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第七十九話【それぞれの変化】後
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連絡が来てから少しして、マンションに神月が尋ねてきた。慌ててドアを開けた冬真に案内されるまま、中に入るとソファーに座った。
「飲み物、お茶でいいですか?」
「ああ」
ティーパックのお茶を入れ、神月の前に出すと冬真は近くにあったクッションに座った。隣同士で座らないときに力也が座っているクッションだ。
「引っ越しの準備中に悪いな」
「いえ、丁度任されたとこが終わるところだったんで」
「だが、これから磨き上げるんだろ?」
「一応ある程度綺麗にするつもりです。でも、まだ日にちがあるんで」
引っ越しまでにはまだ日にちがある。いま磨き上げても、まだ使うから汚れてしまうこともあるだろう。
「台所周りは大変だからな」
「傑さんも掃除とかするんですか?」
「ああ、いくら多頭飼いと言っても任せっぱなしにはできないだろ。ツガイの二人をその為だけに呼ぶのも悪いしな。ハウスクリーニングに定期的に頼んではいるがな」
「へぇ、ハウスクリーニングですか。他人に部屋の掃除とか任せるのちょっと気になるんですけど」
「わからないでもないが、担当がSubなんだよ」
「あ、なら大歓迎です」
この変わり身の早さ、これがSub大好きな王華学校のDom達だ。Subと知るがいなや、要求が増える客がいる中、作業を見学したがるものの、クレームなどまず入れない客はありがたい。しかも、リピート率もいい、当たり扱いされるのも理解できる。
「因みに値段は?」
「俺のマンションならキッチンだけでも二万以上だ。力也に怒られるぞ」
いくら神月のキッチンが広いとは言え、やることは変わらないのだろうから値段がそう変わるわけでもないだろう。この狭いキッチンでもおそらく一万以上はする。新しい部屋のキッチンなら多分ここよりももっとかかるだろう。
「ですよね。ついでに呆れられそうです」
「俺も、お前に余計なこと教えたって怒られるのは嫌だからな」
「諦めます」
「そうしろ」
残念そうな様子に苦笑すると神月はお茶に口をつけた。因みに、神月はキッチンだけでなく定期的に丸々ハウスクリーニングを任せている。時にはツガイの二人のとこも頼んでくれるからかなりの上客だ。
「引っ越ししたら住所を教えろよ」
「あ、先に教えときますよ。ちょっと待ってください」
そう言うと冬真は、新しい部屋の物件情報を取り出すとテーブルの上に置いた。隅に書きとめた住所を指さす。
「これが住所です」
「ああ、なるほど」
スマホに新しく登録しながら、神月は書かれている内容を興味深そうにみた。
「三人暮らしだよな」
「はい。力也と俺は二人一部屋で、力也の母さんが別部屋です」
「力也の母の部屋でお前が寝ることはあるのか?」
「うーん、ないと思いますけど体調によっては添い寝ぐらいするかもしれません。あ、でも力也が一緒に寝ることも結構あると思います」
「慣れるまではその方がいいかもしれないな」
「力也母さんのこと大事に思ってるんで」
まだ精神的に不安定になることは多いので、一人での睡眠が不安なときもあるだろう。体調を崩す時もあるかも知れない。その時はご主人様である冬真が一緒にいて世話をしてもいいが、母を大事に思い再び一緒に住めることを喜んでいる力也なら一緒にいたがるだろう。
「家事は?」
「とりあえず、俺と力也で受け持って母さんがやりたがったら頼もうかなって」
力也は間違いなくやりたがるだろうと言うが、それでもまだ刃物は持たせられないし、火も危険だと思っている。じゃあ、洗濯や買い物とは思うが、ベランダも怖いし外にも出せない。今のところ頼めるのは掃除だけだろう。
それでも、なにかしてもらい褒めるのがいいとわかっているので、大丈夫そうなものを頼もうと思っている。冬真としてはなにもしなくても褒めてもいいが、混乱するかもしれないからと言われてしまった。
「二人とも留守にするときはどうすんだ?」
「とりあえず、見守りカメラつけて、指示は出しとくんで、後は電話とかで。泊まりなら保護施設に預けるか、誰かに見に来て貰おうかなって」
「引き取る日取りは決まっているのか?」
「いえ、それはまだ」
「そうかなら、よかった」
そう言った神月は、渡された資料をテーブルに戻すと、体勢を直し、冬真を真剣な様子でみた。その様子に、今日の要件をなんとなくわかっていた冬真は、背筋を伸ばす。
「SランクDomのパーティがある」
