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第4章
②【※】
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あの日、俺は確かに「殿下の側で成長を見ていたい――」と殿下に告げた。
だが、それは決して『こういう意味』ではないのだ。
回復し、覆いかぶさってくる殿下を見て、俺はようやく言葉の行き違いに気づいた。
「殿下、こういうのは」
「だって、俺の側にいるのでしょう?」
唇にキスが降ってくる。殿下の手のひらが衣服越しに身体を撫でてくる。
「意味が、ちがっ!」
唇が重なって、殿下が言葉を呑み込んだ。
今度は触れるだけのものではなく、深いものだった。
殿下の舌は俺の唇を強引に割り、口内に侵入してくる。……拒もうと思うのに、拒めない。
あの日々で、俺の身体は殿下に熟知されてしまった。弱い部分も、感じる部分も。
俺自身よりも殿下は熟知している。
「んんっ」
くぐもった声が出る。
殿下はなだめるように俺の頭を撫でた。これでは立場が逆じゃないか。
「久々ということもあるので、優しくしますから」
だから、そういうことではない――!
叫ぼうとすると、殿下の手のひらが衣服の中に侵入する。
身体を撫でまわす手が、胸元に触れる。
「俺でたくさん気持ちよくなってくださいね。いっぱい反応して」
「――ぁっ」
指で胸の飾りを刺激されると、声が漏れた。
散々いじられたせいで、わずかな刺激でも快感を感じてしまう。
「気持ちいい?」
双眸が俺を射抜く。
獰猛な色を宿した瞳に見つめられてしまうと、身体の奥がうずく。
もうすっかり、身体は殿下に飼いならされているみたいだ。
「で、んかっ」
「うーん。なんか違う」
指が乳首から離れる。
嬉しいはずなのに、物足りないと感じるのはどうしてなのか。
「ねぇ、ラードルフさん。俺のこと、ヴィクトールって呼んで」
両手で俺の頬をはさんだ殿下が、ささやいた。
「殿下なんて言われると、距離を感じてさみしいから」
「……殿下は、殿下でしょう」
俺のような者が殿下を名前で呼ぶなど、許されるわけがない。
「俺は王子である以上に、ヴィクトールっていう人間なんですよ」
それはそうなのだが……。
「名前で呼んでくれなくちゃ、俺、拗ねます」
最近の殿下はずっとこの状態だ。
年下の特権を活かし、これでもかというほど甘えてくる。そして、俺はこの拗ねるという態度に弱い。
「そんなの、気にすることじゃ――!」
言い終わるよりも先に、殿下の手が下穿きの中に滑り込んだ。
スラックスと同時に下穿きをずり下ろし、指先が後孔に触れる。
きれいな殿下の指先が縁をなぞり、ぞくぞくとしたものが沸き上がってきた。
「すごく吸い付いてくる。俺の欲しいって言ってるみたい」
殿下が側のテーブルにある潤滑油の小瓶を取る。中のぬめりのある液体を指先に垂らした。
液体をまとった指が、孔に触れ――押し込まれていく。ぐっぐっと押し込まれ、身体を暴かれていく。
「はじめは拒んでたのに、今じゃあ素直に受け入れてくれますよね」
埋まる指が二本に増え、中をかき回す。
「ぁ、あっ――」
水音が聞こえる。
快感から身体を逸らす俺を、殿下はじっと見つめていた。
「ねぇ、もう三本も挿ってるの、わかります?」
「や、だめ、ですから――!」
こんなのはダメだ。ダメ――だと思っているはずなのに。
(全然物足りない……。もっと、欲しい)
頭の片隅に浮かんだ考えに、血の気が引く。
「ヴィクトールって呼んで」
殿下が耳元に唇を近づけ、呪文のようにささやいた。
首を横に振る俺を殿下の瞳が見つめている。
「呼んでくれたら、気持ちよくしてあげますから。――ね、このままだと、辛いでしょう?」
内側を撫でる殿下の指は、決定的な場所には触れない。
そのせいで身体がうずいている。触れられてもいない陰茎が勃ちあがり、先端からだらだらとよだれをこぼしていた。
「あなたは頑固で意地っ張りだから。――こうしないと、呼んでくれない」
「ぁ、かっ――」
一瞬だけ、触れるか触れないか。
それさえ微妙な加減で、殿下が俺のもっとも感じる部分を刺激する。
「ねぇ、呼んでください。俺のこと、求めて」
太ももに殿下のモノが当たる。布越しにでもわかるほどに熱い。興奮が伝わってくる。
「ナカ、ひくひくしてます。ほしいなら、言葉にしたほうが楽なのに」
「がっ」
殿下が俺の肩を強く噛んだ。間違いなく痕がついている。
「呼んでくれたら、あげますから。満たしてあげますから――」
まるで俺を堕とそうとしているみたいだ。殿下の言葉が頭の中で繰り返される。
ほしい、欲しい――。
(ほしい。殿下のモノが、欲しい)
――俺の身体は殿下に支配されている。
理解すると、あさましい欲望が一気にはじけた。
「……ヴィクトール」
震える声で殿下を、ヴィクトールを呼ぶ。
ヴィクトールが心底嬉しそうに笑った。
だが、それは決して『こういう意味』ではないのだ。
回復し、覆いかぶさってくる殿下を見て、俺はようやく言葉の行き違いに気づいた。
「殿下、こういうのは」
「だって、俺の側にいるのでしょう?」
唇にキスが降ってくる。殿下の手のひらが衣服越しに身体を撫でてくる。
「意味が、ちがっ!」
唇が重なって、殿下が言葉を呑み込んだ。
今度は触れるだけのものではなく、深いものだった。
殿下の舌は俺の唇を強引に割り、口内に侵入してくる。……拒もうと思うのに、拒めない。
あの日々で、俺の身体は殿下に熟知されてしまった。弱い部分も、感じる部分も。
俺自身よりも殿下は熟知している。
「んんっ」
くぐもった声が出る。
殿下はなだめるように俺の頭を撫でた。これでは立場が逆じゃないか。
「久々ということもあるので、優しくしますから」
だから、そういうことではない――!
