24 / 42
一方的にライバル視している男と×××しないと出られない部屋に閉じ込められてしまった私の顛末
1.
しおりを挟む
魔法と魔術が発展したル・ベル王国。
この王国には時折不思議な現象が起こる……らしい。
それこそ『出られない部屋』というものだ。何らかの魔術が勝手に働き、指定されたことを行わないと名前の通り永遠に出られない部屋である。
そして、この日――ラクルテル男爵家の令嬢であり、女騎士であるテレーズはその部屋に閉じ込められた。
しかも――最悪なことに、テレーズが一方的にライバル視している男性と一緒に。
◇
身体を揺らされ、ゆっくりと目を開ける。すると、見知らぬ天井が視界に映り――テレーズは勢いよく身を起こす。その瞬間、誰かの頭と自身の頭がぶつかり、鈍い痛みを感じた。
「いったぁ……」
小さくそう呟き、その『誰か』の方に視線を向ける。すると、そこには――美しい漆黒色の短い髪を持つ一人の青年がいた。彼はテレーズとぶつけた自身の頭を軽く撫でながら、「あ、起きました?」とテレーズに声をかけてきた。だからこそ、テレーズの頬が引きつってしまう。
「こ、ここ、どこ……?」
しかし、今気にするべきは目の前の男よりも自分が置かれた状況である。
見知らぬ部屋に、男性と二人きり。自分の身体は床に寝かされていたらしく、身体の節々が軽く痛む。
そっと男性に視線を向ければ、彼はその青色の目の奥に困ったような色を映す。……どうやら、彼もよく分からないらしい。
「さぁ、俺にもさっぱり。俺も起きたら、ここでして……」
彼は眉を下げながらそう言う。
その言葉を聞いて、テレーズは「……そんなの」と呟いて口を閉ざした。この王国ではこういう不可解な現象が度々起こる。それは魔力が勝手に暴走した結果のこともあるし、適当な誰かが魔術を使ったという可能性もある。……まぁ、一言で言えば可能性は無限大なのだ。
「……ラウル、さま」
テレーズは少し低めの声で男性の名前を呼んだ。そうすれば、彼は「はい」と返事をくれる。
ラウル・アルナルディ。彼は王立騎士団の次期団長と名高い男性である。その美しくも精悍な顔立ちと、丁寧な態度から女性人気が大層高く、いつも女性に囲まれている。ちなみに、伯爵家の令息なので生まれにも欠点がない。
そんな彼のことがテレーズは少し……いや、かなり苦手だった。それに合わせ、テレーズは実のところ彼のことを一方的にライバル視していたのだ。
(そんな彼とこんなところにいるなんて……ありえないわ)
そう思いつつ辺りを見渡すものの、部屋に入り口はない。出口もない。窓さえもない。あるのは巨大な寝台と……いくつかの生活が出来そうな道具。……何だここは。
「あの、テレーズ嬢」
「……はい」
テレーズが辺りを見渡していると、不意にラウルが声をかけてきた。なのでテレーズが返事をすれば、彼は「……多分ここ、かの有名な出られない部屋かと」と言ってくる。……出られない部屋。
(出られない部屋って……あの!?)
表情が引きつっているのがわかる。それに、そもそも出られない部屋になんて閉じ込められたことはない。何度か話には聞いているものの、まさか自分が閉じ込められるとは思いもしなかった。
「え? っていうことは……まさか、何かしないと出られないのですか……?」
上ずったような声でそう言えば、ラウルはこくんと首を縦に振る。
それに軽く絶望しながらも、テレーズは一体何が条件なのかと考える。軽い触れ合いとか、なのだろうか?
(口づけくらいまでならば、許容……出来るわけがないでしょ!?)