「いつですか?」
やはり予想していた通りの内容に、動じることなく冬真は聞き返した。
「●月●日から、宿泊可能日数は五日間、メインイベントは中日の夕方から次の日の昼にかけてだ。それ以外はいつから参加しても、帰っても構わない」
「場所は傑さんの別荘ですか?」
「ああ」
SランクDomのパーティがあるのは学生時代に聞いて知っていた。場所は参加者たちの別荘など人目につかない場所、人数はその時々によって違う。
主な内容はSランク同士の交流と、情報交換、互いの監視。他のDomでは敵わないSランクだからこそ、お互いにお互いを図り監視する。
一見楽しいパーティだが、相手に協力できるかできないか見極める場でもある。
「本来は参加自由だが、お前は新しくSランクになったDomとして強制参加だ」
「力也は?」
「それも本来は参加自由だが、力也の場合Sランクサポート型Subと言うことで、不参加もおかしい」
「ですよね」
ランクが低く、不安定な状態や、Domが苦手などの理由があれば、Dom一人での参加も可能だが、力也はどれにも当てはまらない。
「更に言うと、【サブチャン】で顔バレしているから、期待されている」
「うっわ。じゃあまさか、人数」
パーティは他のDomを見極める場でもあるが、多くのSubを見られる場所でもある。Subが好きすぎるDomたちは多くのSubを見られ交流もできる時間を楽しみにしている。
とくに力也は【サブチャン】で顔バレもしていて、珍しいSランクのサポート型ということで大注目されていた。
「普段よりも多めだ」
「力也狙いっすか」
「最年少のお前に対する好奇心もあるとは思うが」
普段よりも多いとはいえ、絶対数が少ないのがSランクだ。Subをいれても60人に満たない人数だが、それでも普段よりは多い。その為、部屋数が足りなく急遽、簡易的な宿泊場所を敷地内に確保している。
「菊川に声をかけてグランピングのテントとキャンピングカーも借りた。嵐にでもならなければ問題ないだろう」
参加者以外のスタッフは他の施設に泊まって貰うが、参加者は夜も交流することがあるため、神月の別荘に宿泊する。
「傑さんは誰を連れて行くんですか?」
「今回の俺のメインは結衣だ」
「結衣? 結衣じゃキツくないですか?」
「キツいのはわかっているが、一度連れて行きたいと思っていたんだ。力也が一緒の方が結衣も安心できるだろ」
SランクのDomばかりが集まる場所に、Domに萎縮することも多い結衣で荷が重いのはわかっているが、新入りとして紹介したい事もあり、今回は連れて行くことに決めていた。
「まあ、それはそうですね」
「一応、他の奴らも手伝いに連れて行くが、パーティに出すのは結衣だ」
なにせ、かなりの人数だ。その為多頭飼いをしているDomのSubにスタッフとして手伝って貰ったり、外部のクリーニング業者を雇うことになる。
しかし、パーティ中や客がいる間は部外者では不都合があるため、外部に頼むのは始まる前と全てが終わった後になる。必然的に客がいる間は自分の事は自分でと言うのが決まりだ。
「パーティには催しもあるって聞いたんですけど」
「ああ、それも参加は自由だ」
催し物はDomとSubの絆を見せる物や、Subの技術や才能を見せる物が多い。中には性的な奉仕に関するものもあり、参加するかしないかは本人達の自由だ。
「事前に内容は知れるんですか?」
「公平を期すために事前には教えないことになっている。当日に説明を渡すから出すか出さないかは好きに決めればいい」
「わかりました」
とはいえ、力也の状況を考えれば何かしらの見せ場は必要だろう。むろん力也だけでなく、冬真も最年少のSランクとして顔を売らなくてはならない。
「結衣も催しに出すんですか?」
「ああ。無論、ズルも無理もさせるつもりはないが。結衣にとっては試練となるな」
「力也もあんまり、大人数の前でってのは得意じゃないんですけど」
「そこは頑張って貰うしかないだろう、内容がわからなくとも事前に伝えておけ」
「わかりました」
性的な見世物は冬真も好まないが、それ以外なら力也がやってもいいと言う物があるかもしれない。
それでも、いくら王華学校の卒業生ばかりとはいえ多くのDomが集まる独特の雰囲気は想像するだけであまり気が進まない。
そのうえで自分の大事なSubを前に立たせることも好みではない。力也は自分よりも先に馴染んでしまいそうな気もするが、それはそれでDomが寄ってきそうだ。
いっそのこと、怯えるとかなら防ぐこともできるが、抵抗力がある力也ではそれもおかしい。今回だけと割り切りたいが自由参加と言いながらも、次世代の若手Sランクとして注目されるのは必至だ。
