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第2章 聖女と護衛騎士、そして進展する関係
夜這い 3
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(んっ、口づけ、されてる……)
唇から感じる温かな感触に、セレーナの心がドキドキとする。
何度も何度も重なる唇。そこに意識が集中すると、なんともいえない感覚が身体中を這いまわっていく。
「口づけは、初めてで?」
ゆっくりとアッシュがセレーナから顔を遠ざけ、そう問いかけてくる。
だからこそ、セレーナはこくんと首を縦に振った。
「そうですか。ということは、俺が初めての相手、ですか。……光栄です」
彼はセレーナに対してそれだけを告げると、今度はセレーナの唇を割り開いて、口腔内に自身の指をねじ込んでくる。
驚いて彼の指を噛むが、彼の目はまるで愛おしいものを見るような目をしていた。
セレーナの心は、戸惑う。
(……どう、して)
今、自分はアッシュに酷いことをしているはずなのに。
どうして、彼はそんなにも嬉しそうな表情をするのだろうか。
「んっ」
しかし、セレーナの意識は一瞬で引き戻される。
口腔内でアッシュの指が、縦横無尽に動き回る。
それはまるで、口腔内を蹂躙しているかのようで。合わせ、舌を掴まれたら、身体がびくんと跳ねる。
「そのまま、口を開けておいてくださいね」
アッシュが、セレーナの口から指を引き抜いて、そう言った。
セレーナは、言われた通りに口を開けたまま。
すると、もう一度唇が重なる。
「んっ!?」
しかも、今度はアッシュの舌がセレーナの口腔内にねじ込まれた。
(……ま、って)
心が焦りだして、アッシュの胸を叩こうとする。が、身体に上手く力が入ってくれない。
アッシュの舌は、セレーナの頬の内側を優しく刺激し、歯列をなぞる。かと思えば、今度はその舌の付け根を弄ってくるものだから。
腰が、砕けてしまいそうなほどに気持ちがいい。
セレーナの意識が、ぼうっとし始めてしまう。
さらには、アッシュはセレーナの舌と自らの舌を絡めていく。徐々に口元からくちゅくちゅという水音が聞こえ始め、セレーナの身体の奥からなにかが溢れそうになる。
……これが、官能というものなのかもしれない。
「んっ、ぁ、あっ」
アッシュの手が、セレーナの身体をなぞる。腰をなぞられたとき、セレーナの喉からは自然と声が零れた。
(いや……なのに)
そう思うのに、気持ちよくてたまらない。アッシュとの口づけは、甘美であり、セレーナの頭を酔わせてくる。
彼の衣服をぎゅっとつかんで口づけを続けていれば、不意に彼の顔がセレーナから離れていく。……彼の目には、惚けたようなセレーナ自身の顔が、映っている。
「こんなにも気持ちよさそうなお顔をされて……。このままでは、この後もちそうにありませんね」
悪魔のささやきのようにも聞こえるような言葉。けれど、セレーナの身体はアッシュのその言葉を聞いて疼き始める。
身体の奥が熱くて、なにかを求めるような疼きをもたらす。自然とアッシュの衣服を掴む手に力を込めれば、彼はくすっと声を上げて笑った。
「あぁ、俺に縋って……。可愛らしいですね」
アッシュの手がセレーナの腰を抱き、自身のほうに引き寄せる。彼と密着した身体が熱くて、セレーナは自然と俯いてしまいそうになる。だが、アッシュに顎を掴まれ無理やりに彼と視線を絡ませられた。
「俺は、あなたにひどいことをしたいわけじゃないんですよ」
そんなの嘘だ。
先ほどの口づけだって、十分ひどいことだ。だって、セレーナの心を弄んでいるに等しいのだから。
そう言って、彼のことを突き飛ばすことが出来ればよかったのに。なのに、セレーナの口から拒絶が漏れることはない。
「だから、あなたがもう嫌だって言うのならば、俺はこれよりも先のことは今日のところは致しません。……どうしますか?」
本当に、アッシュは意地悪でまるで悪魔のようだ。
そのためか、セレーナの喉が鳴る。……ここでやめられてしまえば、中途半端に昂った身体はどうなるのだろうか?
