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説明
彼女 2(シリウス)
しおりを挟むルーチェフルールの話を聞き、その後ジルに知っていたのかを聞いた。
返答は否。
それだけで、ほっとした私が居る。
今まで一緒に居たジルでさえも、知らない事がありそれを私も知る事が出来たと。
ルーチェフルールが来てからと言うもの、自分が可笑しい行動をとっている事に自覚はある。
だが・・・どうにも、ジルとルーチェフルールが一緒に居られるのに、自分の立場等でそれが叶わない事に、何とも言えない感情がある。
『ルーチェフルールが此処に来て、まだ三日目なのだが・・・』
そう思うものの、彼女の事をもっと知りたいし、構いたい。
私は思ったよりも重症なのかもしれない・・・。
ルーチェフルールが異世界転生者とは、前もってジルから報告が上がってはいた。
だが特に問い詰めるつもりも無かった。
何故なら、本人の境遇があまりにも・・・だからだ。
勿論この国にも貧富の差はあれども、〝子供が捨てられる″と言う状況は無いとは・・・思う。
思うとは、多種多様な種族があるからだ。
ある種族では、子供を敢えて過酷な環境に置き育てると言うのが居る。ただこの場合では、親が付添っては居る。
それに対して竜族は子供を大切にする。
竜族自体がそう言った種族と言うのもあるが、元々出生率が低いのだ。
だからこそ、子供は大切に育てられる。
それに対して、人間は出生率が高い。この世界に住む半分が人間だろう。
だからと言って、無下に子供が死ぬ様な環境を作る必要はないだろう。
ルーチェフルールの事に関しては特にそう思おう。
出来るのであれば、両親を殺したい程だ。
それ程に、ルーチェフルールの境遇は私の中でありえないモノだと思っている。
そして、前世。
前世では享年十八歳と言っていた。
今のルーチェフルールの三年後だ。
ルーチェフルールが居なくなると考えるだけでも、身震いする・・・。
だが、コレに関しては嘘だろう。
本人は上手く隠しているつもりなのだろうが・・・その質問だけには、目が泳いでいた。
あの部屋でのやり取りを聞いていた者全員が分かっていると思う。
だが隠したくなる程に、聞かれたくない話なのだろう。
それ以前に、彼女の信頼を得ていないから・・・と言うもの考えられる。
彼女の境遇を考えれば、不用意に話したくはないだろう。
既に、王都に来てから誘拐に逢っているし、救出までにかなりの時間を擁してしまった・・・。信じられないのも致し方がない。
なのでこれに関しては彼女が私達を信用してくれて、話をしてくれるのを待つ方が良いだろう。
それよりも今は、親交を深めるのが先だな!
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