【R18】悪魔な幼馴染から逃げ切る方法。

すめらぎかなめ

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第4章

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 しばらくして、料理が届き始めた。

 フライドポテトに三種類のピザ。明らかにおつまみ向けのベーコンとウィンナーのセット。

 それから――城川のプリンアラモード。

「……いただきます」

 城川は小さく手を合わせて、スプーンを手に取った。

 生クリームがたっぷり添えられたプリンは、見るからに甘そうだった。

「美味しい?」
「……うん」

 先輩の問いに、城川は素直にうなずいた。次に添えられていたキウイを口に運ぶ。

「今日は僕がおごるし、好きなだけ食べていいよ。嫌なことは、食べて忘れちゃえばいいんだ」

 なんていう先輩はピザを頬張っていた。今食べているのはマルゲリータだ。

(二人の間に俺が口を出すと、なんか変だし、黙っておこう)

 ピザカッターを持って、残りの二枚のピザをカットしていく。

 残りの二種類はコーンマヨと、照り焼きマヨ。どれも王道で、絶対に美味しいラインナップ。

「城川はプリンが好きなんだな」

 プリンを食べる城川の頬は、ちょっとだけ緩んでいた。そういう顔は、割と可愛い。

 これが理想のオメガなのか――と思わせるほどだ。

(比べ、俺は可愛げなんてない)

 どうしてこうも違うのだろうか。なんて頭の片隅で思っていると、城川が先輩からぷいっと顔を逸らした。

 微かに赤くなった頬。ちらりと先輩を見て、城川はためらいがちに口を開く。

「こ、子供っぽいのはわかってます。けど、美味しいから……」

 最後のほうは消え入りそうなほどに小さな声だ。

 先輩は拗ねた様子の城川を気にすることなく、その頭の上に手を置く。

「別にいいんじゃない。僕もプリン好きだし。子供っぽいとか、大人っぽいとか。そういうの気にしなくていいよ」
「……ん」

 なんだろう。城川はちょっぴり――嬉しそうだった。

「じゃ、じゃあ、一口あげる。……今日のお礼ってことで」

 城川がプリンを掬って、先輩の口元に近づける。……待て待て待てって!

「いいの? じゃあ、遠慮なく」

 なんの迷いもなく、先輩はプリンを口にした。

 何度か咀嚼して、呑み込む。その後の先輩は――輝くほどに、美しい笑みを浮かべた。

「美味しいよ。ありがとう」
「ぼ、僕もそれ食べたい」

 城川が先輩のピザに視線を向ける。

 一体、俺はなにを見せられているんだろうか。

(三人で来たのに、一人だけ仲間外れってことなんだろうか……)

 多分、二人は無自覚だ。そして、無自覚であるがゆえに、たちが悪い。

「祈、もうそれ切れてるよ」

 皿の上を右往左往するピザカッターを見て、先輩がきょとんとしている。

 ……そこはいろいろと、察してほしい。

(気まずいからピザを切っているふりをしてたんだけどなぁ……)

 城川はすっかり先輩に気を許したらしい。ちょっとしたスキンシップを取りつつ、距離を詰めている。

 いっそ、俺は帰ったほうがいいのかもしれない。この場を二人きりにしたほうが、互いに幸せかもしれない。

「あー、俺、もう帰ろうかなって思います」

 ピザを一切れ、フライドポテトをほんの少し食べて、席を立つ。

 先輩は驚いたように瞬きをしていた。ただ、城川は俺の気遣いに気づいたようだ。

「……気を付けて」

 ぼそっとつぶやかれた言葉に、俺は苦笑を浮かべる。

「じゃ、先輩、城川。また今度。……城川、先輩に迷惑かけるなよ」
「お前に言われるようなことじゃないし」

 相変わらず、城川は俺には冷たい。いろいろと思うことはある。でも、城川の気持ちが浮上したのなら――これでよかったんだろう。

(明日もあるし、今日はまっすぐ帰ろうかなぁ)

 軽く考えつつ、ファミレスの扉を開けた、その先。

 駐車場に高級車が止まっていた。だけど、俺の目を引いたのは――その車にもたれかかっている一人の男。

「よぉ、祈。久しぶり」

 男は片手をあげて、俺の名前を呼んだ。

 ごくりと息を呑む。どうして、ここにいるんだろう。

「――奏輔そうすけ
「覚えていてくれたの? 嬉しいな」

 目を細めて、男は手に持ったたばこを携帯灰皿に押し付けた。
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