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第二十五話:プロポーズの言葉 ‐イラス視点
しおりを挟む「人を呼びつけておいて留守とはどういう事だ?」
仕事を終えて部屋へ戻ると勇者の姿があった。全く誰にも気付かれる事なく部屋に居座ってる。ここで私が殺されることになっても犯人はわからないまま迷宮入りだな。
「すまない。思ったより話し合いが長くなった」
「犯人はわかったのか?」
「ああ。今から裏を取る。だがなぜマホを殺すのか理由がわからん」
「人を殺す理由なんて当事者にしかわからないさ」
そういうものか。そうだな、逆恨みなんて言葉もあるくらいだ。
「で、忙しい俺を呼ぶって事はマホ様のことか?」
「うむ。その事なんだが…。マリーから手紙があってな…」
「プロポーズきちんとしろよ。全然通じてないというかあれはダメだろう」
一生懸命手紙の説明をしてたら遮られた。どうやら勇者もプロポーズの内容を知ってるらしい。
「どこがダメなんだ。異世界ではダメなのか? 異世界人は鈍感なのか?」
相談する前に駄目出しされた私は勇者に咬みつく。
「マリーも呆れてたから異世界人は関係ないだろう。お前がダメダメなんだよ」
呆れたような顔で勇者が言う。どうやら遠回しな言葉ではダメなようだ。だが難しい。どんな言葉で伝えればいいのかさっぱりだ。
「そうだ。勇者様の世界ではプロポーズはどんな言葉なんだ?」
マホも異世界人なんだから、異世界のプロポーズは参考になるだろう。
「そうだな。『結婚してください』が一番多いと思う」
「シンプルだな。もっとひねったのないのか?」
いくら何でもシンプルすぎるだろう。
「毎朝君の顔がみたいとか君の味噌汁が食べたいとかあるけど、うーん、マホ様だと勘違いされるかもしれないから、やっぱりシンプルなのが一番じゃないか?」
「みそしる? それで通じるのか? よくわからないな」
勇者の話は全く参考にならなかった。彼女の一人もいない奴に聞いたのが間違いだった。
「おい、その顔は馬鹿にしてるだろう」
勘のいい奴だ。
「いいか。プロポーズなんてのはな自分がどれだけ相手のことを想ってるのか通じなければ意味がないぞ。カッコつけた言い方より薔薇の花束でも持って跪いてから『結婚してください』が一番なんだよ!」
跪くのか? 王である私が? だが誠意が伝わるかもしれない。しかし薔薇の花束って…いくら何でも希少な薔薇を花束には出来ないだろう。勇者様はやっぱり変わってるな。
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