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しおりを挟む「これキツイだろ」
「ああ、ちょっと苦みが強いな」
「じゃあ、これの1mgにすっか?」
「1mgってめちゃくちゃ軽いんじゃないのか?」
「初心者が何言ってやがる。1mgで充分だ。いらん見栄はるんじゃねぇよ」
ゆっくりゆっくり、加減しながら吸い込んでるタバコの先が、少しずつ灰になっていく。
「そろそろ灰落とせ。これ、油断してても灰落ちにくいけどな」
「そうなのか?」
「それくらいになったら、灰をこうやって」
自分のタバコを灰皿のそばに近付け、吸い口を弾いて灰を落とす。
宵闇は首を傾げながら、真似をする。が、吸い口を上手く弾けなくて、落ちにくいアメスピの灰は、形も崩れずそのままだ。
「リズム感悪ぃのかよ」
笑ってやると、唇を曲げる。
「うるさい。俺はベーシストだ」
「知ってるわ。ほら、親指でこうやると落ちるから」
もう一度やってみせると、再度挑戦する。テンポよくとはいかなかったが、何とか灰は落ちた。
「消し方も教えようか?」
「それは流石に出来る」
「だよな」
一緒に笑うと、くだらねぇことが、ちょっと楽しいことになる。
同時に煙を吸い込み、同時に吐き出す。ほんと、こんなとこまでタイム感同じだよ。
「さっきのゲネプロな」
「そうだ、その意見を聞きたかったんだ」
その為に、一緒にここに来てるんだもんな。簡単に伝えとかないと。この後リハーサルの続きやるのに大事だ。
「えーと、セットリストそのものは問題なし。綺悧のMCの時間配分も完璧」
「じゃあ、流れはいいな?」
「ああ。今回はギターもベースも一本だから、交換の問題もねぇし」
今回はノーマルチューニングの曲だけだ。ワンマンの時には、ドロップチューニングもあるから、サブ機と交換しなきゃいけないタイミングがある。そこは一応考慮すべき。ローディーもいるから、大丈夫だと思うけど。
「お前が気になったところは?」
逆に、宵闇に聞いてみる。
「そうだなぁ…朱雨が動き過ぎだな。いつもよりうろうろし過ぎてる。何でだろう」
「何でかはわかんねぇけど、そうだな。もうちょい落ち着いてもいい」
それは俺も思った。始終目の前をうろちょろうろちょろしてやがって、6曲で何往復したんだ、あいつは。
「だよな? 動くのはいいけど、ちょっとどっしり構えてもいいと思う」
「同感。あ、そろそろ灰落とせな」
「あ、うん」
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