(……続きが、欲しい)
アッシュの目には、惚けたような顔のセレーナが映り続けている。ごくりと喉を鳴らす姿も、よく見える。
(……欲しい。アッシュさんに、愛してほしい……)
元々、彼はセレーナに夜這いを仕掛けに来たのだ。だったら、このまま彼に愛してもらっても――悪いことでは、ないだろう。
心の中の悪魔が囁く。その所為で、セレーナはもう一度息を飲む。……彼の衣服をぎゅっとつかんで、自身の身体をさらに密着させる。
それが、答えだった。
「……いいんですね」
頭の上から、そんな声が降ってくる。その言葉に反応するように頷けば、セレーナの視界が一気に動いた。
気が付けば、セレーナの身体はアッシュによって寝台に押し倒されていた。
「……いい子ですね。そういう素直なところ、とても可愛らしいと思いますよ」
頬を撫でられて、そんな言葉をささやかれた。
もしかしたらだが、彼はセレーナのハジメテをいいものにしたいと思っているのかもしれない。
そのために、彼はセレーナを可愛らしいと褒める。愛しているようなふりを、するのかもしれない。
(そんなの、虚しいだけなのに……)
そう思うのに、それを理解しているはずなのに。
――どうしようもなく、喜んでしまう浅ましい自分自身がいる。
彼の言葉を嘘だと思いたくなくて、セレーナはアッシュの衣服に縋る手に力を込めた。
唇から感じる温かな感触に、セレーナの心がドキドキとする。
何度も何度も重なる唇。そこに意識が集中すると、なんともいえない感覚が身体中を這いまわっていく。
「口づけは、初めてで?」
ゆっくりとアッシュがセレーナから顔を遠ざけ、そう問いかけてくる。
だからこそ、セレーナはこくんと首を縦に振った。
「そうですか。ということは、俺が初めての相手、ですか。……光栄です」
彼はセレーナに対してそれだけを告げると、今度はセレーナの唇を割り開いて、口腔内に自身の指をねじ込んでくる。
驚いて彼の指を噛むが、彼の目はまるで愛おしいものを見るような目をしていた。
セレーナの心は、戸惑う。
(……どう、して)
今、自分はアッシュに酷いことをしているはずなのに。
どうして、彼はそんなにも嬉しそうな表情をするのだろうか。
「んっ」
しかし、セレーナの意識は一瞬で引き戻される。
口腔内でアッシュの指が、縦横無尽に動き回る。
それはまるで、口腔内を蹂躙しているかのようで。合わせ、舌を掴まれたら、身体がびくんと跳ねる。
「そのまま、口を開けておいてくださいね」
アッシュが、セレーナの口から指を引き抜いて、そう言った。
セレーナは、言われた通りに口を開けたまま。
すると、もう一度唇が重なる。
「んっ!?」
しかも、今度はアッシュの舌がセレーナの口腔内にねじ込まれた。
(……ま、って)
心が焦りだして、アッシュの胸を叩こうとする。が、身体に上手く力が入ってくれない。
アッシュの舌は、セレーナの頬の内側を優しく刺激し、歯列をなぞる。かと思えば、今度はその舌の付け根を弄ってくるものだから。
腰が、砕けてしまいそうなほどに気持ちがいい。
セレーナの意識が、ぼうっとし始めてしまう。
さらには、アッシュはセレーナの舌と自らの舌を絡めていく。徐々に口元からくちゅくちゅという水音が聞こえ始め、セレーナの身体の奥からなにかが溢れそうになる。
……これが、官能というものなのかもしれない。
「んっ、ぁ、あっ」
アッシュの手が、セレーナの身体をなぞる。腰をなぞられたとき、セレーナの喉からは自然と声が零れた。
(いや……なのに)
そう思うのに、気持ちよくてたまらない。アッシュとの口づけは、甘美であり、セレーナの頭を酔わせてくる。
彼の衣服をぎゅっとつかんで口づけを続けていれば、不意に彼の顔がセレーナから離れていく。……彼の目には、惚けたようなセレーナ自身の顔が、映っている。
「こんなにも気持ちよさそうなお顔をされて……。このままでは、この後もちそうにありませんね」
悪魔のささやきのようにも聞こえるような言葉。けれど、セレーナの身体はアッシュのその言葉を聞いて疼き始める。
身体の奥が熱くて、なにかを求めるような疼きをもたらす。自然とアッシュの衣服を掴む手に力を込めれば、彼はくすっと声を上げて笑った。
「あぁ、俺に縋って……。可愛らしいですね」
アッシュの手がセレーナの腰を抱き、自身のほうに引き寄せる。彼と密着した身体が熱くて、セレーナは自然と俯いてしまいそうになる。だが、アッシュに顎を掴まれ無理やりに彼と視線を絡ませられた。
「俺は、あなたにひどいことをしたいわけじゃないんですよ」
そんなの嘘だ。
先ほどの口づけだって、十分ひどいことだ。だって、セレーナの心を弄んでいるに等しいのだから。
そう言って、彼のことを突き飛ばすことが出来ればよかったのに。なのに、セレーナの口から拒絶が漏れることはない。
「だから、あなたがもう嫌だって言うのならば、俺はこれよりも先のことは今日のところは致しません。……どうしますか?」
本当に、アッシュは意地悪でまるで悪魔のようだ。
そのためか、セレーナの喉が鳴る。……ここでやめられてしまえば、中途半端に昂った身体はどうなるのだろうか?
(……続きが、欲しい)
アッシュの目には、惚けたような顔のセレーナが映り続けている。ごくりと喉を鳴らす姿も、よく見える。
(……欲しい。アッシュさんに、愛してほしい……)
元々、彼はセレーナに夜這いを仕掛けに来たのだ。だったら、このまま彼に愛してもらっても――悪いことでは、ないだろう。
心の中の悪魔が囁く。その所為で、セレーナはもう一度息を飲む。……彼の衣服をぎゅっとつかんで、自身の身体をさらに密着させる。
それが、答えだった。
「……いいんですね」
頭の上から、そんな声が降ってくる。その言葉に反応するように頷けば、セレーナの視界が一気に動いた。
気が付けば、セレーナの身体はアッシュによって寝台に押し倒されていた。
「……いい子ですね。そういう素直なところ、とても可愛らしいと思いますよ」
頬を撫でられて、そんな言葉をささやかれた。
もしかしたらだが、彼はセレーナのハジメテをいいものにしたいと思っているのかもしれない。
そのために、彼はセレーナを可愛らしいと褒める。愛しているようなふりを、するのかもしれない。
(そんなの、虚しいだけなのに……)
そう思うのに、それを理解しているはずなのに。
――どうしようもなく、喜んでしまう浅ましい自分自身がいる。
彼の言葉を嘘だと思いたくなくて、セレーナはアッシュの衣服に縋る手に力を込めた。
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