内心で一人ボケと突っ込みを繰り返しつつ、テレーズはぶんぶんと首を横に振る。こういう部屋では恋愛的なことがお約束だ。少なくとも、テレーズはそう思っている。
かといって、この男性との口づけなんて絶対に嫌だった。何故好き好んで苦手な男性と口づけ、しかもファーストキスをしないといけないのか。そう思いつつ押し黙るテレーズを他所に、ラウルは「……まぁ、俺は何が条件なのか知っているんですけれど……」と言いながら頬を掻く。
「……教えてほしいですか?」
真剣な面持ちでテレーズの目を見つめて、ラウルがそう問いかけてくる。……教えてほしい。むしろ、教えてもらわないと困るのだが。
そう思いテレーズがこくんと首を縦に振れば、彼は「……聞かない方が、幸せかもしれませんよ?」と言ってくる。
「で、ですがっ! 私はさっさとここから出ないと――……!」
テレーズの家は男爵家ではあるものの、かなりの貧乏なのだ。しかも、二人の弟妹がいる。テレーズが女騎士として国に従事しているのも、生活費を稼ぐため。早いところ帰らないと、両親や弟妹たちが心配してしまう。
「そうですか。じゃあ、さっさとことを済ませましょうか」
テレーズの言葉を聞いたラウルは、テレーズの膝裏に手を入れる。
一体、何をするのだろうか?
そう思いきょとんとするテレーズをラウルは軽々と抱きかかえる。
「きゃぁあっ!」
「暴れないで」
驚いて暴れてしまいそうになるテレーズを言葉だけで押し黙らせ、ラウルはテレーズを巨大な寝台の方に連れていく。
そして、そのまま優しく寝台の上に降ろす。
「……一応、言っておきましょうか。この部屋から出る条件。それは――」
――まぁ、世にいう男女の夜の営みをすること、らしいんですよね。
この王国には時折不思議な現象が起こる……らしい。
それこそ『出られない部屋』というものだ。何らかの魔術が勝手に働き、指定されたことを行わないと名前の通り永遠に出られない部屋である。
そして、この日――ラクルテル男爵家の令嬢であり、女騎士であるテレーズはその部屋に閉じ込められた。
しかも――最悪なことに、テレーズが一方的にライバル視している男性と一緒に。
◇
身体を揺らされ、ゆっくりと目を開ける。すると、見知らぬ天井が視界に映り――テレーズは勢いよく身を起こす。その瞬間、誰かの頭と自身の頭がぶつかり、鈍い痛みを感じた。
「いったぁ……」
小さくそう呟き、その『誰か』の方に視線を向ける。すると、そこには――美しい漆黒色の短い髪を持つ一人の青年がいた。彼はテレーズとぶつけた自身の頭を軽く撫でながら、「あ、起きました?」とテレーズに声をかけてきた。だからこそ、テレーズの頬が引きつってしまう。
「こ、ここ、どこ……?」
しかし、今気にするべきは目の前の男よりも自分が置かれた状況である。
見知らぬ部屋に、男性と二人きり。自分の身体は床に寝かされていたらしく、身体の節々が軽く痛む。
そっと男性に視線を向ければ、彼はその青色の目の奥に困ったような色を映す。……どうやら、彼もよく分からないらしい。
「さぁ、俺にもさっぱり。俺も起きたら、ここでして……」
彼は眉を下げながらそう言う。
その言葉を聞いて、テレーズは「……そんなの」と呟いて口を閉ざした。この王国ではこういう不可解な現象が度々起こる。それは魔力が勝手に暴走した結果のこともあるし、適当な誰かが魔術を使ったという可能性もある。……まぁ、一言で言えば可能性は無限大なのだ。
「……ラウル、さま」
テレーズは少し低めの声で男性の名前を呼んだ。そうすれば、彼は「はい」と返事をくれる。
ラウル・アルナルディ。彼は王立騎士団の次期団長と名高い男性である。その美しくも精悍な顔立ちと、丁寧な態度から女性人気が大層高く、いつも女性に囲まれている。ちなみに、伯爵家の令息なので生まれにも欠点がない。
そんな彼のことがテレーズは少し……いや、かなり苦手だった。それに合わせ、テレーズは実のところ彼のことを一方的にライバル視していたのだ。
(そんな彼とこんなところにいるなんて……ありえないわ)
そう思いつつ辺りを見渡すものの、部屋に入り口はない。出口もない。窓さえもない。あるのは巨大な寝台と……いくつかの生活が出来そうな道具。……何だここは。
「あの、テレーズ嬢」
「……はい」
テレーズが辺りを見渡していると、不意にラウルが声をかけてきた。なのでテレーズが返事をすれば、彼は「……多分ここ、かの有名な出られない部屋かと」と言ってくる。……出られない部屋。
(出られない部屋って……あの!?)