やはりここは同世代のSランクを増やすしかないと、冬真は心に決めていた。
「飲み物、お茶でいいですか?」
「ああ」
ティーパックのお茶を入れ、神月の前に出すと冬真は近くにあったクッションに座った。隣同士で座らないときに力也が座っているクッションだ。
「引っ越しの準備中に悪いな」
「いえ、丁度任されたとこが終わるところだったんで」
「だが、これから磨き上げるんだろ?」
「一応ある程度綺麗にするつもりです。でも、まだ日にちがあるんで」
引っ越しまでにはまだ日にちがある。いま磨き上げても、まだ使うから汚れてしまうこともあるだろう。
「台所周りは大変だからな」
「傑さんも掃除とかするんですか?」
「ああ、いくら多頭飼いと言っても任せっぱなしにはできないだろ。ツガイの二人をその為だけに呼ぶのも悪いしな。ハウスクリーニングに定期的に頼んではいるがな」
「へぇ、ハウスクリーニングですか。他人に部屋の掃除とか任せるのちょっと気になるんですけど」
「わからないでもないが、担当がSubなんだよ」
「あ、なら大歓迎です」
この変わり身の早さ、これがSub大好きな王華学校のDom達だ。Subと知るがいなや、要求が増える客がいる中、作業を見学したがるものの、クレームなどまず入れない客はありがたい。しかも、リピート率もいい、当たり扱いされるのも理解できる。
「因みに値段は?」
「俺のマンションならキッチンだけでも二万以上だ。力也に怒られるぞ」
いくら神月のキッチンが広いとは言え、やることは変わらないのだろうから値段がそう変わるわけでもないだろう。この狭いキッチンでもおそらく一万以上はする。新しい部屋のキッチンなら多分ここよりももっとかかるだろう。
「ですよね。ついでに呆れられそうです」
「俺も、お前に余計なこと教えたって怒られるのは嫌だからな」
「諦めます」
「そうしろ」
残念そうな様子に苦笑すると神月はお茶に口をつけた。因みに、神月はキッチンだけでなく定期的に丸々ハウスクリーニングを任せている。時にはツガイの二人のとこも頼んでくれるからかなりの上客だ。
「引っ越ししたら住所を教えろよ」
「あ、先に教えときますよ。ちょっと待ってください」
そう言うと冬真は、新しい部屋の物件情報を取り出すとテーブルの上に置いた。隅に書きとめた住所を指さす。
「これが住所です」
「ああ、なるほど」
スマホに新しく登録しながら、神月は書かれている内容を興味深そうにみた。
「三人暮らしだよな」
「はい。力也と俺は二人一部屋で、力也の母さんが別部屋です」
「力也の母の部屋でお前が寝ることはあるのか?」
「うーん、ないと思いますけど体調によっては添い寝ぐらいするかもしれません。あ、でも力也が一緒に寝ることも結構あると思います」
「慣れるまではその方がいいかもしれないな」
「力也母さんのこと大事に思ってるんで」
まだ精神的に不安定になることは多いので、一人での睡眠が不安なときもあるだろう。体調を崩す時もあるかも知れない。その時はご主人様である冬真が一緒にいて世話をしてもいいが、母を大事に思い再び一緒に住めることを喜んでいる力也なら一緒にいたがるだろう。
「家事は?」
「とりあえず、俺と力也で受け持って母さんがやりたがったら頼もうかなって」
力也は間違いなくやりたがるだろうと言うが、それでもまだ刃物は持たせられないし、火も危険だと思っている。じゃあ、洗濯や買い物とは思うが、ベランダも怖いし外にも出せない。今のところ頼めるのは掃除だけだろう。
それでも、なにかしてもらい褒めるのがいいとわかっているので、大丈夫そうなものを頼もうと思っている。冬真としてはなにもしなくても褒めてもいいが、混乱するかもしれないからと言われてしまった。
「二人とも留守にするときはどうすんだ?」
「とりあえず、見守りカメラつけて、指示は出しとくんで、後は電話とかで。泊まりなら保護施設に預けるか、誰かに見に来て貰おうかなって」
「引き取る日取りは決まっているのか?」
「いえ、それはまだ」
「そうかなら、よかった」
そう言った神月は、渡された資料をテーブルに戻すと、体勢を直し、冬真を真剣な様子でみた。その様子に、今日の要件をなんとなくわかっていた冬真は、背筋を伸ばす。
「SランクDomのパーティがある」
「いつですか?」
やはり予想していた通りの内容に、動じることなく冬真は聞き返した。
「●月●日から、宿泊可能日数は五日間、メインイベントは中日の夕方から次の日の昼にかけてだ。それ以外はいつから参加しても、帰っても構わない」
