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第六十五話【【あの頃の俺に】】後

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 目の前でイボが付いた六個ものパールの上をローションが伝う。これから何をするのか見せつけるように、ゆっくりとトロリとしたローションはパールを伝い床に落ちる。

「ほら、準備できた」

 ローションにより、テカるそれを渡され、見やすいように後ろを向くと一つ目を秘部へと当てる。

「見ててください」
「ああ。ひとつめ」

 支配のグレアを帯びた冬真のその声にさえ、震えるほどの快感が走る。力也は膝立ちのまま、見せつけるようにしながらまず一つ目をすっかり緩くなった秘部へ押し込んだ。
 一つ入れただけなのに、すっかり敏感になった内部にイボが当たり、息が漏れる。

「ふたつめ」

 息を整える間もなく、次を言われ、入れたばかりのそれを奥に押し込むように二つ目を入れる。続いて三つ目を言われ、更に押し込めばその瞬間ごりっと敏感な部分へイボが当たった。

「ああっ!」
(いいトコに当たったかな)

 上がった声に、そう予想を立てる。全身を汗でぬらし、見せつけるように足を開き、尻タブまで広げ、ひくつく秘部へパールをいれるその姿は多くのものを見てきた冬真からしても官能的だった。

「四つ目」

 更に奥に押し込めばまたあの快感が走るとわかっていながら、力也は従順に四つ目を中へ押し込んだ。

「あっう」

 結局出せていない所為か、達しきれていない感覚が残り、敏感な部分をイボがこする度にクラクラするほどの快感が訪れる。

「五つ目」
「ひっ!」

 五つ目をなんとか入れ込み、すでにギチギチに思える内部に、息を吐きながら最後の一個を無理矢理押し込む。

「六つ目」
「はっぁぁぁぁ!」

 なんとか押し込み、確認してもらえるように、力也は尻タブを両手でつかみ輪っかだけが飛び出す秘部を晒した。

「力也、Stay」【待て】

 息を整えながら言われた通り待てば、ベッドに座っていた冬真が立ち上がったのがわかる。何をするのかと思えば、庭へと続く窓へ移動し、カーテンを開けた。

「さて運のいいやつは誰かな?」

 そんなことを言いながら、冬真は力也を手招きした。これから何をされるのかわかっていながら、恐怖と同時に興奮で体が熱くなるのを感じる。
 力也はそのまま獣のように四つん這いになり、冬真の元へ歩み寄った。

「はいこれ」

 窓側へ導かれ、その手に電気マッサージが手渡される。そう冬真は力也自ら電気マッサージを当てるように命じたのだ。

「じゃあ、スタート」

 ゴクリと唾を飲み込み構えたそれのスイッチを入れた。まるで電撃でも走ったかのようだった。立ち上がったそこには強すぎる快感に力也は足をガクガクと震わせた。

「こっちも」

 冬真はガラスに映るその姿を見ながら、ブジーのローターのスイッチを入れた。止めどなく漏れる嬌声がまた、更に強くなる。

「あっあっあっ!」

 それを足につけたバンドに止めると、冬真は秘部から飛び出した輪っかをつかんだ。

「いくぞ」

 ずるりと一つ、引き出されるだけで頭の中がショートしそうなほどの快感が力也を襲う。
 もはや人の声ともわからない声を上げながら、パールの一つが生み出されるように外へと出た。続いて二つ目が引っ張り出され、パールは無情にも力也の敏感な部分をこする。
 ハァッハァッと、小刻みな息が漏れるのを聞きながら、冬真は褒めるように力也の首筋へキスを落とした。

「残り一気に行く」

 耳元へささやくように言うと、力也がガラスに倒れないように支えながら残りのパールを一気に引き抜いた。

「うぁっっっぁぁぁ・・・・・・!!」

 出さないまでも達し続けているのだろう、ガクガクと震え続ける力也の前へと手を回し、今度はブジーの先を持つ。

「力也、頑張ったな。Good Boy」【よくできました】

 唇を塞ぐように、キスをするとずっとせき止めていたブジーを一気に引き抜いた。
 まるで噴水のように、勢いよく飛び散った液は体だけじゃなく窓をも汚していく。口を塞がれながらも、電気マッサージ器を当てたままのそこからは、まるで壊れた蛇口のように止めどなくあふれ出す。
 まだ当てたままのその、マッサージ器にキスをしたまま手を伸ばした冬真はそれを奪い止めた。そうして床へと落とすと、とろんとした瞳を浮かべたままサブスペースにはいってしまったらしい力也から唇を離した。

