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第1章『聖霊樹の巫女』
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作業机には何らかの資料やメモ書きが散乱としており、デスクトップ型のパソコンが設置されている。
電源はどこから……って、まぁこの状況で気にする事でもないか。
そして椅子に座ってこちらをニコニコした敵意の無い笑みを浮かべる男。
一見すると優男と言っていいぐらいにひょろっとした体躯。
俺には馴染み深い日本人然とした黒髪黒目、顔の彫りも決して深くなく安心安定の日本人顔だ。
そろそろ散髪しろと言いたくなるようなぼさぼさ髪に無精ひげ、黒縁眼鏡の奥には優し気な光をたたえた垂れ目の瞳。
よれよれになった白衣はいかにも仕事用の実用着ですよと言わんばかりだというのに、机の上の色々を見ると、どう見ても彼は医療関係の人でも食品関係の人でもなく、IT関連の人にしか見えなかった。
「さて、まずは自己紹介からしようかな。僕は君のいる世界において神に位置する存在だ。創造神ランカスター=グリーンウッド、とでも名乗っておこうかな?」
「創造神ランカスターか……」
その名前は一応ゲームの中にも存在している。
メインクエストの実装はされていないあのゲームでも、サブクエストは豊富にありその中に創造神ランカスターにまつわるクエストも多々あった。
たいていは神殿がらみのクエストだったので、結構ドロドロした人間関係を見せられるクエストが多かったような記憶がある。
「はは、宗教なんてそんなものだよ。正直僕もこれ系のシナリオを描いているとイライラする事が多くてね。ついざまあなんてしたくなったりしてしまうんだ」
「いや、ざまあって……まぁ、割と勧善懲悪なラストが多かったけどさ。というか……神の威厳とかそういうものを感じないんだが」
目の前にいるのはとても神とは思えなかった。
むしろ元々の日本でちょっと気の合う同級生や近所の気さくなお兄さんといった感覚で触れ合えてしまっている。
彼の話し方と見た目がそうさせるのだろう。
「そうだね……じゃあ、創造神ランカスターではなくて別の名前で自己紹介しよう。僕の名前は佐藤 翔平だ。よろしく」
一気に普通っぽさが増したな、おい!?
「はっはっは、これもまぁ一応本名の内になるから構わないんじゃないか?」
「う、でも今明らかにあんたは俺の思考を読んでるよな……。そういう所は確かに神様っぽいが……」
「神様だからね。ランカスター様でも佐藤さんでも好きに呼んでくれればいいよ」
「じゃあ、まぁ佐藤さんで」
「だろうね」
そう言って佐藤さんはけらけらと笑った。
最初から俺が彼を神様扱いしないだろう事は解っている様子だった。
いや、むしろそうあるように彼の方から誘導している節があった。
「さて、海斗君。まずは僕が作ったゲームを沢山遊んでくれてありがとう。クリエイターとしてそこにまずお礼を言わせてほしい」
「クリエイター?ひょっとしてゲームクリエイター!?つまり佐藤さんが『グリーンウッド・ファンタジア』の製作スタッフなのか?」
「まぁそうだね。もちろんそれは君の世界の中だけで話すのならという事だけれど」
「よく解らないけど、どういう事なんんだ?」
「うん、つまりね……」
彼が俺にかいつまんでしてくれた話によれば、彼は本来創造神ランカスターとしてさっきまで俺がいた世界にのみ存在していた……世界を型作る世界樹の聖霊のような存在なのだという。
けれど、世界樹は世界を型作る際に多くの力を使っており、世界樹自身は常に緩やかに枯れ続けているのだそうだ。
その影響を最も色濃く受けてしまうのが、世界樹の分霊木である聖霊樹なのだそうだ。
それを癒すために『聖霊樹の巫女』という存在を彼はこの世界に生み出したが、それでも『自分』で『自分』を癒すというのは、非常に効率の悪い事らしい。
例えとしては物凄く……そう、物凄く悪いのだが、遭難した人間が水分不足にならない為に自分の……を飲むようなものであるらしい。
……ホント例え最悪だな!思わず言葉を濁したわ!