叫ぼうとすると、殿下の手のひらが衣服の中に侵入する。
身体を撫でまわす手が、胸元に触れる。
「俺でたくさん気持ちよくなってくださいね。いっぱい反応して」
「――ぁっ」
指で胸の飾りを刺激されると、声が漏れた。
散々いじられたせいで、わずかな刺激でも快感を感じてしまう。
「気持ちいい?」
双眸が俺を射抜く。
獰猛な色を宿した瞳に見つめられてしまうと、身体の奥がうずく。
もうすっかり、身体は殿下に飼いならされているみたいだ。
「で、んかっ」
「うーん。なんか違う」
指が乳首から離れる。
嬉しいはずなのに、物足りないと感じるのはどうしてなのか。
「ねぇ、ラードルフさん。俺のこと、ヴィクトールって呼んで」
両手で俺の頬をはさんだ殿下が、ささやいた。
「殿下なんて言われると、距離を感じてさみしいから」
「……殿下は、殿下でしょう」
俺のような者が殿下を名前で呼ぶなど、許されるわけがない。
「俺は王子である以上に、ヴィクトールっていう人間なんですよ」
それはそうなのだが……。
「名前で呼んでくれなくちゃ、俺、拗ねます」
最近の殿下はずっとこの状態だ。
年下の特権を活かし、これでもかというほど甘えてくる。そして、俺はこの拗ねるという態度に弱い。
「そんなの、気にすることじゃ――!」
言い終わるよりも先に、殿下の手が下穿きの中に滑り込んだ。
スラックスと同時に下穿きをずり下ろし、指先が後孔に触れる。
きれいな殿下の指先が縁をなぞり、ぞくぞくとしたものが沸き上がってきた。
「すごく吸い付いてくる。俺の欲しいって言ってるみたい」
殿下が側のテーブルにある潤滑油の小瓶を取る。中のぬめりのある液体を指先に垂らした。
液体をまとった指が、孔に触れ――押し込まれていく。ぐっぐっと押し込まれ、身体を暴かれていく。
「はじめは拒んでたのに、今じゃあ素直に受け入れてくれますよね」
埋まる指が二本に増え、中をかき回す。
「ぁ、あっ――」
水音が聞こえる。
快感から身体を逸らす俺を、殿下はじっと見つめていた。
「ねぇ、もう三本も挿ってるの、わかります?」
「や、だめ、ですから――!」
こんなのはダメだ。ダメ――だと思っているはずなのに。
(全然物足りない……。もっと、欲しい)
頭の片隅に浮かんだ考えに、血の気が引く。
「ヴィクトールって呼んで」
殿下が耳元に唇を近づけ、呪文のようにささやいた。
首を横に振る俺を殿下の瞳が見つめている。
「呼んでくれたら、気持ちよくしてあげますから。――ね、このままだと、辛いでしょう?」
内側を撫でる殿下の指は、決定的な場所には触れない。
そのせいで身体がうずいている。触れられてもいない陰茎が勃ちあがり、先端からだらだらとよだれをこぼしていた。
「あなたは頑固で意地っ張りだから。――こうしないと、呼んでくれない」
「ぁ、かっ――」
一瞬だけ、触れるか触れないか。
それさえ微妙な加減で、殿下が俺のもっとも感じる部分を刺激する。
「ねぇ、呼んでください。俺のこと、求めて」
太ももに殿下のモノが当たる。布越しにでもわかるほどに熱い。興奮が伝わってくる。
「ナカ、ひくひくしてます。ほしいなら、言葉にしたほうが楽なのに」
「がっ」
殿下が俺の肩を強く噛んだ。間違いなく痕がついている。
「呼んでくれたら、あげますから。満たしてあげますから――」
まるで俺を堕とそうとしているみたいだ。殿下の言葉が頭の中で繰り返される。
ほしい、欲しい――。
(ほしい。殿下のモノが、欲しい)
――俺の身体は殿下に支配されている。
理解すると、あさましい欲望が一気にはじけた。
「……ヴィクトール」
震える声で殿下を、ヴィクトールを呼ぶ。
ヴィクトールが心底嬉しそうに笑った。
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