Hate or Fate?

たきかわ由里

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29-13

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 一枚目を書き始める。間違わないように、落ち着いて。線に勢いがないのは許してくれ。これは記念すべき一枚目なんだ。
 少し空いてるスペースに何を書こうか。ちょっと考えて、ペンを走らせる。「初チェキ!ありがとう」 どうだろう。なかなか特別な一枚じゃねぇか?
 誰がもらってくれんのかな。もらったら、どんな風に扱ってくれるんだろう。友達に自慢したりしてくれるのかな。それを考えてみたら、割とワクワクする。
 次の一枚は何を書こうか。考えながらゆっくりサインを書いていると、隣に宵闇が座った。迷わず黒のポスカを取って、すらすらと書き始める。サインをさっと入れて、「Good Luck」。なるほど。あんまり愛想いいと、宵闇様っぽくないもんな。そんでも、グッドラックに宵闇の地が透けて見える、俺には。
 俺も「よろしく」とか「ライブで会おう」とか書いて、出来上がったチェキを、回収に来たカメラの人に渡す。
「おつかれさま」
 牧村さんが戻って来て、声をかけてくれた。
「今度のワンマン遊びに行くね。Monster's Foolish Nightも。楽しみにしてるよ」
 そう全員に言ってくれた。これだけ語ったんだ、絶対にカッコいいところを見せよう。
 さてと。これで、今日の仕事は終わりか。
 朱雨と俺は事務所に車を置いてるし、宵闇は俺が送ってくから、3人で事務所の送迎の車に乗り込む。礼華と綺悧はここから電車で帰る。
「明日のリハ、遅れるな。指摘したところは直しておけ」
「はい!」
「はい」
 宵闇はいつもきっちり、遅れるな、って言うけど、今のところこいつらが遅刻したの見たことないんだよな。世界一真面目なバンドマンなんじゃないだろうか。
 ドアを閉め、お互いに手を振りながら別れた。
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