【R18】悪魔な幼馴染から逃げ切る方法。

すめらぎかなめ

文字の大きさ
40 / 50
第4章

しおりを挟む
「――だからお前ら最近妙に一緒にいたのか」

 男は納得したようにうなずいた。そして、紙パックのコーヒー牛乳をすすった。

「そうだよ」

 俺はペットボトルのコーヒーを一口飲む。隣に座る男はベンチの背もたれにもたれかかって、空を見上げている。

「変だと思ってたんだよなぁ。あんだけ亜玲を避けてたお前が、最近亜玲と一緒にいるの」

 音を立ててコーヒー牛乳をすすり、やつは紙パックを投げた。吸い込まれるようにゴミ箱に入った紙パックを見て、男はぐっとこぶしを握る。

「――で、お前はなんで俺にそれを言うわけ?」
「こんなの、お前にしか相談できないからだよ。――礼音れおん

 隣の男――礼音を見つめた。

 明るい金髪。たくさんのピアス。いかにもチャラいですという風貌のこいつは、間山まやま 礼音。

 俺と亜玲のもう一人の幼馴染だ。

「そりゃあ、俺は人よりも恋愛経験豊富だけどさ」

 立ち上がった礼音が俺を見下ろす。鋭い瞳はなにもかもを見透かしているようで、居心地が悪い。

「お前らの恋路にアドバイスすることはない!」

 はっきり言われて、俺はあんぐりと口を開けた。礼音は頭を掻く。

「正直、お前ら見てるこっちがもどかしいんだわ。めちゃくちゃわかりやすいし。特に亜玲」
「え、いや」
「気づいてないのお前くらいだって。ほかのやつはだいぶ早い段階から気づいてたぞ」

 大きくため息をついた礼音に向って疑う視線を向けた。礼音は気にした様子もない。

「下手なことを言って亜玲に目を付けられたくないし、俺はなにも言わない」
「……なんだよそれ」

 むっとして礼音をにらみつける。礼音はけらけらと楽しそうに笑っていた。余計にイライラする。

「亜玲はな、俺がお前の側にいることもよく思ってないんだよ」
「は? でも、ずっと一緒にいるだろ」
「それは俺がベータで、アルファやオメガじゃないからだ」

 確かに礼音はベータだ。恋愛対象も女性限定だと公言している。

「もしも俺が祈に気があるそぶりでもしてみろ。あいつは俺を排除するさ」
「そこまでするか?」
「あぁ。これは幼馴染として長年の付き合いがあるからわかるけど、あいつの独占欲半端ないよ」

 礼音の表情がにやにやとしたものに変わっていく。対する俺はもやもやを募らせる。

 そもそも、礼音が気づいていて、俺が気づいていないってどんな状況だよ。

「見ていて可哀そうだったなぁ、亜玲。祈が全く相手にしてくれなくて」
「そ、それはあいつが悪いんだって!」

 あいつが俺に嫌われるようなことばかりするから――!

「亜玲が俺に嫌われるようなことばっかり――!」
「――なぁ、祈」

 俺に顔をぐっと近づけた礼音が、真剣な声をあげた。

「いつまでも意地を張ってるんじゃない。お前は自分の気持ちに向き合って、認めろ」

 礼音は俺の肩をつかんだ。そのままぐらぐらと揺らしてくる。

「あとさ、どう頑張ってもお前は亜玲から逃げることはできないよ。あいつはお前を地の果てまでも追い掛け回す」
「こ、怖いこと言うなよ……」
「真実だ。冗談じゃない。長年お前らを観察している俺を信じろ」

 こんなにも真剣に言われると、冗談だとは思えない。けどさ、でもさ。

(というか俺、亜玲とどうなりたいんだ――?)