表情が引きつっているのがわかる。それに、そもそも出られない部屋になんて閉じ込められたことはない。何度か話には聞いているものの、まさか自分が閉じ込められるとは思いもしなかった。
「え? っていうことは……まさか、何かしないと出られないのですか……?」
上ずったような声でそう言えば、ラウルはこくんと首を縦に振る。
それに軽く絶望しながらも、テレーズは一体何が条件なのかと考える。軽い触れ合いとか、なのだろうか?
(口づけくらいまでならば、許容……出来るわけがないでしょ!?)
内心で一人ボケと突っ込みを繰り返しつつ、テレーズはぶんぶんと首を横に振る。こういう部屋では恋愛的なことがお約束だ。少なくとも、テレーズはそう思っている。
かといって、この男性との口づけなんて絶対に嫌だった。何故好き好んで苦手な男性と口づけ、しかもファーストキスをしないといけないのか。そう思いつつ押し黙るテレーズを他所に、ラウルは「……まぁ、俺は何が条件なのか知っているんですけれど……」と言いながら頬を掻く。
「……教えてほしいですか?」
真剣な面持ちでテレーズの目を見つめて、ラウルがそう問いかけてくる。……教えてほしい。むしろ、教えてもらわないと困るのだが。
そう思いテレーズがこくんと首を縦に振れば、彼は「……聞かない方が、幸せかもしれませんよ?」と言ってくる。
「で、ですがっ! 私はさっさとここから出ないと――……!」
テレーズの家は男爵家ではあるものの、かなりの貧乏なのだ。しかも、二人の弟妹がいる。テレーズが女騎士として国に従事しているのも、生活費を稼ぐため。早いところ帰らないと、両親や弟妹たちが心配してしまう。
「そうですか。じゃあ、さっさとことを済ませましょうか」
テレーズの言葉を聞いたラウルは、テレーズの膝裏に手を入れる。
一体、何をするのだろうか?
そう思いきょとんとするテレーズをラウルは軽々と抱きかかえる。
「きゃぁあっ!」
「暴れないで」
驚いて暴れてしまいそうになるテレーズを言葉だけで押し黙らせ、ラウルはテレーズを巨大な寝台の方に連れていく。
そして、そのまま優しく寝台の上に降ろす。
「……一応、言っておきましょうか。この部屋から出る条件。それは――」
――まぁ、世にいう男女の夜の営みをすること、らしいんですよね。
11
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
触手エイリアンの交配実験〜研究者、被験体になる〜
桜井ベアトリクス
恋愛
異星で触手エイリアンを研究する科学者アヴァ。 唯一観察できていなかったのは、彼らの交配儀式。
上司の制止を振り切り、禁断の儀式を覗き見たアヴァは―― 交わる触手に、抑えきれない欲望を覚える。
「私も……私も交配したい」
太く長い触手が、体の奥深くまで侵入してくる。 研究者が、快楽の実験体になる夜。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
女の子がほとんど産まれない国に転生しました。
さくらもち
恋愛
何番煎じかのお話です。
100人に3~5人しか産まれない女の子は大切にされ一妻多夫制の国に産まれたのは前世の記憶、日本で亭主関白の旦那に嫁いびりと男尊女卑な家に嫁いで挙句栄養失調と過労死と言う令和になってもまだ昭和な家庭!でありえない最後を迎えてしまった清水 理央、享年44歳
そんな彼女を不憫に思った女神が自身の世界の女性至上主義な国に転生させたお話。
当面は2日に1話更新予定!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる