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第3章
でも、だから 1【※】
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確かに、俺は亜玲の言葉を蹴り飛ばさなかった。それは、間違いない。
でも、かといって……。
「ぅ、あ、亜玲……」
後ろから抱き着いてきた亜玲が、俺の胸元をまさぐる。その手がどんどん厭らしい手つきになって、俺の心臓がバクバクと大きく音を鳴らした。……おかしい。こんなの、俺じゃない。
「祈、嫌じゃないでしょ?」
耳元でそう囁かれて、背筋がゾクゾクとする。
あの後、俺は帰ろうとした。けれど、亜玲はそんな俺を引き止めた。それどころか、「泊ってよ」と言ってきたのだ。
……正直、泊るつもりなんてさらさらなかった。なのに、亜玲に押された俺は、最後には頷いた。
コンビニに行って、夕食と酒を買ってきて。他愛もない話をしながら、時間を潰した。……この時間は、素直に幸せだった。だって、亜玲と昔に戻れたような気がしたから。
昔、よくこうやって一緒にいた。当時はジュースとお菓子だったけれどさ。
そして、まぁ。とりあえずシャワーをして、亜玲の服を着て。またしゃべって。
じゃあ、そろそろ寝ようか……ってなったとき。床で寝るっていう俺を無理やりベッドに引き込んで、抱き込んで。
そのうえ、こうやって触られているわけで……。
「ぁあっ、や、めっ……!」
この間は完全に無理矢理だった。だけど、今日はそうじゃない。最終的にとはいえ、俺の意思で亜玲の部屋に泊ることにした。
前回のことがあるのだから、こうなることはある程度予想出来ていたはずなのだ。
「なんていうか、祈から俺と一緒のにおいすると、興奮する……」
亜玲が俺の首元に顔をうずめて、思いきり息を吸う。……別に同じ匂いをつけているわけじゃない。
この服が亜玲の服で、同じシャンプーとか使ってるっていうだけだ。
「あ、れい……」
なんだろうか。その手つきは厭らしいのに、直接的な快感を生むところには触れてくれない。
身体の中で、熱がくすぶるみたいな感覚だった。
「なぁに、祈」
……わかっているくせに。
そう言おうとしたのに、亜玲の舌が俺の首筋を舐めるから。なにも、言えなくなって。
「っはぁ、彼シャツっていうの? 別に良さ分かんなかったけど、祈だと別……」
「……ぅ」
そんな、特別みたいに言われたら。……俺の心が、簡単に靡いていく。ちょろいって言われるのは、重々承知の上だ。
流されているっていうのも、わかってる。なのに、亜玲の気持ちが嬉しいって思う自分もいて。
「というか、嫌々言ってるのに乳首硬くなってるよ……」
亜玲の手が、服越しに乳首をつまんだ。……ぴりりとしたような甘い快感に、喉が鳴る。
「ねぇ、祈。……俺のこと、求めようよ」
じぃんとした甘くて、くらくらとする快感。頭が流されそうになって、正気に戻る。
亜玲が俺の服をまくり上げて、直接肌に触れてきた。その手のぬくもりが、なんだか俺の身体をおかしくさせる。
「……ほら、もっと気持ちよくなりたいでしょ?」
亜玲がそう囁いてくる。……でも、こんな、こんな……。
(こんな、中途半端な関係で身体をつなげるなんて……)
そんなの、おかしいじゃないか。そう思うのに、亜玲の指が乳首をつまんで、思考回路が吹き飛ぶ。
手が自然とシーツを掻いて、しわを作る。
「ね、ほら、俺のこと求めて……。こんな、可愛い祈、ほかの誰にも見せたくないから……」
甘い声音。堕とすように囁かれる。……おかしい、こんなの、本当に俺じゃないって、思う。
思うのに、亜玲が欲しいと心の何処かが強請る。
「大丈夫。今日は、ナカには出さないから……」
ぐっと亜玲が下肢を押し付けてきたのがわかった。……硬い。
ごくんと自然と喉が鳴る。
「……ゴム、付けろよ」
