100 / 233
25-3
しおりを挟む「紫で合いそうな色味と大きさのはこれ。それぞれちょっと柄が違うから選んで」
「柄?」
柄とかあんのか。1つずつ手に取って見てみるけど、わからん。同じに見える。
「わかんないっすよ。お任せします」
「そう?」
「あ、でも写真撮った時にはっきりわかるようなのありますか?」
どうせカラコン入れるなら、入れてんのわかんないと損な気がする。
「だよね。それだと、これがいいかな」
メイクさんが指したそれは、確かに他の物と比べると紫色の範囲が大きいし、色が鮮やかだ。
「じゃ、それで」
メイクさんは小さな瓶を器用に開けて、中からカラコンを取り出す。
「はい、じゃあまっすぐ前見てて」
瞼を上下に引かれ、目玉にひやっとしたものが乗るのがわかる。やっぱりこの瞬間が苦手だな。気持ち悪い。
両目にカラコンを入れられて、瞬きを2、3回するとすぐに落ち着く。
「あとはネイルだね」
マニキュアを一つ取り出すと、メイクさんはアシスタントさんにそれを任せて、ヘアセットが終わった礼華のところへ行ってしまった。
俺は大人しく爪を塗られながら、改めて鏡を見る。ほんと、カラコン入れると一気に雰囲気変わる気がするよな。国籍不明って感じだ。
さっきの段階でも宵闇は満足そうに見えたけど、完成品はどうだろう。ベルノワールプロデューサーとしての感想が聞きたい。
別に、個人的に「可愛い」とか「綺麗」とか言われてぇわけじゃない。
まあ、あいつは平気で「綺麗だな」とか言うと思うけど。
手を取られてて動けないから、首だけきょろきょろして宵闇を探す。でも、いつの間にかまた出て行ってしまったみたいだ。
ちぇ、つまらん。忙しいんだな。
「夕さん、綺麗!」
爪が乾いたのか、綺悧がやって来て隣の椅子に座る。にこにこしてて機嫌良さそうだ。うんうん、今日も可愛いな。
「いいなぁ、夕さんくらい美人だったら良かったなあ、俺」
「綺悧も充分可愛いぞ?」
落ち着いて考えて、何だこの会話。女子校か。OLか。
綺悧のくりっとした丸っこい目を生かす、タレ目気味のアイメイク。ふわふわの青い髪に青い口紅。青いカラコンは普段から使ってる。
「いつカッコいいって言ってもらえるようになるかなぁ」
そう言いながらも、別にそう大した不満はない様子であははと明るく笑う。
「はい、夕さん出来ました」
アシスタントさんが爪が乾いたのを確認して、そう教えてくれる。
「ありがとうございます」
綺麗に塗られたマニキュアは、紫色の中に、虹色がちらちら光る。こういうの何て言うんだろう。ていうか、ここまで写真に写らねぇよなぁ。
立ち上がってメイク室を見回すけど。やっぱり宵闇いねぇな。あと、朱雨もいねぇわ。礼華はメイク中。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
神様の住まう街
あさの紅茶
キャラ文芸
花屋で働く望月葵《もちづきあおい》。
彼氏との久しぶりのデートでケンカをして、山奥に置き去りにされてしまった。
真っ暗で行き場をなくした葵の前に、神社が現れ……
葵と神様の、ちょっと不思議で優しい出会いのお話です。ゆっくりと時間をかけて、いろんな神様に出会っていきます。そしてついに、葵の他にも神様が見える人と出会い――
※日本神話の神様と似たようなお名前が出てきますが、まったく関係ありません。お名前お借りしたりもじったりしております。神様ありがとうございます。
椿の国の後宮のはなし
犬噛 クロ
キャラ文芸
架空の国の後宮物語。
若き皇帝と、彼に囚われた娘の話です。
有力政治家の娘・羽村 雪樹(はねむら せつじゅ)は「男子」だと性別を間違われたまま、自国の皇帝・蓮と固い絆で結ばれていた。
しかしとうとう少女であることを気づかれてしまった雪樹は、蓮に乱暴された挙句、後宮に幽閉されてしまう。
幼なじみとして慕っていた青年からの裏切りに、雪樹は混乱し、蓮に憎しみを抱き、そして……?
あまり暗くなり過ぎない後宮物語。
雪樹と蓮、ふたりの関係がどう変化していくのか見守っていただければ嬉しいです。
※2017年完結作品をタイトルとカテゴリを変更+全面改稿しております。
視える僕らのシェアハウス
橘しづき
ホラー
安藤花音は、ごく普通のOLだった。だが25歳の誕生日を境に、急におかしなものが見え始める。
電車に飛び込んでバラバラになる男性、やせ細った子供の姿、どれもこの世のものではない者たち。家の中にまで入ってくるそれらに、花音は仕事にも行けず追い詰められていた。
ある日、駅のホームで電車を待っていると、霊に引き込まれそうになってしまう。そこを、見知らぬ男性が間一髪で救ってくれる。彼は花音の話を聞いて名刺を一枚手渡す。
『月乃庭 管理人 竜崎奏多』
不思議なルームシェアが、始まる。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる