【R18】女騎士から聖女にジョブチェンジしたら、悪魔な上司が溺愛してくるのですが?

すめらぎかなめ

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第2章 聖女と護衛騎士、そして進展する関係

夜這い 2

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 しかし、そんなセレーナの気持ちも知らないのだろう。

 アリーヌは「じゃあ、失礼するわ」と言って素早く部屋を出て行こうとする。

 そんな彼女を咄嗟に引き留めようとしたが、なにも言葉が出てこなかった。

 その所為で、アリーヌはあっさりと部屋を出て行ってしまった。残されたのは、セレーナたった一人。

(う、うぅ、どうすれば、どうすればいいのよ……!)

 そう思って、ただひたすら混乱する。

 この場合、相手がアッシュだったことを喜べばいいのか。はたまた、悲しめばいいのか。

 それさえも、はっきりとはしない。

 好きな人にハジメテを捧げられると言えば、聞こえはいい。が、所詮は性欲処理なのだ。……気持ちは通じ合っていない。

(アッシュさんだって、私のことを女性とは見ていないわ。……そんな私とするえ、えっちが、楽しいはずがない……)

 心の中でそう思うと、凹んでしまいそうだった。

 けれど、それをぐっとこらえてセレーナは寝台に腰掛ける。到底、横になる気にはなれなかった。

(無理よ、やっぱり無理よ!)

 どう考えても、アッシュと関係を持つなんて、今のセレーナには無理に決まっている。

 よし、今日のところは帰ってもらおう。それから躱す方法は、後々考えればいい。

(とりあえず、寝ちゃったふりをすれば、アッシュさんだって無理強いはされない……はず)

 かといって、相手はあの『悪魔の隊長』とまで呼ばれた男なのだ。寝たふりが通じる相手とは思えない。

 でも、物は試し。やってやろうじゃないか――と思ったところで、部屋の扉がノックもなしに開く。

 驚いてセレーナがそちらに視線を向ければ、そこにはラフな格好をしたアッシュがいた。

(ら、ラフな格好、レア……!)

 そんな風に思って彼を凝視していれば、彼は口角を上げる。そのにやりとした笑みが、セレーナにはひどく魅力的に映った。

「今から、眠るところでしたか?」

 何処となく色っぽい声で、そう問いかけられる。

 ……多分、彼は今からセレーナが寝たふりをしようとしていたことも、予想していたのだ。

 ここは、誤魔化すしかない。

「い、いえ、そういうわけでは……。ただ、疲れてしまったので、横になろうかと……」

 視線を逸らしながらそう言い訳をすると、彼は露骨に肩をすくめた。かと思えば、彼は大股でセレーナのほうに近づいてくる。

 普通ならば就寝前の女性の部屋に男性が来ることなど、御法度である。しかし、これはいわば許されている行為。神殿が認めた行為なのだ。だからこそ、咎められることはない。

「ちょうどよかったですよ」

 なにがちょうどよかったのだろうか。

 心の中でそう思いセレーナが固まっていると、その手首をアッシュに掴まれる。

 いつの間にか寝台のすぐそばまで来ていたアッシュは、そのきれいな目を細めた。

「……護衛騎士のもう一つの役割、聞きましたよね?」

 彼が、そう問いかけてくる。

「護衛騎士の一人は、聖女と関係を持たねばなりません。……その役目は、俺です」
「……は、はい」

 横になろうとしていたセレーナの身体を、アッシュが力強く引き起こす。

 突然のことに驚いて抵抗できないでいれば、彼は寝台に腰掛け、セレーナに自身の隣に腰掛けるようにと言ってくる。

 ……これでは、どちらが上なのかわからない。

(いいえ、アッシュさんにとって、私はいつまでも部下なのよ)

 そのため、彼はセレーナに命じているのだ。

 セレーナだって、それを拒めないのは彼に気持ちがあるから。それを、理解している。

 恐る恐る彼の隣に腰掛ければ、アッシュが一気に距離を縮めてくる。先ほどまで微妙にあった二人の距離は、一気にゼロになる。

「……アッシュ、さん」

 彼の顔を見上げ、彼の名前を呼ぶ。そうすれば、彼は舌なめずりをした。

 その表情は、色っぽいことこの上ない。自然と、見惚れてしまいそうなほどに。

「そんな顔をされたら、もう、我慢できそうにないですよ」

 セレーナの顔をまっすぐに見つめて、彼がそう言う。セレーナは自身が今、どんな表情をしているかなんて知らない。

 だから、彼の言葉の意味がわからない。ただ、とんでもないことを言われていることだけは、理解してしまった。

 アッシュのたくましい腕が、セレーナの腰に回される。その際にびくんと身体を跳ねさせてしまえば、耳元に彼の唇が近づいてくる。自然と、どくんと心臓が跳ねる。

「そんな怖がらないでください」
「……そ、んなの」
「俺は、セレーナさまをひどくしたいわけじゃないですから」

 ……そんなの、嘘だ。

「う、そ」
「嘘じゃない。……あなたを慈しんで、可愛がってあげたいだけです」

 低めの声で囁かれると、セレーナの中の官能が引き出されていくかのようだった。

 さらに、彼の手がセレーナの腰を厭らしく撫でる。徐々に呼吸が浅くなれば、彼の腰を抱く手はセレーナの身体を伝い――その頬に触れる。そのまま、唇を優しく指で撫でられた。

「……アッシュ、さん?」

 震える声で、彼の名前を呼ぶ。すると、彼はセレーナの唇をもう一度指でなぞる。その手つきの厭らしさに、もう一度身体が震えた。

「口づけする許可を、いただけますでしょうか?」

 そんな風に囁かれて、縋るような声で言われたら。断るなんて選択肢は、消えてしまう。

 頭の中でそう思い、セレーナはぐっと息を呑んで、首を縦に振った。そして、目を瞑れば――唇が重なる。
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