「場所は傑さんの別荘ですか?」
「ああ」
SランクDomのパーティがあるのは学生時代に聞いて知っていた。場所は参加者たちの別荘など人目につかない場所、人数はその時々によって違う。
主な内容はSランク同士の交流と、情報交換、互いの監視。他のDomでは敵わないSランクだからこそ、お互いにお互いを図り監視する。
一見楽しいパーティだが、相手に協力できるかできないか見極める場でもある。
「本来は参加自由だが、お前は新しくSランクになったDomとして強制参加だ」
「力也は?」
「それも本来は参加自由だが、力也の場合Sランクサポート型Subと言うことで、不参加もおかしい」
「ですよね」
ランクが低く、不安定な状態や、Domが苦手などの理由があれば、Dom一人での参加も可能だが、力也はどれにも当てはまらない。
「更に言うと、【サブチャン】で顔バレしているから、期待されている」
「うっわ。じゃあまさか、人数」
パーティは他のDomを見極める場でもあるが、多くのSubを見られる場所でもある。Subが好きすぎるDomたちは多くのSubを見られ交流もできる時間を楽しみにしている。
とくに力也は【サブチャン】で顔バレもしていて、珍しいSランクのサポート型ということで大注目されていた。
「普段よりも多めだ」
「力也狙いっすか」
「最年少のお前に対する好奇心もあるとは思うが」
普段よりも多いとはいえ、絶対数が少ないのがSランクだ。Subをいれても60人に満たない人数だが、それでも普段よりは多い。その為、部屋数が足りなく急遽、簡易的な宿泊場所を敷地内に確保している。
「菊川に声をかけてグランピングのテントとキャンピングカーも借りた。嵐にでもならなければ問題ないだろう」
参加者以外のスタッフは他の施設に泊まって貰うが、参加者は夜も交流することがあるため、神月の別荘に宿泊する。
「傑さんは誰を連れて行くんですか?」
「今回の俺のメインは結衣だ」
「結衣? 結衣じゃキツくないですか?」
「キツいのはわかっているが、一度連れて行きたいと思っていたんだ。力也が一緒の方が結衣も安心できるだろ」
SランクのDomばかりが集まる場所に、Domに萎縮することも多い結衣で荷が重いのはわかっているが、新入りとして紹介したい事もあり、今回は連れて行くことに決めていた。
「まあ、それはそうですね」
「一応、他の奴らも手伝いに連れて行くが、パーティに出すのは結衣だ」
なにせ、かなりの人数だ。その為多頭飼いをしているDomのSubにスタッフとして手伝って貰ったり、外部のクリーニング業者を雇うことになる。
しかし、パーティ中や客がいる間は部外者では不都合があるため、外部に頼むのは始まる前と全てが終わった後になる。必然的に客がいる間は自分の事は自分でと言うのが決まりだ。
「パーティには催しもあるって聞いたんですけど」
「ああ、それも参加は自由だ」
催し物はDomとSubの絆を見せる物や、Subの技術や才能を見せる物が多い。中には性的な奉仕に関するものもあり、参加するかしないかは本人達の自由だ。
「事前に内容は知れるんですか?」
「公平を期すために事前には教えないことになっている。当日に説明を渡すから出すか出さないかは好きに決めればいい」
「わかりました」
とはいえ、力也の状況を考えれば何かしらの見せ場は必要だろう。むろん力也だけでなく、冬真も最年少のSランクとして顔を売らなくてはならない。
「結衣も催しに出すんですか?」
「ああ。無論、ズルも無理もさせるつもりはないが。結衣にとっては試練となるな」
「力也もあんまり、大人数の前でってのは得意じゃないんですけど」
「そこは頑張って貰うしかないだろう、内容がわからなくとも事前に伝えておけ」
「わかりました」
性的な見世物は冬真も好まないが、それ以外なら力也がやってもいいと言う物があるかもしれない。
それでも、いくら王華学校の卒業生ばかりとはいえ多くのDomが集まる独特の雰囲気は想像するだけであまり気が進まない。
そのうえで自分の大事なSubを前に立たせることも好みではない。力也は自分よりも先に馴染んでしまいそうな気もするが、それはそれでDomが寄ってきそうだ。
いっそのこと、怯えるとかなら防ぐこともできるが、抵抗力がある力也ではそれもおかしい。今回だけと割り切りたいが自由参加と言いながらも、次世代の若手Sランクとして注目されるのは必至だ。
やはりここは同世代のSランクを増やすしかないと、冬真は心に決めていた。
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