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しおりを挟む「…俺、これめちゃめちゃ偉そうじゃねぇ?」
「いいんだ。これがイントロのシーンだから、お前を印象づけたい」
「なるほど」
こんなヤツが加入しましたよーっていうアピールなわけか。他のメンバーがさり気ないのに比べて、俺だけ明らかに動きが違うのは、目立たせる為か。…目立たせるのか、俺を。ちょっと恥ずかしいぞ。実家のおかんが大爆笑しそうだ。もしくは、「あんたお世話になっとんだで、まーちょっと遠慮せんとかんがね!」って電話かかってくるな。説明がめんどくさそうだ。
うちのおかん、俺の参加した作品は全部ゲットしてるからな。
「夕、もう一回フレームインから。今のをスムーズにやってくれ」
「へい」
スタート地点にまた戻る。
「いきまーす」
宵闇が頷いたのを見て、歩き始める。自然に、自然にな。
「おい、タイマンに臨むヤンキーだ、それは」
「はぁー?」
何だと失礼な。俺はこれでも、一度もグレずにだな。
「肩の力抜け。あと、顎を引け」
うわぁ、また顎上がってたか。直らねぇな。綺悧たちはめちゃめちゃ笑ってる。
はい、最初から。自然に歩くのな!
「もう少しゆっくり」
速かったか。スピードをちょっと落とす。
「そうだ、そのペースで。よし、そこでターンしてこっちだ」
何か、わんわんレースの犬っころみたいな気分なんだが。
踵を返して、宵闇のそばへ。目が合ったから足を止めて、ソファに手をかけながら偉そうに座って、大きく足を組む。
「よし。覚えたか」
「覚えた」
俺がこの調子じゃ、俺だけで日が暮れてしまうのでは。ちょっと不安だ。
「じゃあ本番だ。各自戻れ」
それぞれ、スタート地点に戻る。ここからは、カメラが回る。
「よーい、スタート」
監督の合図で撮影が始まった。座ってる宵闇を何秒か映す。
「はい、朱雨くん」
朱雨が入る。なるほど、これくらいのペースな。ソファに腰掛けると、ちらりと宵闇を見てすぐにそっぽを向き、右手を肘掛けにかける。
そこで一呼吸おいて。
「礼華くん」
礼華が動き出す。礼華は歩き方にも品があるな。僅かに右向きでソファの後ろに立って、横目で宵闇をちらっと見る。
その様子を確認出来る程度の間の後。
「綺悧くん」
綺悧が正面からゆっくりと入る。ほんの少し重い足取りが、この集まりに何か意味があるのかと思わせる。ソファの後ろにまわると、虚ろな目で宵闇を見て、それから視線を右の方へゆっくりと。綺悧、演技力あるな。一気に雰囲気が重くなった。
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