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一、二〇一〇年 東京―1
⑧
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翌日、午前のうちにミハルに着いた暢子は、事務室にこもり、スケジュール表と首っ引きで北山の依頼を差し込む隙を探した。
彼の読み通り、福住での隔週連載はあと三回分で終わる。忙しくなってから、綾乃は連載原稿の描き貯めができなくなり、毎回本当に締め切りに追われている。福住の引き留めをかわして晴月社に描くとなると――。
(七年続いた連載がようやく終わったんだ。綾乃に休暇のひとつも取らせないとマズイよな)
暢子は手にしたボールペンの先で唇を突いた。馬車馬のように、マンガ家をひたすら鞭打つことしか考えていなかった。
どちらにせよ、新しい仕事を受けるとなれば、それなりの取材をすることとなる。ロケハンも必要だ。
「十二夜」で不定期連載中の話はヨーロッパが舞台で、連載を開始したときを含めて何度か取材のため現地へ飛んだ。もうすぐ終わる「――戦い」は日本の現代が舞台で、暢子かチーフアシスタントの登紀子が写真を撮ってくるのと、本を数冊、ミュージックビデオを数本買うだけで事足り、えらく安上がりだったものだが。
(その分編集部からの注文が多くて、綾乃は疲れてたけど)
何を言われても限られた時間の中ですぐさまストーリーに取り入れ、注文通り確実に原稿を仕上げる。北山の言う通りそうした職人仕事から、そろそろ綾乃も卒業していい。
描きたいものを、描く。
綾乃は、どんなものを描きたがるだろうか。
せっかくだから、福住が描かせてくれないストーリーがいい。せっかくの機会なのだから、これからもつき合い続ける社では描きにくいネタを描かせてやりたい。
イメージを膨らませ、スケジュール感を把握した暢子は、次に福住書店から回されて来たアシスタント志望者の作品に目を通した。課題を与えて描かせたものを、履歴書と一緒に提出させていた。
常勤でなくてもいい。実力のある子が欲しい。スタッフが揃えば作品のクオリティが上がるし、仕上げに要する時間も短縮される。新しい仕事を受ける余地が生まれる。綾乃の描きたい話を一本でも多く仕上げられる。
ミハル製作所では、臨時のアルバイト以外は正社員であり、社会保険もある。
この業界を目指すものは親に反対されているケースが多い。そして、職場が親を説得できる労働条件でないこともまた多い。暢子もそうだった。綾乃とともに漫画家を目指して故郷を飛び出してきて以来、暢子は数えるほどしか帰省していない。暢子が、そして綾乃が会社組織にこだわった理由のひとつだ。
もうひとりくらい常勤の正社員がいてもいい。ともに役員である綾乃と暢子を除くと、現在ミハルに在籍の社員はチーフとサブのふたりだけだった。少数精鋭でやる方が、時間ぎりぎりで掻き集めたスタッフにバタバタ作業させるよりも、より美しく藤村綾乃の脳内画像を再現できる。
だが、そのためには、スタッフの待ち時間をなくし、効率よく作業を進めなくてはならない。
漫画家は原稿に入る前に、画面構成を編集と打ち合わせする。打ち合わせ時には、ネームと呼ばれるセリフなどの入った画面の設計図を作っておく。編集にそのネームを提出するタイミングを早め、計画的に原稿を制作していけば、アシスタントの作業も締切前に集中することなく、適切な分量で進めていける。理論的には。
綾乃はさて、何と言うだろう。
暢子は時計を見た。すでに午後となっていた。しばらく台所に立たなくてもいいように、暢子はポットにコーヒーを淹れていた。食欲はなかった。いつものことだ。