端的にそう告げれば、亜玲は「わかってる」と言っていた。……そういって、前回ナカに出したのはどこの誰だって、問い詰めてやりたかった。……まぁ、言えなかったけれど。
でも、かといって……。
「ぅ、あ、亜玲……」
後ろから抱き着いてきた亜玲が、俺の胸元をまさぐる。その手がどんどん厭らしい手つきになって、俺の心臓がバクバクと大きく音を鳴らした。……おかしい。こんなの、俺じゃない。
「祈、嫌じゃないでしょ?」
耳元でそう囁かれて、背筋がゾクゾクとする。
あの後、俺は帰ろうとした。けれど、亜玲はそんな俺を引き止めた。それどころか、「泊ってよ」と言ってきたのだ。
……正直、泊るつもりなんてさらさらなかった。なのに、亜玲に押された俺は、最後には頷いた。
コンビニに行って、夕食と酒を買ってきて。他愛もない話をしながら、時間を潰した。……この時間は、素直に幸せだった。だって、亜玲と昔に戻れたような気がしたから。
昔、よくこうやって一緒にいた。当時はジュースとお菓子だったけれどさ。
そして、まぁ。とりあえずシャワーをして、亜玲の服を着て。またしゃべって。
じゃあ、そろそろ寝ようか……ってなったとき。床で寝るっていう俺を無理やりベッドに引き込んで、抱き込んで。
そのうえ、こうやって触られているわけで……。
「ぁあっ、や、めっ……!」
この間は完全に無理矢理だった。だけど、今日はそうじゃない。最終的にとはいえ、俺の意思で亜玲の部屋に泊ることにした。
前回のことがあるのだから、こうなることはある程度予想出来ていたはずなのだ。
「なんていうか、祈から俺と一緒のにおいすると、興奮する……」
亜玲が俺の首元に顔をうずめて、思いきり息を吸う。……別に同じ匂いをつけているわけじゃない。
この服が亜玲の服で、同じシャンプーとか使ってるっていうだけだ。
「あ、れい……」
なんだろうか。その手つきは厭らしいのに、直接的な快感を生むところには触れてくれない。
身体の中で、熱がくすぶるみたいな感覚だった。
「なぁに、祈」
……わかっているくせに。
そう言おうとしたのに、亜玲の舌が俺の首筋を舐めるから。なにも、言えなくなって。
「っはぁ、彼シャツっていうの? 別に良さ分かんなかったけど、祈だと別……」
「……ぅ」
そんな、特別みたいに言われたら。……俺の心が、簡単に靡いていく。ちょろいって言われるのは、重々承知の上だ。
流されているっていうのも、わかってる。なのに、亜玲の気持ちが嬉しいって思う自分もいて。
「というか、嫌々言ってるのに乳首硬くなってるよ……」
亜玲の手が、服越しに乳首をつまんだ。……ぴりりとしたような甘い快感に、喉が鳴る。
「ねぇ、祈。……俺のこと、求めようよ」
じぃんとした甘くて、くらくらとする快感。頭が流されそうになって、正気に戻る。
亜玲が俺の服をまくり上げて、直接肌に触れてきた。その手のぬくもりが、なんだか俺の身体をおかしくさせる。
「……ほら、もっと気持ちよくなりたいでしょ?」
亜玲がそう囁いてくる。……でも、こんな、こんな……。
(こんな、中途半端な関係で身体をつなげるなんて……)
そんなの、おかしいじゃないか。そう思うのに、亜玲の指が乳首をつまんで、思考回路が吹き飛ぶ。
手が自然とシーツを掻いて、しわを作る。
「ね、ほら、俺のこと求めて……。こんな、可愛い祈、ほかの誰にも見せたくないから……」
甘い声音。堕とすように囁かれる。……おかしい、こんなの、本当に俺じゃないって、思う。
思うのに、亜玲が欲しいと心の何処かが強請る。
「大丈夫。今日は、ナカには出さないから……」
ぐっと亜玲が下肢を押し付けてきたのがわかった。……硬い。
ごくんと自然と喉が鳴る。
「……ゴム、付けろよ」
端的にそう告げれば、亜玲は「わかってる」と言っていた。……そういって、前回ナカに出したのはどこの誰だって、問い詰めてやりたかった。……まぁ、言えなかったけれど。
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