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ばんざーい!
ある兵士の一日 8
しおりを挟むやっと、やっとだ!
俺達は五本目の花を手に入れた。
スライムにやられた・・・と言うケガも痛みを感じるだけのものだったらしい。
アン曰く「幻術と言ったものかしら?誰かが、昔に研究していたらしいのだけど、実用性がないとかで使う人は居ないわ」とのこと。
しかし、このような恐怖を与えたりするならば、実用性があるのでは?と思っていしまう・・・。
「それしても・・・コレだけ部屋数があるみたいだけれど、花は後二つよね?確認が無駄になる部屋が多くなるわね」
「そうっすね・・・神経を減らす事だけは確かっす」
「それは俺も考えていた・・・。だがここまで来たら、ゴールは目の前だ。このまま消耗するよりも先に進もう」
と、言う事で俺達は即座に行動を開始した。
男子トイレの次は、女子トイレ。
それも、ササっと確認を終えた。
今までの経験上、次の花が近くにある事はないだろう・・・との考えだ。
それは当たりのようだ。
次の扉は、リネン室だった。
棚にシーツや毛布などが所狭しと並んでいたが、見通しが良く流石に毛布等の隙間に花がある事はないだろう。
今までだって、花瓶に生けてあったのだから。
次の部屋は、病室だった。
「カーテンがあるから奥が見えないっすね・・・」
「仕方がない。ここはこれまでと一緒で、フォーメンションを取って確認しよう」
二人が頷くのを見届けて、部屋に入りカーテンを一気に開ける。
二人は扉付近に待機だ。
勝手に閉まって閉じ込められる可能性を、考えての行動だ。
だが、部屋の中にはベットと簡易な棚、それからソファしかない。
「二人共、ハズレだ」
そう言って、待機していた二人に合流した。
背後で扉が閉まる音を確認し、次の・・・となった。
が
ガッチャン!!
扉の鍵が閉まった!
「あぶなーー!扉を閉めていたら、閉じ込められていたわね・・・」
「そうだな・・・残りの扉も用心しよう」
ボドッ!!ボドッ!!ボドッ!!
音の方に一斉に顔を向ける。
全員の顔が蒼白になった。
「な、なん、で、リザード、マンが居るの・・・」
振るえる声でアンが告げる。
リザードマンは、ランクBの魔物で体長が一.四~三メートル程で、口から火の玉を吐き、走ると時速二十キロの速度で獲物へと遅いかかる。
通常はAランクの冒険者三人程で、一匹を倒す魔物だ。
通常なら竜人である俺達にとってはそこまでの脅威ではない。
だが今は、攻撃手段がない。
「武器の使用が出来ないんすよ・・・B級とどう戦えって・・・?しかも・・・三匹も・・・」
「いいか・・・落ち着け・・・次の扉まで直ぐ、そこだ・・・走るぞ・・・123で走るからな・・・1.2.3!!」
言うなり、俺達は一斉に走る。
後ろからは、リザードマンの咆哮に続いて火の玉が、俺の横に着弾する。
そして、その内の二匹が走り出した!
扉は目の前!
アンが開けようとするが、開かない!!
「何で!!!なんで開かないの!!!」
何度もドアノブを回すが、ガチャガチャと鳴るだけで、扉は開かない。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
後ろを振り返れば、ギドにリザードマンが飛びつき口を開けていた。
「きゃぁぁぁぁぁ!!!!」
俺の目の前を火の玉が通り過ぎ、アンに直撃する。
そして、俺の横っ腹にリザードマンが、食いついた・・・。
プスプスと焦げる音と匂いがし、ギドと思われる腕が目の前に落ちている・・・。
そして俺は口から血を吐き、意識を失った。
* * *
「みなさ~ん、お疲れ様でーーす!!」
少女の明るい声で俺は意識を取り戻した。
どうやら俺は地べたに転がされているようだ。
体を起こすが、痛みは何処にもない。
「せんぱーーーい!!!!良かった!!目が覚めたんっすね!!」
声のする方を振り向く前に、衝撃が来る。
涙と鼻水を垂らしたギドだ。
汚い。そして、抱き着かれるなら女性が良い。と頭の片隅で考えている俺が居た。
「全員、整列!!!」
カリマ副団長の鋭い声が聞こえ、身体が勝手に反応する。
整列し終わった、俺達にカリマ副団長は深々とため息を付かれた。
「ふぅ・・・全員、情けない。このミッションを達成した者は、一人も居ない。どういうことだ?貴様らはここに来るまで、このミッションを軽く見てはいなかったか?」
その言葉に俺を含めた周りの者達も、渋面になる。
確かにカリマ副団長が言う通りなのだから・・・。
「魔法師団の者達も情けないですね。常日頃から自分が思うままの、魔法を研究してきたのでしょうが、今回では騎士団よりも基礎体力が無く、足を引っ張る者ばかり・・・」
次のリーリア副団長の言葉で、アンが俺達に付いて来られたのが奇跡に近いことを知った。
「今回のミッションは、一般人を想定した。我々竜人は基本的な身体能力が高く、魔力量も多い。その為、腹に穴が空こうが腕が千切れそうになろうが、死ぬことはない。だがどうだ?攻撃する術がなく、傷を治す魔法も攻撃魔法も使えない。ただ逃げる事しか出来ない・・・。それが一般市民の状況だ」
「これを踏まえ、街の誘導などにどういった心理が働くのか。逃げる人々がどれだけ弱く、守らねばならないのか。そう言ったことを各々よく考えるように」
「では、明日は予定通りの合同訓練を行う!各々新たに気持ちを引き締めて、今度の花火大火へ心するように!!解散!」
その言葉に、俺達は王城へと続く扉を潜った。
今回の訓練は考えさせられるものだった・・・。
今まで知りえない心境を知れたのだ。
そう、俺は新たな気持ちで一歩を踏み出した。
* * *
「ルーチェフルール様、今回はとても良い訓練になりました」
「騎士団も魔法師団もここの所、腑抜けた状態になっていたのでいい刺激になりました」
「本当にありがとうございます」
「良ければ、また次もご協力下さいますか?」
「あ、うん。協力するよ・・・」
「「ありがとうございます」」
途轍もなく良い笑顔でカリマさんとリーリアさんがお礼を言ってくる。
あれ?おかしいな?
途中から変だよね?なんで訓練になってんの?
お化け屋敷がちょっとしたモンスターハウスになっただけだよね?
確かに誰もゴールにたどり着けず、キャーキャーワーワー言ってたけど、方向が違うよね?
これお化け屋敷のデモンストレーションになってなくない?
なんてことだ・・・・。
遠い目をする私の後方で、にゃんこ達は晴れ晴れとし顔で満足げに頷いた・・・。
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