そろそろ綾乃に電話してみようか。
昨夜は結構呑んでいた。もう起きているだろうか。北山のネクタイをつかみ、澄まし顔でタクシーに乗り込んだ綾乃を暢子は思い出した。胸のどこかがちくりと痛む。
あれからどうしたろう。北山は無事に帰れたろうか。
艶やかな綾乃。真面目そうな童顔の北山。抱き心地のよさそうな赤いドレスの胸のふくらみ。
思い出すうち、暢子は投げやりな気分になってきた。
(帰ろうかな)
ファンレターの整理をしながら、暢子は考えるともなく考えていた。
晴月社漫画賞。
受賞にはどんな作品が相応しいか。
晴月社の仕事の話を、早く綾乃としたい。
編集部から届いたファンレターやプレゼントのうち、綾乃の目に触れさせたくないものを処分し終え、暢子は綾乃の自宅に電話した。
呼び出し音が八回、九回。出ない。
具合でも悪いのだろうか。更にしばらく待ってから、暢子は受話器を置いた。あきらめて、携帯電話にかけるのも止めた。
平成のこの時代、暢子が再三言って、綾乃も携帯電話を買ってはいた。だが綾乃の携帯電話はどうせ暢子の机の隣、社長席の抽斗で鳴るに決まってる。何度言っても綾乃は電話を持ち歩かない。
(まったく、何のための「携帯」電話なんだか)
昨夜は自宅に帰らなかったのだろうか。
綾乃も立派なおとなだ。暢子が心配する筋合いはない。
暢子ひとりの働く古い洋館は、春とは言え寒々としていた。あのお堅そうな北山が性悪猫に絡みつかれる図が脳裏に浮かんだ。暢子はぶるっと身震いした。
玄関の扉が開く音がした。
暢子はじっと次の音を待った。
スリッパがぱたぱたと廊下を進み、暢子のいる事務室の前を通り過ぎた。
暢子は急いで事務室のドアを開いた。
「綾乃」
「おお田崎。いたのか」
綾乃は今日は長い髪をふんわり下ろして、だぶっとした白いジャケットに明るめの灰緑のジーンズを履いていた。腕には何やら大荷物を抱えている。
「いたよ。どうしたの、その荷物」
暢子は腕を伸ばして綾乃の手から買いもの袋をいくつか受け取った。
「知らせてくれれば車で迎えに行ったのに」
暢子は廊下を急ぎ、綾乃のために書斎のドアを開けた。
「うーん、画材屋にふらっと寄ったら、いい色結構あって。つい衝動買い」
「そんなの、言ってくれれば用意するのに」
「で、こっちはネタのメモ。十年分」
綾乃はちろっと舌を出した。白い歯の隙間に赤い花弁はすぐさま引っ込んだ。
「次の、晴月社の連載、あれな」
綾乃は書斎の机に荷物を下ろして言った。
「『何描こっかなー』と思って。今までお蔵にしてきたネタ、たくさんあるからさ。ここらでひとつ、ビシッとな」
(綾乃……)
鼻の奥がツンとした。
綾乃には分かってる。何もかも。暢子はまだ何も言っていないのに。
慌てて顔を背け、暢子は綾乃から受け取った画材類を仕事場に運び込んだ。
「北山さん、何て言ってた? 昨夜あのあと、話したんでしょ」
暢子は開け放ったドアの向こうに聞こえるよう、声を張った。綾乃はそれには答えず別のことを喋り始めた。
「田崎、昼飯どうした? どーせまだ食べてないんだろ、仕事に夢中で。まったく、お前はいつも仕事ばっかりなんだから。人間としてどっか欠陥あるんじゃないのか。何か食べに行くぞ」
綾乃は、近所に最近出来た新しい店が気になっているらしい。看板に書かれた「今日のランチ」はどうの、店構えがどうのとその店のことを話し続けた。暢子は画材を収納し終わり、書斎の入り口で綾乃のトークを遮った。
「綾乃」
話の腰を折られて綾乃はむっとした。
「ネーム。『――戦い』の。できてる?」
綾乃はぷいっと台所へ向かった。
「できてないんだね」
暢子は決めつけた。返事はない。
