【R18】気弱魔法使いはこのたび激重勇者に捕獲されました~最強の勇者さんは僕を愛してやみません~

すめらぎかなめ

文字の大きさ
17 / 73
第1部 第3章 優しい人、不思議な気持ち

 あの後、僕とキリアンはエカードさんと合流をして、一旦体制を立て直すこととなった。

「もう少し行った先に観光街がある。本来ならば飛ばす予定だったが、寄って行こう」

 エカードさんの提案にうなずいて、僕たちはクリムシュという街に立ち寄ることに。

 クリムシュの付近には観光地がたくさんあって、それゆえに様々なお店があるそうだ。

「……まさか、王都を出てすぐに襲われるとはな」

 宿泊施設に隣接しているカフェにて。僕たちは少しの打ち合わせをすることにした。

 すでに宿屋の部屋は押さえていて、今日はここで一泊していく予定だ。

「そもそもあんな強い魔物が近隣にいると、騒ぎになっている……だろうが」

 つぶやいたエカードさんが、窓の外を見る。にぎやかな街。誰かが魔物に襲われた――といううわさ一つなさそうだ。

「ただの偶然、だろうか。その割にはタイミングが出来すぎている」

 額を押さえ、エカードさんがぶつぶつと言葉を漏らし続ける。

「あの、あんまり不確定なことは言いたくないんですけど」

 手を挙げて僕が口を開くと、エカードさんの視線が僕に向いた。ちなみに、キリアンは元から僕を凝視している。エカードさんが話している最中もずっとなので、いたたまれない。

「あの魔物たちには、強化魔法の類がかかっていたんだと思うんです」
「強化魔法?」
「はい。状態解除の魔法をかけたら、弱体化したので……」

 それに、あそこまでの異常な強さは自然発生するようなものではない。

(夜とかなら、ありえない話じゃない。でも、昼間からはおかしい)

 もしかしたら、何者かが強化魔法を魔物にかけているのかもしれない。

 ただ、その場合理由がわからないのだ。魔物を強化しても、いいことなんて一つもないだろうから。

「誰かが強化魔法をかけたということか?」
「……もしくは、この付近に魔物が強化されるようななにかが発生した、とか?」

 温かいミルクの入ったカップを両手で持って、僕はつぶやく。

 人の多い街自体には魔物が嫌う結界が張ってある。だから、街は割と安全。

 問題なのは街と街をつなぐための道。荷馬車が魔物に襲われる事案だってあるわけだし。

「一応連絡をいれて、警戒してもらったほうがいいかもしれないな」

 僕はエカードさんの言葉にうなずく。彼は立ち上がって、窓のほうに近づいた。懐から紙を取り出し、息を吹きかける。

 あれは伝達魔法の一種。手紙とかよりもずっと早く届くから、便利なもの。ただし、魔力のある者しか扱えないのが玉に瑕だ。

「それにしても、キリアン。傷は大丈夫?」

 僕はキリアンを見て、問いかけてみる。

 キリアンの左肩は一応は治療してあるとはいえ、完全じゃないかもしれない。

 血がべっとりとついた上着とシャツは、宿屋の人に洗濯をお願いしたからいいんだけど……。

「もし心配だったら、お医者さんに行く?」

 治癒魔法は怪我には効果的だけど、病には効果がない。それゆえにお医者さんも必要なのだ。

 それに、万が一傷口のせいで感染症にでもかかったら、僕じゃあ手の打ちようがないし。

「いや、その必要はない。きれいに治っているようだからな」

 今のキリアンは近場で購入した薄手のシャツをまとっている。

 彼の鍛えられた身体のラインが惜しみなく出ているせいか、さっきから女性の視線が彼に集中している。

 やっぱり、精悍なイケメンってかなり人気があるんだなぁって実感。

「そっか。でも、なんかおかしいなって思ったら教えてね。僕、お医者さんまで付き添うから」

 ミルクを一口飲んで言うと、キリアンがぽかんとしたのがわかった。

 ――あれ、僕、なにか変なことを言ったっけ?

