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「夕くん」
感心してたら、呼ばれた。はい、覚えてるぞ、ちゃんと。
ここからゆっくり歩いて、向こうまで行って、戻って来て。
止まる2歩前から、宵闇と目が合う。ゆっくり止まって、両手をソファに置きながら座って、足を組む、と。
そのまま、宵闇と見つめ合う。あれ、これはこれでいいのか? 座った後の指示なかったな。目は逸らした方がいいのか?
「カット」
おろおろしてる間に何秒か経ったらしく、カットの声がかかる。宵闇はため息をついて、肩を落とす。
「夕、動きはこれでいいから、もっとしれっとした顔しろ」
「あれ、ダメだったか?」
「顔が素に戻ってた。もう一回だ」
うわぁ、自分の顔見れねぇからなぁ。
「すまん!」
皆に謝ると、綺悧が笑う。
「まだ一回目だもん、大丈夫! もう一回やろ!」
「そういうもんか?」
「うん、一回では撮れないよ。気にしない!」
礼華と朱雨もうんうんと頷く。宵闇は立って行って、モニターで映像を確認する。
「全員いい感じだ。そのままもう一回だ」
また全員振り出しに戻る。同じ演技を繰り返して、俺の番。宵闇と目が合ったまま、座って足を組み、見つめ合う。
「カット!」
「おい、宵闇、どうだ今の完璧だろ」
かなり自信あるぞ、今の。
「落ち着け。確認して来る」
宵闇はまた映像を確認しに行く。ん? 首を傾げてるんだけど、また俺か?
「…礼華、今のでいいんだが、こっちを見た後に視線を外す時に目を伏せていてくれ」
細けー! それ見えんのか、見る人わかんのか!?
「わかりました」
礼華はすんなり受け入れる。ってことは、いつもこんな細かいことやってんのか。
そんな調子で、結局同じシーンを5回撮影した。これは思った以上の大仕事だ。
それから、今度は定位置から一人ずつ去るシーン。
「入った順にはけてくれ。はける方向も同じでいい。朱雨と礼華は振り返るな。朱雨はまっすぐ。礼華はその辺りでちょっと足を止める。綺悧はそこで止まって、一度上を向いてからはける」
3人への指示はこれだけ。
「夕はすっと立って、俺を3秒見下ろす。俺は下を向いてる。それからくるっと振り返ってあっちに」
秒数まで来たぞ。立って、3秒宵闇のつむじ見て、くるっとまわって右な。よし。今度は一発で決める。
とりあえずリハーサルだ。3人はそれぞれ合図に合わせて、指示通りに雰囲気出しながら去って行く。で、俺の番が来た。
すっと立って、宵闇のつむじ見て。つか、つむじどこだ。まあいいわ。で、くるっとまわってあっち。
下を向いていた宵闇は、そのままがっくり首を垂れる。
感心してたら、呼ばれた。はい、覚えてるぞ、ちゃんと。
ここからゆっくり歩いて、向こうまで行って、戻って来て。
止まる2歩前から、宵闇と目が合う。ゆっくり止まって、両手をソファに置きながら座って、足を組む、と。
そのまま、宵闇と見つめ合う。あれ、これはこれでいいのか? 座った後の指示なかったな。目は逸らした方がいいのか?
「カット」
おろおろしてる間に何秒か経ったらしく、カットの声がかかる。宵闇はため息をついて、肩を落とす。
「夕、動きはこれでいいから、もっとしれっとした顔しろ」
「あれ、ダメだったか?」
「顔が素に戻ってた。もう一回だ」
うわぁ、自分の顔見れねぇからなぁ。
「すまん!」
皆に謝ると、綺悧が笑う。
「まだ一回目だもん、大丈夫! もう一回やろ!」
「そういうもんか?」
「うん、一回では撮れないよ。気にしない!」
礼華と朱雨もうんうんと頷く。宵闇は立って行って、モニターで映像を確認する。
「全員いい感じだ。そのままもう一回だ」
また全員振り出しに戻る。同じ演技を繰り返して、俺の番。宵闇と目が合ったまま、座って足を組み、見つめ合う。
「カット!」
「おい、宵闇、どうだ今の完璧だろ」
かなり自信あるぞ、今の。
「落ち着け。確認して来る」
宵闇はまた映像を確認しに行く。ん? 首を傾げてるんだけど、また俺か?
「…礼華、今のでいいんだが、こっちを見た後に視線を外す時に目を伏せていてくれ」
細けー! それ見えんのか、見る人わかんのか!?
「わかりました」
礼華はすんなり受け入れる。ってことは、いつもこんな細かいことやってんのか。
そんな調子で、結局同じシーンを5回撮影した。これは思った以上の大仕事だ。
それから、今度は定位置から一人ずつ去るシーン。
「入った順にはけてくれ。はける方向も同じでいい。朱雨と礼華は振り返るな。朱雨はまっすぐ。礼華はその辺りでちょっと足を止める。綺悧はそこで止まって、一度上を向いてからはける」
3人への指示はこれだけ。
「夕はすっと立って、俺を3秒見下ろす。俺は下を向いてる。それからくるっと振り返ってあっちに」
秒数まで来たぞ。立って、3秒宵闇のつむじ見て、くるっとまわって右な。よし。今度は一発で決める。
とりあえずリハーサルだ。3人はそれぞれ合図に合わせて、指示通りに雰囲気出しながら去って行く。で、俺の番が来た。
すっと立って、宵闇のつむじ見て。つか、つむじどこだ。まあいいわ。で、くるっとまわってあっち。
下を向いていた宵闇は、そのままがっくり首を垂れる。
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