暢子は綾乃が机の上に放り投げていった、紙の束を見た。アイディアがぎっしり詰まった、十年分の綾乃の魂の軌跡。
綾乃の豊富な着想の中から、作品となって世に出ていったのはほんの僅かだった。しかも、編集部の注文を容れるとほぼ原型は留めない。
暢子は、綾乃の豪快な字がびっしり書き込まれたその束を、愛おしげにそっと撫でた。大きな殴り書き。ぴっちりと行儀よく並んだ箇条書き。書きつけたときの綾乃の気分が伝わってくる。もう何年も、暢子はこうした綾乃のメモを目にしていなかった。
綾乃の次の連載にかける情熱を暢子は見た。
暢子は、綾乃がいい作品を描くためなら、どんな面倒事でも引き受けようと改めて思った。綾乃が今度こそ描きたいものが描けるように。
藤村綾乃の実力を、世間に知らしめる。
それこそ、晴月社賞を獲れるくらいに。
そのためなら何だって、本当に何だってする。
「綾乃」
暢子はきっと顔を上げ、綾乃を追った。綾乃は返事もしない。
暢子が台所へ入ると、綾乃はストック棚から茶葉を選んでいるところだった。
「そうやってぶーたれてるとシワ増えるよ」
綾乃は最近目の下のシワを気にしている。綾乃のようなぱっちりと大きな二重の顔立ちは、どうしてもシワが寄りがちなのだ。暢子の言葉に綾乃は慌てて顔に手をやった。その仕草が可愛らしくって、暢子はついつい甘い笑顔を浮かべてしまう。
「ストーリーもできてるんだし、やってしまおう。早いとこ担当さんにFAX送って、作画に入ろ。そしたらゆっくり晴月社のプロット練れるじゃないか。ね」
ふくれっ面で湯を沸かしている綾乃の頬に触れそうになって、暢子は伸ばしかけた手を慌てて握りしめた。
「何か食べもの、買ってくるよ。何が食べたい?」
綾乃は仏頂面のまま「煉瓦亭のカツレツ」と答え、「帝国ホテルのローストビーフ」と言った。暢子はにっこり笑って次を待った。綾乃は最後に、近所のパン屋のカスク―ト、と呟いた。暢子は笑って「分かった」と頷き、外へ出た。
彼の読み通り、福住での隔週連載はあと三回分で終わる。忙しくなってから、綾乃は連載原稿の描き貯めができなくなり、毎回本当に締め切りに追われている。福住の引き留めをかわして晴月社に描くとなると――。
(七年続いた連載がようやく終わったんだ。綾乃に休暇のひとつも取らせないとマズイよな)
暢子は手にしたボールペンの先で唇を突いた。馬車馬のように、マンガ家をひたすら鞭打つことしか考えていなかった。
どちらにせよ、新しい仕事を受けるとなれば、それなりの取材をすることとなる。ロケハンも必要だ。
「十二夜」で不定期連載中の話はヨーロッパが舞台で、連載を開始したときを含めて何度か取材のため現地へ飛んだ。もうすぐ終わる「――戦い」は日本の現代が舞台で、暢子かチーフアシスタントの登紀子が写真を撮ってくるのと、本を数冊、ミュージックビデオを数本買うだけで事足り、えらく安上がりだったものだが。
(その分編集部からの注文が多くて、綾乃は疲れてたけど)
何を言われても限られた時間の中ですぐさまストーリーに取り入れ、注文通り確実に原稿を仕上げる。北山の言う通りそうした職人仕事から、そろそろ綾乃も卒業していい。
描きたいものを、描く。
綾乃は、どんなものを描きたがるだろうか。
せっかくだから、福住が描かせてくれないストーリーがいい。せっかくの機会なのだから、これからもつき合い続ける社では描きにくいネタを描かせてやりたい。
イメージを膨らませ、スケジュール感を把握した暢子は、次に福住書店から回されて来たアシスタント志望者の作品に目を通した。課題を与えて描かせたものを、履歴書と一緒に提出させていた。