 最近の俺は亜玲に振り回されて、ほだされかけている。

 そして、俺の心には。こんな日々も悪くないなって気持ちが、確かにある。

 その気持ちこそが、俺を余計に混乱させているのだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

陰キャ系腐男子はキラキラ王子様とイケメン幼馴染に溺愛されています!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 まったり書いていきます。 2024.05.14 閲覧ありがとうございます。 午後4時に更新します。 よろしくお願いします。 栞、お気に入り嬉しいです。 いつもありがとうございます。 2024.05.29 閲覧ありがとうございます。 m(_ _)m 明日のおまけで完結します。 反応ありがとうございます。 とても嬉しいです。 明後日より新作が始まります。 良かったら覗いてみてください。 (^O^)

ヤンデレだらけの短編集

BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。 【花言葉】 □ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡 □ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生 □アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫 □ラベンダー:希死念慮不良とおバカ □デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたもので芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただければ嬉しいです! 【異世界短編】単発ネタ殴り書き随時掲載。 ◻︎お付きくんは反社ボスから逃げ出したい!:お馬鹿主人公くんと傲慢ボス

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中

美形な幼馴染のヤンデレ過ぎる執着愛

月夜の晩に
BL
愛が過ぎてヤンデレになった攻めくんの話。 ※ホラーです

ヤンキーΩに愛の巣を用意した結果

SF
BL
アルファの高校生・雪政にはかわいいかわいい幼馴染がいる。オメガにして学校一のヤンキー・春太郎だ。雪政は猛アタックするもそっけなく対応される。  そこで雪政がひらめいたのは 「めちゃくちゃ居心地のいい巣を作れば俺のとこに居てくれるんじゃない?!」  アルファである雪政が巣作りの為に奮闘するが果たして……⁈  ちゃらんぽらん風紀委員長アルファ×パワー系ヤンキーオメガのハッピーなラブコメ! ※猫宮乾様主催 ●●バースアンソロジー寄稿作品です。

陰キャな俺、人気者の幼馴染に溺愛されてます。

陽七 葵
BL
 主人公である佐倉 晴翔(さくら はると)は、顔がコンプレックスで、何をやらせてもダメダメな高校二年生。前髪で顔を隠し、目立たず平穏な高校ライフを望んでいる。  しかし、そんな晴翔の平穏な生活を脅かすのはこの男。幼馴染の葉山 蓮(はやま れん)。  蓮は、イケメンな上に人当たりも良く、勉強、スポーツ何でも出来る学校一の人気者。蓮と一緒にいれば、自ずと目立つ。  だから、晴翔は学校では極力蓮に近付きたくないのだが、避けているはずの蓮が晴翔にベッタリ構ってくる。  そして、ひょんなことから『恋人のフリ』を始める二人。  そこから物語は始まるのだが——。  実はこの二人、最初から両想いだったのにそれを拗らせまくり。蓮に新たな恋敵も現れ、蓮の執着心は過剰なモノへと変わっていく。  素直になれない主人公と人気者な幼馴染の恋の物語。どうぞお楽しみ下さい♪

幼馴染みのハイスペックαから離れようとしたら、Ωに転化するほどの愛を示されたβの話。

叶崎みお
BL
平凡なβに生まれた千秋には、顔も頭も運動神経もいいハイスペックなαの幼馴染みがいる。 幼馴染みというだけでその隣にいるのがいたたまれなくなり、距離をとろうとするのだが、完璧なαとして周りから期待を集める幼馴染みαは「失敗できないから練習に付き合って」と千秋を頼ってきた。 大事な幼馴染みの願いならと了承すれば、「まずキスの練習がしたい」と言い出して──。 幼馴染みαの執着により、βから転化し後天性Ωになる話です。両片想いのハピエンです。 他サイト様にも投稿しております。

俺にだけ厳しい幼馴染とストーカー事件を調査した結果、結果、とんでもない事実が判明した

あと
BL
「また物が置かれてる!」 最近ポストやバイト先に物が贈られるなどストーカー行為に悩まされている主人公。物理的被害はないため、警察は動かないだろうから、自分にだけ厳しいチャラ男幼馴染を味方につけ、自分たちだけで調査することに。なんとかストーカーを捕まえるが、違和感は残り、物語は意外な方向に…? ⚠️ヤンデレ、ストーカー要素が含まれています。 攻めが重度のヤンデレです。自衛してください。 ちょっと怖い場面が含まれています。 ミステリー要素があります。 一応ハピエンです。 主人公:七瀬明 幼馴染:月城颯 ストーカー:不明 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 内容も時々サイレント修正するかもです。 定期的にタグ整理します。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

処理中です...