「力也、すげぇかわいい」

 まだまだ快感が落ち着かない、秘部へ待ちかねたかのように堅く立ち上がる性器をあてがうと、一気に突き入れた。
 突き入れた瞬間、再び勢いよく液が窓へと飛び散る。すでにまともな声も反応も返すことができない力也からは、打ち付ける度に唾液と嬌声があふれ続ける。

「愛してる」

 出すと合図する代わりに、冬真は再び力也の口を奪った。

 気づけば、冬真と一緒にベッドにいた。何度もキスを送ってくる冬真にくすぐったいと言うように顔を動かせば、正気に戻ったことに気づいたのだろう冬真が安心したように笑った。

「おかえり」
「ただいま?」

 またサブスペースと共に意識を失っていたらしい、冬真がベッドに運ぶのは無理だから、おそらくベッドまではサブスペースのままだったのだろう。
 モゾモゾと冬真の腕の中から抜け出そうとすれば、逃がさないというように抱きしめられた。

「冬真、シャワー浴びたい」
「もうちょっといいじゃん」
「喉渇いた。腹も減った」

 そうわがままを言えば、苦笑交じりに両手を外してくれた。少し違和感はあるものの普通に動く足を動かしシャワーへと向かった。

 そして体の中も外も綺麗にして戻ってくる頃には、いつか二人で買ったピザが温められていた。

「もうちょいかな」
「買っといてよかったな」

 レンジをのぞき込む冬真と一緒に中をのぞき込む。見た感じ、もう間もなく焼き上がるだろう。

「焼けたらもってく」
「よろしく」

 二人分の飲み物を持ち、綺麗になっている部屋へと戻り、なんとなく窓へ近づきそっと窓を開ければ、そこはバイクと柵の所為で道からはどう見ても夜に中を見ることは叶わない。
 そもそも、ここは人通りも少ないのを知っている力也は苦笑した。

(こういうとこ独占欲強いよな)

 冬真からすれば、いかに羞恥心を煽るためとはいえ、どこの誰かもわからないやつにこんな姿の力也を見せてやるものかと思うのだろう。
 その思いが少しくすぐったく、嬉しくもあり、力也は窓とカーテンを元に戻した。そうして振り返ると、いつか冬真がくじで手に入れた大きなハリネズミのぬいぐるみとその横に置かれているぬいぐるみに目が行く。
 何気なく、近寄り年季が入った色とりどりの、なんだかわからないぬいぐるみを抱き上げる。

「冬真、これなに?」
「あー?それ俺の子供の頃からのお気に入りの鳥の人形」
「鳥?」
「大事にしてた筈なんだけど、汚れたり、破れたりしてちょっといびつになっちゃったんだよ」

 子供の手には余っただろう少し大きめのぬいぐるみを、なるほどと思いながら、なんとなく嗅げば冬真の匂いがする。

「これほしい」

 自分で言って、そのずうずうしいおねだりに驚く。子供の頃から大事にしていたぬいぐるみなのに、何を言ってしまったのか。

「あ、あの・・・・・・」

 慌てて訂正しようとすれば、にっこりと笑う冬真と目が合った。

「いいよ。やる」

 もう訂正はきかないとばかりに微笑まれ、力也はその鳥をぎゅっと抱きしめた。こういうとき謝罪も、訂正も冬真は望んでいない。

「ありがとう。大事にする」
「うん」

 優しい、優しい言葉と共に、愛情を込めたグレアを送られ泣きたいほどの幸せに包まれる。
 冬真と一緒に居ると幸せばかり知る。つらく苦しいのにどうしても求めてしまっていたPlayも心からほしいと思える。
 冬真の与えるコマンドは許しでグレアはご褒美のように思える。
 あの頃はこんな日々が来るなんて思っていなかった。心も体も全てが満たされる感覚に、力也は緩む顔をぬいぐるみへと押しつけた。
 あの頃の俺に見せたいものがある。教えたいものがある。聞かせたいものがある。
 これが本当の幸せだと。
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