常勤でなくてもいい。実力のある子が欲しい。スタッフが揃えば作品のクオリティが上がるし、仕上げに要する時間も短縮される。新しい仕事を受ける余地が生まれる。綾乃の描きたい話を一本でも多く仕上げられる。
ミハル製作所では、臨時のアルバイト以外は正社員であり、社会保険もある。
この業界を目指すものは親に反対されているケースが多い。そして、職場が親を説得できる労働条件でないこともまた多い。暢子もそうだった。綾乃とともに漫画家を目指して故郷を飛び出してきて以来、暢子は数えるほどしか帰省していない。暢子が、そして綾乃が会社組織にこだわった理由のひとつだ。
もうひとりくらい常勤の正社員がいてもいい。ともに役員である綾乃と暢子を除くと、現在ミハルに在籍の社員はチーフとサブのふたりだけだった。少数精鋭でやる方が、時間ぎりぎりで掻き集めたスタッフにバタバタ作業させるよりも、より美しく藤村綾乃の脳内画像を再現できる。
だが、そのためには、スタッフの待ち時間をなくし、効率よく作業を進めなくてはならない。
漫画家は原稿に入る前に、画面構成を編集と打ち合わせする。打ち合わせ時には、ネームと呼ばれるセリフなどの入った画面の設計図を作っておく。編集にそのネームを提出するタイミングを早め、計画的に原稿を制作していけば、アシスタントの作業も締切前に集中することなく、適切な分量で進めていける。理論的には。
綾乃はさて、何と言うだろう。
暢子は時計を見た。すでに午後となっていた。しばらく台所に立たなくてもいいように、暢子はポットにコーヒーを淹れていた。食欲はなかった。いつものことだ。
そろそろ綾乃に電話してみようか。
昨夜は結構呑んでいた。もう起きているだろうか。北山のネクタイをつかみ、澄まし顔でタクシーに乗り込んだ綾乃を暢子は思い出した。胸のどこかがちくりと痛む。
あれからどうしたろう。北山は無事に帰れたろうか。
艶やかな綾乃。真面目そうな童顔の北山。抱き心地のよさそうな赤いドレスの胸のふくらみ。
思い出すうち、暢子は投げやりな気分になってきた。
(帰ろうかな)
ファンレターの整理をしながら、暢子は考えるともなく考えていた。
晴月社漫画賞。
受賞にはどんな作品が相応しいか。
晴月社の仕事の話を、早く綾乃としたい。
編集部から届いたファンレターやプレゼントのうち、綾乃の目に触れさせたくないものを処分し終え、暢子は綾乃の自宅に電話した。
呼び出し音が八回、九回。出ない。
具合でも悪いのだろうか。更にしばらく待ってから、暢子は受話器を置いた。あきらめて、携帯電話にかけるのも止めた。
平成のこの時代、暢子が再三言って、綾乃も携帯電話を買ってはいた。だが綾乃の携帯電話はどうせ暢子の机の隣、社長席の抽斗で鳴るに決まってる。何度言っても綾乃は電話を持ち歩かない。
(まったく、何のための「携帯」電話なんだか)
昨夜は自宅に帰らなかったのだろうか。
綾乃も立派なおとなだ。暢子が心配する筋合いはない。
暢子ひとりの働く古い洋館は、春とは言え寒々としていた。あのお堅そうな北山が性悪猫に絡みつかれる図が脳裏に浮かんだ。暢子はぶるっと身震いした。
玄関の扉が開く音がした。
暢子はじっと次の音を待った。
スリッパがぱたぱたと廊下を進み、暢子のいる事務室の前を通り過ぎた。
暢子は急いで事務室のドアを開いた。
「綾乃」
「おお田崎。いたのか」
綾乃は今日は長い髪をふんわり下ろして、だぶっとした白いジャケットに明るめの灰緑のジーンズを履いていた。腕には何やら大荷物を抱えている。
「いたよ。どうしたの、その荷物」
暢子は腕を伸ばして綾乃の手から買いもの袋をいくつか受け取った。
「知らせてくれれば車で迎えに行ったのに」
