでいく。
その間もジュドと呼ばれた門番は、ずっとこちらにハルバードを向けていた。
「……カイト。こいつ敵?」
「いや、敵じゃないから落ち着け。な?」
リーフィアは物凄いイライラした様子でジュドの方を睨みつける。
感情に疎いからこそ、相手の感情に真正直に反応してしまうんだろうな。
もしここで俺が、敵だぞと冗談でも言ってしまうと本当に攻撃しかねないほどの殺気を放っていた。
その殺気をまともに浴びてジュドの方も更にイライラしている様子だ。
それでも、彼女の殺気を浴びてその程度というのは、これだけ小物臭丸出しでもこの男がそれなりに手練れである事の証なのかもしれない。
俺はちらっと『鑑定眼』を発動し………
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
名前:ジュド=シーゲル 種族:人間
性別:男 年齢:23 職業:戦士
レベル:8
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……途中で見るのをやめた。
弱っ!単純に殺気に対抗できる強さがあるとかじゃなくて、殺気に鈍いだけかよ!
ちなみに今のところ、俺はエミリオやセレンさんに『鑑定眼』は使っていない。
使っても早々ばれないだろうが、なんとなく仲間に使うのをはばかられているからだ。
本当はパーティーを組んで動くなら、きっちり能力を知っていた方がいいんだろうが……
「お待たせしました、カイトさん」
そんな考えに浸っていた俺の所に、もう一人の門番さんが戻ってくる。
「封蝋が本物であることは確認できました。サインも本人の物で間違いないようです。ただ内容が内容ですので、今日の所はお引き取りいただき後日滞在されている場所へこちらから返答の使いを出すという事でご了承いただけないでしょうか?」
「そうですね、それならこちらも問題ありません」
実際訪ねていきました、さあ入れろというには王宮というのは繊細な場所すぎるだろう。
それに目的もまた、聖霊樹という国の防備を担う最重要機密だ。
そう簡単にいかないのは仕方ないだろう。
「じゃあ、いったん帰るかな……えっとでは滞在先は……」
「カイト、カイト」
彼の言い分をのんで滞在先の宿屋を伝えようとしていた俺の袖を、リーフィアがくいくいと引っ張った。
「何か来る、よ?」
「ん、何かって、なんだ?」
リーフィアが指さすのは俺たちが来た方向だった。
確かに、そちらの方から大型の馬車のようなものがこちらに向かってきている。
「あれは……王族御用達の馬車のようであるな」
「王族?」
だとすれば俺たちが城門の前を陣取っているわけにはいかないだろう。
馬車の進路を邪魔しないように、俺たちは左右の端に分かれた。
そこへ王族御用達の馬車がやってくる。
「レイオス王子の帰還だ。門を開けろ!」
『はっ!』
御者をしていた男が門番に声を上げると、門番二人はそろって敬礼すると早速開門の準備に入った。
さすがに王族ともなると対応が違うな……ってまぁ、普通に考えたら家人が返ってきたようなものなんだから当たり前か。
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