【R18】悪魔な幼馴染から逃げ切る方法。

すめらぎかなめ

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第4章

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 この場合、俺はどうするべきなのだろう。

 亜玲の味方をするべきなのか。はたまた、奏輔の味方をするべきなのか。

 もしくは――中立を保つべきなのか。悩んだ末に出した答えは――。

「……ごめん」

 小さく謝ることだった。

 俺の言葉を聞いた二人は、同時に視線をこちらに向けた。こういうところ、本当にそっくりだ。

「俺の行動が軽率だった。喧嘩の原因を生んで、ごめん」

 静かに頭を下げる。ごくりと息を呑んだのは、一体どちらなのだろう。

 頭を下げ続ける俺の肩をだれかがたたく。恐る恐る顔をあげると、俺の肩をたたいたのは奏輔だ。

「祈が謝ることじゃない。これは俺たち兄弟の問題だから」

 首を横に振った奏輔の言葉は、俺を突き放しているみたいだ。

 だって、『兄弟の問題』ということは、部外者である俺は黙っていろということ。

 俺が喧嘩の原因なのにな。

「ま、いいよ。祈に免じて許してあげる」

 軽く手を振った奏輔は、俺の手を取った。手のひらの上に置いたのは、カードキーだ。

「用事を思い出したから、帰るね」
「は?」
「祈は泊まっていきなよ。あと、亜玲もね」

 奏輔がちらりと亜玲に視線を送る。亜玲は驚きを隠せないのか、目を見開いていた。

 俺だって、亜玲と一緒だ。驚きを隠せないでいる。

「フロントには俺が連絡しておくから、気にしなくていい。じゃ、また今度」

 ひらひらと手を振って俺たちの側から離れようとする奏輔。

 あっけにとられる俺に対し、亜玲はすぐに現実に戻ってきたらしい。奏輔を呼び止める。

「なんのつもり? 俺のこと、馬鹿にしてる?」

 目を吊り上げる亜玲だが、視線の先にいる奏輔は気にした様子もない。唇の端をあげる。わざとらしく肩をすくめた。

「そんなわけない。ただ、そうだな。なにかを企んではいる」

 言葉を残した奏輔は場を立ち去る。

 俺と亜玲は奏輔を見送って、次に顔を見合わせた。

(企みはあるって、どういうことだよ)

 奏輔の目的がわからない。あいつは昔からそうだ。すべて自己完結してしまい、人に自分の考えを話すことはない。なぜなら、自分一人で全部できてしまうから。

 人並み外れて優秀な奏輔は、だれかに頼ったりしない。だれかに相談するという考えがない。

「あいつはいつもそうだ」

 亜玲がぽつりとつぶやいた。その表情は苦しそうなもので、俺の胸がぎゅっと締め付けられる。

「有能だからか、平気で他人を見下す。今だって、祈が俺を選ぶことはないって思ってるから、できるんだ」

 俺には奏輔の考えなんてわからない。ただ、亜玲の言葉は違う気がした。

(亜玲は奏輔が嫌いだ。だから、なんでも悪く捉えてしまう)

 そりゃあ、奏輔の態度が悪い部分もある。でもさ、ここまで悪く捉えなくてもいいだろって――。

(それにこの場合、選ぶのは俺だ。奏輔じゃない)

 いくら奏輔でも、俺の気持ちをコントロールすることなんてできないはず。

 もし、できたとしたら。俺はもう、奏輔とかかわりたくない。

 手の中にあるカードキーを見る。『615』と書かれているのは、部屋番号ってことだよな。

「……亜玲、行くぞ」

 俺は亜玲の手首をつかんで、歩き出す。突然のことに驚いたのか、亜玲がバランスを崩しかける。

 普段のこいつなら想像できないやらかしだ。

「いきなり歩き出して、ごめん」

 振り返って謝る。亜玲はなにも言わずにただ首を縦に振る。

「……いいよ。行こ」

 今度は亜玲が俺の手をつかんで歩き出した。エレベーターに乗り込んで、用意された部屋を目指す。

 奏輔の考えが一体どういうことなのか。俺たちには想像もつかなかった。
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