暢子は廊下を急ぎ、綾乃のために書斎のドアを開けた。
「うーん、画材屋にふらっと寄ったら、いい色結構あって。つい衝動買い」
「そんなの、言ってくれれば用意するのに」
「で、こっちはネタのメモ。十年分」
綾乃はちろっと舌を出した。白い歯の隙間に赤い花弁はすぐさま引っ込んだ。
「次の、晴月社の連載、あれな」
綾乃は書斎の机に荷物を下ろして言った。
「『何描こっかなー』と思って。今までお蔵にしてきたネタ、たくさんあるからさ。ここらでひとつ、ビシッとな」
(綾乃……)
鼻の奥がツンとした。
綾乃には分かってる。何もかも。暢子はまだ何も言っていないのに。
慌てて顔を背け、暢子は綾乃から受け取った画材類を仕事場に運び込んだ。
「北山さん、何て言ってた? 昨夜あのあと、話したんでしょ」
暢子は開け放ったドアの向こうに聞こえるよう、声を張った。綾乃はそれには答えず別のことを喋り始めた。
「田崎、昼飯どうした? どーせまだ食べてないんだろ、仕事に夢中で。まったく、お前はいつも仕事ばっかりなんだから。人間としてどっか欠陥あるんじゃないのか。何か食べに行くぞ」
綾乃は、近所に最近出来た新しい店が気になっているらしい。看板に書かれた「今日のランチ」はどうの、店構えがどうのとその店のことを話し続けた。暢子は画材を収納し終わり、書斎の入り口で綾乃のトークを遮った。
「綾乃」
話の腰を折られて綾乃はむっとした。
「ネーム。『――戦い』の。できてる?」
綾乃はぷいっと台所へ向かった。
「できてないんだね」
暢子は決めつけた。返事はない。
暢子は綾乃が机の上に放り投げていった、紙の束を見た。アイディアがぎっしり詰まった、十年分の綾乃の魂の軌跡。
綾乃の豊富な着想の中から、作品となって世に出ていったのはほんの僅かだった。しかも、編集部の注文を容れるとほぼ原型は留めない。
暢子は、綾乃の豪快な字がびっしり書き込まれたその束を、愛おしげにそっと撫でた。大きな殴り書き。ぴっちりと行儀よく並んだ箇条書き。書きつけたときの綾乃の気分が伝わってくる。もう何年も、暢子はこうした綾乃のメモを目にしていなかった。
綾乃の次の連載にかける情熱を暢子は見た。
暢子は、綾乃がいい作品を描くためなら、どんな面倒事でも引き受けようと改めて思った。綾乃が今度こそ描きたいものが描けるように。
藤村綾乃の実力を、世間に知らしめる。
それこそ、晴月社賞を獲れるくらいに。
そのためなら何だって、本当に何だってする。
「綾乃」
暢子はきっと顔を上げ、綾乃を追った。綾乃は返事もしない。
暢子が台所へ入ると、綾乃はストック棚から茶葉を選んでいるところだった。
「そうやってぶーたれてるとシワ増えるよ」
綾乃は最近目の下のシワを気にしている。綾乃のようなぱっちりと大きな二重の顔立ちは、どうしてもシワが寄りがちなのだ。暢子の言葉に綾乃は慌てて顔に手をやった。その仕草が可愛らしくって、暢子はついつい甘い笑顔を浮かべてしまう。
「ストーリーもできてるんだし、やってしまおう。早いとこ担当さんにFAX送って、作画に入ろ。そしたらゆっくり晴月社のプロット練れるじゃないか。ね」
ふくれっ面で湯を沸かしている綾乃の頬に触れそうになって、暢子は伸ばしかけた手を慌てて握りしめた。
「何か食べもの、買ってくるよ。何が食べたい?」
綾乃は仏頂面のまま「煉瓦亭のカツレツ」と答え、「帝国ホテルのローストビーフ」と言った。暢子はにっこり笑って次を待った。綾乃は最後に、近所のパン屋のカスク―ト、と呟いた。暢子は笑って「分かった」と頷き、外へ出た。
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