「俺は成人した男なんだが」
「あっ、ご、ごめん、なさい! 別に子供扱いしたわけじゃないから!」

 ついついいつもの癖でって……。

(師匠がお医者さんにかかるのをすっごく嫌がるから!)

 だからついつい、僕にはお医者さんには同行するものという考えがあった。

 全部、全部師匠のせいだ! もうちょっと大人になってほしい!
感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】召喚された勇者は贄として、魔王に美味しく頂かれました

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
BL
美しき異形の魔王×勇者の名目で召喚された生贄、執着激しいヤンデレの愛の行方は? 最初から贄として召喚するなんて、ひどいんじゃないか? 人生に何の不満もなく生きてきた俺は、突然異世界に召喚された。 よくある話なのか? 正直帰りたい。勇者として呼ばれたのに、碌な装備もないまま魔王を鎮める贄として差し出され、美味しく頂かれてしまった。美しい異形の魔王はなぜか俺に執着し、閉じ込めて溺愛し始める。ひたすら優しい魔王に、徐々に俺も絆されていく。もういっか、帰れなくても……。 ハッピーエンド確定 ※は性的描写あり 【完結】2021/10/31 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、エブリスタ 2021/10/03  エブリスタ、BLカテゴリー 1位

イケメン後輩のスマホを拾ったらロック画が俺でした

天埜鳩愛
BL
☆本編番外編 完結済✨ 感想嬉しいです! 元バスケ部の俺が拾ったスマホのロック画は、ユニフォーム姿の“俺”。 持ち主は、顔面国宝の一年生。 なんで俺の写真? なんでロック画? 問い詰める間もなく「この人が最優先なんで」って宣言されて、女子の悲鳴の中、肩を掴まれて連行された。……俺、ただスマホ届けに来ただけなんだけど。 頼られたら嫌とは言えない南澤燈真は高校二年生。クールなイケメン後輩、北門唯が置き忘れたスマホを手に取ってみると、ロック画が何故か中学時代の燈真だった! 北門はモテ男ゆえに女子からしつこくされ、燈真が助けることに。その日から学年を越え急激に仲良くなる二人。燈真は誰にも言えなかった悩みを北門にだけ打ち明けて……。一途なメロ後輩 × 絆され男前先輩の、救いすくわれ・持ちつ持たれつラブ! ☆ノベマ!の青春BLコンテスト最終選考作品に加筆&新エピソードを加えたアルファポリス版です。

俺以外美形なバンドメンバー、なぜか全員俺のことが好き

toki
BL
美形揃いのバンドメンバーの中で唯一平凡な主人公・神崎。しかし突然メンバー全員から告白されてしまった! ※美形×平凡、総受けものです。激重美形バンドマン3人に平凡くんが愛されまくるお話。 pixiv/ムーンライトノベルズでも同タイトルで投稿しています。 もしよろしければ感想などいただけましたら大変励みになります✿ 感想(匿名)➡ https://odaibako.net/u/toki_doki_ Twitter➡ https://twitter.com/toki_doki109 素敵な表紙お借りしました! https://www.pixiv.net/artworks/100148872

人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます

七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。 歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。 世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。 気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。

【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件

白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。 最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。 いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。

穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜

春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、 癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!? トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。 彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!? 
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて―― 運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない! 恋愛感情もまだわからない! 
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。 個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!? 
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする 愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ! 月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新) 基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!

人気アイドルグループのリーダーは、気苦労が絶えない

タタミ
BL
大人気5人組アイドルグループ・JETのリーダーである矢代頼は、気苦労が絶えない。 対メンバー、対事務所、対仕事の全てにおいて潤滑剤役を果たす日々を送る最中、矢代は人気2トップの御厨と立花が『仲が良い』では片付けられない距離感になっていることが気にかかり──

【完結】異世界から来た鬼っ子を育てたら、ガッチリ男前に育って食べられた(性的に)

てんつぶ
BL
ある日、僕の住んでいるユノスの森に子供が一人で泣いていた。 言葉の通じないこのちいさな子と始まった共同生活。力の弱い僕を助けてくれる優しい子供はどんどん大きく育ち――― 大柄な鬼っ子(男前)×育ての親(平凡) 20201216 ランキング1位&応援ありがとうごございました!