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しおりを挟む「夕はそっちから」
下手の手前からか。
「ああ。そんで?」
「そのまま前をずっと横切って一旦フレームアウト。その間こっちは見るな。前だけ見ろ。そこから戻って来る。そこまで来たら、俺がお前の顔を見るから、それからここに座る」
宵闇の上手側な。覚えた。それなら出来そうな気がする。
「まずリハーサルからやってみよう」
そう言うと、宵闇はソファの真ん中に、足を組んで座る。
「まず朱雨」
朱雨は下手から入って、宵闇の下手側に座る。
「礼華」
礼華は上手手前から入り、宵闇の向かって右後ろに立つ。
「綺悧」
綺悧は正面から入って行き、ソファの下手側をまわって宵闇の向かって左後ろに。
「夕」
来た来た。言われた通りに下手手前から歩いて行って、上手にフレームアウト。で、戻るんだよな。
「夕、行き過ぎだ。そこまで行ったら戻りが遅いだろう」
「えーっ、お前どこまでって言わなかったじゃん」
「じゃあそこまでだ。もう一回」
「はーい」
もう一回スタート地点に戻る。
「はい、夕来い」
宵闇がぱん、と手を叩く。俺はさっきと同じルートを通ってフレームアウト。ここまでっつってたな。回れ右をしてソファの近くまで行くと、宵闇が俺の顔を見上げる。うん、そんで座るんだったよな。宵闇の隣にすとんと座る。
「夕…運動会の入場行進じゃないんだ」
「あ?」
「キビキビしすぎだ。もうちょっと自然に歩けないか。あと、座る時はゆっくり」
「あー?」
一度立って、ゆっくり座り直す。
「いや、面接じゃないからそんな背筋伸ばしてまっすぐ座らなくていい」
スタジオが笑いに包まれる。何だよもう。そこまで指示なかったじゃねぇか。
「わからん」
「ほら、立て」
しゃあねぇな。俺が立つと、宵闇はソファの隅を指さす。
「その角に座る感じで、浅めでいい。体は俺の方に向けろ。ああ、座る時に背もたれに右手を添えるといいな。背もたれにもたれながら座ったら、ちょっと大きめのアクションで足を組んで、左手を肘掛けに」
これもツイスターだったか。えーと、右手を背もたれに、角に浅めに腰をおろして、もたれながら足を組むのと左手の肘掛けは同時な。
これ、写真より頭が混乱するな。
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