転生しても山あり谷あり!

tukisirokou

文字の大きさ
上 下
147 / 149
18歳になったよ!

食事を粗末にするの?

しおりを挟む

 皆さん、おはこんばんにちは!ルーチェさんだよ!
 現在、目の前では熾烈な争いが繰り広げられています。
 いや、私は当事者なんだけど…よくあるよね?本人そっちのけで争ってる人達。
 で、最後の決めるところだけ聞かれるんだよ。

「いいではないですか!シリウス様」

「良くはない。第一、君はどうやってここまで来たんだ?ここは竜王の居室だ。勝手に来てもらっては困る」

「そんなっ‼食事を共にしたい…と願っただけです。それに皆様が動いて下さっただけです」

「そもそも、それが間違いだろう?君の部屋は迎賓塔のはずだが?ここに来られても、食事は用意出来ない」

「それならば、今から作ればよろしいではないですか。それぐらいなら、わたしも待てますわ」

「その時点で間違ってはいないか?私はルーチェフルールと共に取るつもりであって、他は呼んでいない」

「ならば、わたしも今から一緒すれば問題ありませんでしょう?」

「それがよくないと言っている」

「なぜですか?!今までわたしのお話は、聞いて下さっていたじゃありませんか!」

「状況が変わったのだ。君もいつまで子供の様な事を言っているんだ」

 ……そう、こんな感じが平行線でずーーーっと言い合ってる。


 ことの始まりは、数十分前。
 いつもの様に、シリウスと二人で食事を取ろうとしたら、一人の侍女さんが慌てて部屋にやって来たの。

「陛下、申し訳ございません!!お止めしたのですが…」

「ちょっとどいて下さらない」

 侍女さんが、説明に入ろうとしたら廊下が急に騒がしくなって、次に扉がバァーーン!した。
 現れたのは、真っ赤な髪に、瞳はつり目のオレンジ。
 額にはちょこんと角が出てて、和服っぽい恰好をした私とそう年が変らない女の子。

 うん。彼女が、お忍びで来た愛し子なんだよ。
 でさぁ~自己紹介もなく、言い争いが始まったの。
 シリウスも誰も名前を呼ばないから、誰かは分かりません。
 しかも、シリウスも強気で言い返してるけど彼女、愛し子だよね?国は…世界は滅びない?
 なんて思ってはいます、一応。

 いやね、シリウスが強気なのは私が居るからなんだろう…と思うのよ。
 この国が…世界が滅ぶのは私・が・イヤなの、つまり炎の高位精霊が付いている彼女よりも、七大精霊が付いてる私のが上位なんだよ。
 炎の高位精霊が滅ぼそうとしても、他の精霊に阻まれるのでそんな事は起きないんだなぁ~って所へと落ち着いた。

 で、二人が何を言い合っているかと言うと、本来なら彼女は迎賓塔…七階層にある塔で食事をとることになってたの。
 だけど朝食をシリウスと食事を一緒にしたくなったんだって。
 そんな事に焦ったのは周り。
 食事はなんとかなるが、問題は行先。
 いきなり上階層に行きたい!と我儘を言い出した。
 勿論、ゲートを通るにはキーが必要になってくる。

 賓客なので、彼女はキーを持っていない。
 だから彼女は周りに命令して、止める人達を無視してここまで来たんだよ。
 シリウスと一緒にご飯が食べたいから、上階層のキーを持つ人間を脅しながら…。
 なんてはた迷惑な。

 で、冒頭に戻るのだが現在、私から彼女への好感度は急降下中。
 0%通り越して(最初から0なんだけどね)現在、不快指数100%。
 テンション高く始めたけど、本当はツンドラ地帯です。

「ルーチェ、アレ追い出す?愛し子で炎が付いてるから、細切れは無理だけど…」

「そうだねぇ~ルーチェがここまで不快になるなら、追い出そうか?」

 仲良く私の隣に居るのは、ルスとレイナ。
 この二人は、本当に仲がいい。
 何処に行くにも一緒に行動してる。良いことだ。

「なぁ、ルーチェ。俺様が言うのもなんだが…待たなくていいのか?」

「いいよ、気にしなくて。いつ終わるか分からない言い争いを待って、美味しいご飯が冷めるのを指を咥えて待つ方がイヤ」

「ですがこの状況では、美味しい食事も半減しますね」

 ロワの言葉に無言で頷きつつ、私はベーコンにフォークをぶっ刺した。
 ほんっとに、どっか他でやってくれないかなぁ。
 食事がまずくなる。
 てか、二人共に料理長さんに土下座して欲しい。

 だって考えても迎賓塔に用意された食事は、この後手を付けられずに終わる。
 んで彼女は言い争いが終わり、一緒にテーブルに付いても冷めた食事にクレームを入れるだろう。
 その様子がありありと浮かぶ。
 最悪だ。

 イヤな気分のまま食事を終えると、声がかかった。
 と言うか、睨みつけられた。

「なぜ!この者なら問題がないんですの?!」

「元から彼女と食事を取る予定だからだ。そう何度も言っているだろう」

「ならば、貴女!わたしが同席してもよろしいでしょ」

 …もう、疑問形にもなってないよ。
 しかも、何故、上から目線?

「同席もなにも、私達は食事を終えたので、お二人で食べればよろしいのではないでしょうか?皆、行こ」

 うむ。自分でもびっくりする位、腹が立っていたようだ。
 もう、さっさと部屋から出よう!


 そう言って扉を出た私の背中に、シリウスと彼女の言い争いが再び聞こえたが、しーらない。
しおりを挟む

処理中です...