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meeting again
しおりを挟む僕は今、長野にいる。
これも、立川に聞いたことだが高校を卒業しこっちに引っ越したらしい。
「のどかな村だなぁ…」
なんて、呑気なことを言ってしまったが事態は割と深刻だった。
なぜなら……
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
私が会いたくて会いたくて堪らなかった人…
それは…
『葵君………………!』
「ひさし…ぶ…り。」
臆病な様子は昔とまるで変わらない。
「う…ん。」
嬉しくて嬉しくて仕方のないはずなのにこんな愛想のない返事しかできない自分を恨む。
「あの…いきなりきてごめん…。同窓会の時立川に柚月の秘密を聞いてしまったんだ。」
「……えっ?!彩絵喋っちゃったの…。」
一瞬涙がこぼれ落ちそうになった。
「ごっごめん…。立川は悪くないんだ!!僕が柚月に会いたい雰囲気を出したから…!えっと…その…本当ごめん…」
人を守ろうとする優しさも相変わらずだなぁなんて思う。
「変わらないね…」
「え…?」
「葵君の臆病な感じも葵君の優しさも全部昔と変わらないね。」
柚月は微笑した。
「そ…そうかな…?」
「ゆ…柚月だって、昔と変わってないように感じるけどな…」
照れる葵君も相変わらず可愛いな。と心の中で思った。
「私…!ずっと、葵君に会いたかった…!葵君も私に会いたくて来てくれたんだよね…?」
「うん…。あの時、柚月と別れた時からずっと柚月のことばっか考えてた…。自暴自棄になって髪を切ったりしてみたけど忘れられなくて高校を卒業したら忘れると思ってたけどずっと…ずっと…忘れることができなくてずっと会いたかったよ。」
僕は勢いに任せて本音を全部言うことができた。
「ねぇ。柚月。僕に会いたいって思ってくれるのは嬉しい!だけど…!なんでじゃあ、あの時急に僕のこと見捨てたの…?」
もう、涙が止まらない。
そして、少しの沈黙。
「………だって。だって。葵君に今の状態を知られたくなかった…!だから…だから、別れたのに…。なんで、会いに来たの…?」
お互いに涙が止まらない。
「僕がそんなことで柚月を手放すとでも思ったの?ねぇ。僕のことそんなに頼りなかった?ごめんね。ちゃんと柚月のこと守ってあげられなくて。でも、柚月のこと大好きだったよ。」
駆け抜けていく葵君に追いつくこともできず私は廊下にくたばった。
「葵君…待って…待ってよ…!」
「葵君…。私、あの時どうすれば良かったの…?」
その後暫く涙を抑えることができなかった。
「ずっと、葵君の事が大好きなのに…」
私もずっと葵君のことで頭がいっぱいだったよ。
また、涙が床に落ちていく。
次回へ続く
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