純白少女と転生者

おすねこ

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第1章『聖霊樹の巫女』

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『レイオス王子!?どうしてここに!』

 俺とニルヴィナの声が完全にハモった。
 それだけ予想外の人物の登場だった。

「………ニルヴィナ?何故ここに……?」

 そしてレイオス王子にとってもニルヴィナがいるのは想定外な様子だった。
 いや、自分の城の地下牢なんだが、ここは……

「まぁ、ベリオス王子にちょいとはめられちまってね……まぁ、今はアタシの事よりアンタだ」

「もちろん、カイトを助けにね。まぁ既に自力で出ちゃっているけどね。参ったなぁ、この地下牢は脱獄難易度が高いつもりだったんだけど、これはもう一度設計の見直しが必要かな?」

 まぁ俺の場合は完全に英魂とアイテムインベントリのチートのおかげなので、普通の人に真似できるかと言えば、きっと間違いなく無理だったろう。

「それよりレイオス王子。リーフィアがどこに連れていかれたのか、知りませんか?」

「ああ、それなんだけれどね……」

 話を聞くと、どうやらレイオス王子も俺と同じ危惧を持ったらしい。
 だからこそ、すぐにどこに連れて行くのか問いただしたが地下牢に連れて行くという真っ当な返答しかもらえなかったという。

 それを素直に信じなかったレイオス王子は、リーフィアを兵士がどこに連れて行くのか自分の子飼いの影の一人に追跡させたらしい。
 そしてその影は……戻ってこなかった。

「普通に考えてこれだけの時間戻ってこないのはおかしい。そう考えて僕はすぐに行動を起こす事にした。影が排除されたなら、僕が動いていることもすぐに気づかれてしまう。そうなれば、僕の身にも危険が及ぶだろう。だから真っ先に頼りになりそうな味方をつけるためここまでやってきたわけだ。もちろん手土産だってあるよ」

 そう言ってレイオス王子が取り出したのはこの城の見取り図だ。
 少し複雑になっている地下牢の全容も記されている。
 これはありがたい手土産だった。
 俺は『探査魔法』でリーフィアの位置を探り、反応のある場所と見取り図を照らし合わせた。

「この辺りにいる……はずなんだが」

「なんだい、そこには部屋も通路もありゃしないじゃないか。壁の中にいるとでもいうのかい?」

「ふむ……いや、確かその辺りは。確証はないが部屋があるはずだよ。王族しか知らない隠し通路の先だったはずだ。隠し通路にはこっちの……この部屋から入ることができるよ」

 隠し通路の先か……
 最初に彼女と会ったダンジョンといい、今回の城内誘拐騒動といい、リーフィアに会うためには、どうしても隠し通路とかを通らなければならないらしい。

「隠し通路には僕が案内できる。一緒に行こう」

「あ、レイオス王子が行くならアタシも出しておくれよ。レイオス王子よりは能力的に高いはずだからさ、な、いいだろ?」

「う~ん……」

 人数が増えれば便利なことも多いが、逆に足手まといになってしまう事もある。
 今回は隠密行動がカギになりそうなので、人数=力とはなり得ないかもしれないが……レイオス王子は最初から俺と行動するためにここまで来ている。

 簡単にはあきらめてくれなさそうだし、王城で彼の支援を得られるのはありがたい。
 俺一人ならただの不審者でも、彼がいれば不審者から客人に代わるかもしれないのだ。
 そうなれば隠密の必要はない。

「……解りました。じゃあ三人で行きましょう」

 俺はそういうと、ピックでさくっとニルヴィナの牢の鍵も空けてしまう。
 それを見てレイオス王子は右手に持ってきていた鍵束をもって、軽く肩をすくめて苦笑していた。
 俺もその鍵束には気づいていたが、彼から受け取り一つずつ鍵を試すより俺がピックで開けてしまった方が圧倒的に早かったからだ。



「これはレイオス王子!こちら異常ありません!」

「うん、ご苦労さま」

 途中で何人かの牢番とすれ違ったり、地下牢から出た後も兵士とすれ違ったが全員特に何の問題もなく俺たち三人を見逃していた。
 とはいえ、もし俺が素顔をさらしていたらこうもやすやすとは動き回れなかっただろう。

 地下牢の物置へ一度移動した俺たちは、そこで俺とニルヴィナの分の兵士の装束を手に入れる事にしたのだ。
 俺の分は簡単に手に入ったが、問題はニルヴィナで彼女に合うサイズの兵士服はなかったのだ。
 仕方ないので薄暗い地下牢を出るまでは、ぶかぶかの兵士服で。
 出てからはレイオス王子がメイドの一人を呼び止めて、見習い用の子供サイズメイド服を持ってきてもらって着替えてもらった。

 少し時間がかかったが、スニーキングしながらの脱走劇ならもう少し時間がかかっていたかもしれないことを考えれば、彼らと行動を共にした意味はあっただろう。

 もし来た時同様ベリオス王子に会ってしまうと全ては水の泡に思えたが、幸いにして隠し通路のある部屋にやってくるまでベリオス王子と遭遇することはなかった。

「ははっ、ずいぶん拍子抜けだねえ。もう少し兵士とドンパチできると思ったんだけどね」

「物騒ですねニルヴィナさん……俺はそういうのは勘弁してほしいです」

「いやぁ、牢に閉じ込められてる間暇で暇でね……ちょっとぐらい体を動かしたくなったってわけさ」

 そういう彼女が運んでいるのは、銀のトレイに乗せられた鋼鉄製の兜だった。

 ……なんで?

 彼女が着替えを終えて出てきた時に、脱いだ兜を銀のトレイに乗せて出てきた時にそういう質問はしたのだが、秘密兵器だよとしか答えてもらえなかった。
 まぁ、意味はきっとあるんだろう。

「よし、開いたよ」

 レイオス王子がそういうと同時に、壁が横にスライドして隠し通路が姿を現した。
 俺の『探査魔法』でも、この奥にリーフィアの存在をしっかり探知している。
 よし……リーフィア、待ってろよ。
 すぐに助けに行くからな!
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