だが世界樹はこの世界の全てと言っていい存在。
その世界樹にとって、自身を本当の意味で癒す事の出来るものは自身で生み出す事ができないというのは過去色々な手段を使って理解したらしい。
そこで、自分が生み出したものとは違う存在である、異世界の魂を欲したのだと。
その異世界の魂に自らを癒してもらおうとしたのだと。
そして世界樹は、世界樹そのものともいえる世界樹の聖霊、創造神ランカスターを俺たちの世界に転移させた。
もちろん魂全てではなく、分体のような物らしいが。
そしてその分体が『佐藤 翔平』なのだそうだ。
そうして生まれ落ちた佐藤さんは、自分の世界を模してゲームを作り上げた。
それが『グリーンウッド・ファンタジア』だった。
このゲームを大勢の人に遊んでもらい、最も適合力の高い魂を見つけ出す事が目的だったらしい。
ゲームを媒介にそんな事をどうすればできるかは良く解らないが、そこは神様的な力が作用しているようだ。
まぁ原理とかその辺がしっかりしていても、少なくとも俺には理解できない領分だろう。
電源はどこから……って、まぁこの状況で気にする事でもないか。
そして椅子に座ってこちらをニコニコした敵意の無い笑みを浮かべる男。
一見すると優男と言っていいぐらいにひょろっとした体躯。
俺には馴染み深い日本人然とした黒髪黒目、顔の彫りも決して深くなく安心安定の日本人顔だ。
そろそろ散髪しろと言いたくなるようなぼさぼさ髪に無精ひげ、黒縁眼鏡の奥には優し気な光をたたえた垂れ目の瞳。
よれよれになった白衣はいかにも仕事用の実用着ですよと言わんばかりだというのに、机の上の色々を見ると、どう見ても彼は医療関係の人でも食品関係の人でもなく、IT関連の人にしか見えなかった。
「さて、まずは自己紹介からしようかな。僕は君のいる世界において神に位置する存在だ。創造神ランカスター=グリーンウッド、とでも名乗っておこうかな?」
「創造神ランカスターか……」
その名前は一応ゲームの中にも存在している。
メインクエストの実装はされていないあのゲームでも、サブクエストは豊富にありその中に創造神ランカスターにまつわるクエストも多々あった。
たいていは神殿がらみのクエストだったので、結構ドロドロした人間関係を見せられるクエストが多かったような記憶がある。
「はは、宗教なんてそんなものだよ。正直僕もこれ系のシナリオを描いているとイライラする事が多くてね。ついざまあなんてしたくなったりしてしまうんだ」
「いや、ざまあって……まぁ、割と勧善懲悪なラストが多かったけどさ。というか……神の威厳とかそういうものを感じないんだが」
目の前にいるのはとても神とは思えなかった。
むしろ元々の日本でちょっと気の合う同級生や近所の気さくなお兄さんといった感覚で触れ合えてしまっている。
彼の話し方と見た目がそうさせるのだろう。
「そうだね……じゃあ、創造神ランカスターではなくて別の名前で自己紹介しよう。僕の名前は佐藤 翔平だ。よろしく」
一気に普通っぽさが増したな、おい!?
「はっはっは、これもまぁ一応本名の内になるから構わないんじゃないか?」
「う、でも今明らかにあんたは俺の思考を読んでるよな……。そういう所は確かに神様っぽいが……」
「神様だからね。ランカスター様でも佐藤さんでも好きに呼んでくれればいいよ」
「じゃあ、まぁ佐藤さんで」
「だろうね」
そう言って佐藤さんはけらけらと笑った。
最初から俺が彼を神様扱いしないだろう事は解っている様子だった。
いや、むしろそうあるように彼の方から誘導している節があった。
「さて、海斗君。まずは僕が作ったゲームを沢山遊んでくれてありがとう。クリエイターとしてそこにまずお礼を言わせてほしい」
「クリエイター?ひょっとしてゲームクリエイター!?つまり佐藤さんが『グリーンウッド・ファンタジア』の製作スタッフなのか?」
「まぁそうだね。もちろんそれは君の世界の中だけで話すのならという事だけれど」
「よく解らないけど、どういう事なんんだ?」
「うん、つまりね……」
彼が俺にかいつまんでしてくれた話によれば、彼は本来創造神ランカスターとしてさっきまで俺がいた世界にのみ存在していた……世界を型作る世界樹の聖霊のような存在なのだという。
けれど、世界樹は世界を型作る際に多くの力を使っており、世界樹自身は常に緩やかに枯れ続けているのだそうだ。
その影響を最も色濃く受けてしまうのが、世界樹の分霊木である聖霊樹なのだそうだ。
それを癒すために『聖霊樹の巫女』という存在を彼はこの世界に生み出したが、それでも『自分』で『自分』を癒すというのは、非常に効率の悪い事らしい。
例えとしては物凄く……そう、物凄く悪いのだが、遭難した人間が水分不足にならない為に自分の……を飲むようなものであるらしい。
……ホント例え最悪だな!思わず言葉を濁したわ!
だが世界樹はこの世界の全てと言っていい存在。
その世界樹にとって、自身を本当の意味で癒す事の出来るものは自身で生み出す事ができないというのは過去色々な手段を使って理解したらしい。
そこで、自分が生み出したものとは違う存在である、異世界の魂を欲したのだと。
その異世界の魂に自らを癒してもらおうとしたのだと。
そして世界樹は、世界樹そのものともいえる世界樹の聖霊、創造神ランカスターを俺たちの世界に転移させた。
もちろん魂全てではなく、分体のような物らしいが。
そしてその分体が『佐藤 翔平』なのだそうだ。
そうして生まれ落ちた佐藤さんは、自分の世界を模してゲームを作り上げた。
それが『グリーンウッド・ファンタジア』だった。
このゲームを大勢の人に遊んでもらい、最も適合力の高い魂を見つけ出す事が目的だったらしい。
ゲームを媒介にそんな事をどうすればできるかは良く解らないが、そこは神様的な力が作用しているようだ。
まぁ原理とかその辺がしっかりしていても、少なくとも俺には理解できない領分だろう。
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