一匹狼と、たったひとりのラナ

揺木しっぽ

文字の大きさ
11 / 18

11話 危険な夜道と、満月の交わり

しおりを挟む

「ラナちゃん、今日はここに泊らず自分の家に帰りな」

翌朝、リゲルがラナが家を出る前にそう告げた。

「満月の件で?」
「ま、そうだな」
「一人になりたいの?」

リゲルはラナと目も合わせず、答えない。リゲルは人の姿に戻れなくなると言ったが、それ以外はどうなるのか言わなかった。一人になろうとするのは、獣の姿になってしまう以外に何かあるのだろうか。彼は、それが原因で、こんな街外れの森の中に一人で住んでいるのだろうか。

「私は傍に居たいと思ってるけど、それでもダメ……?」

ラナはリゲルを見上げた。恋人なのだから、どんな時だって一緒に居たいのに。彼が不安な時ならば尚更だ。

「オレがラナちゃんに嫌われたくないからダメかな」
「私の月のものの時は見せたくないって言うのに血まで無理やり見たくせに」

嫌われたくないからというなら、ラナとて経血の付いた布など見せたくはなかった。

「オレはそのくらいでラナちゃんのこと嫌いにならないからいいの! それに人間の女の子の月のもののことは全く知らないんだから、知らなきゃちゃんと心配出来ないだろ」
「それを言うなら私だって――あっ! リゲル!」

オレはいいの、と言わんばかりにリゲルはラナの背を押し、強引にドアを閉める。

「明日は泊まりにおいで」

ドアが閉まる直前に、リゲルはそれだけ言う。ガチャリと鍵の閉まる音がした。
ラナは暫く立ち尽くしたが、仕事に行く必要がある。リゲルの様子が気になりながらも、図書館へ向かった。

あんなにくっつきたがりのリゲルが自分を遠ざけるなど、余程の理由があるのだろうと想像出来る。しかし理由を話してくれないと、こちらも納得できない。それに、これからずっと一緒にいるのなら満月の日は毎月訪れる。そうなるとどうするのだと言いたい。
ラナだって辛い時には自分だってリゲルを支えたい。何も出来ないかもしれないが、一緒にいることくらいは出来ると思うのは思い上がりなのだろうか。

どうするのがいいのかわからないまま、図書館に着いてしまう。そうしてもやもやとした気持ちのまま、勤務時間は過ぎていく。

「ミュカ……今日、満月だよね」
「そうね。リゲルが何か言ってた?」
「今日は狼の姿から戻れないから泊まりに来るなって」
「ふーん」

昼休み、外はすっかり寒く、二人は近くの食堂に来た。家庭的な食堂の中は同じくランチを求める他の獣人や獣たちで満席だ。ラナは店の中でも安い金額の野菜炒めセットを頼み、ミュカは煮魚定食を頼んだ。

「私どうしたらいいんだろう」
「どうって?」
「素直に自分の家に帰るか、リゲルの家に行くか……」
「リゲルが見られたくないって言うなら尊重したらいいじゃないの。誰しも見られたくない時はあるし」
「ミュカにも人に会いたくない時ってあるの?」
「そりゃあ、あるわよ」

「発情期とか」とミュカは小声でラナに顔を近付けて言った。

「逆にラナはそういう時ないの? 人肌が恋しくてたまらな~いって日とか」
「……ない、かも……。純粋に家族が恋しい日はあったけど……」

それはただのホームシックだ。
ミュカから見ても、ラナは無自覚に毎月定期的にフェロモンを出す以外は獣人や獣のような発情の変化はなく、性的なことに淡白に見えた。

「人間っていつでも妊娠できる分、子孫繁栄に必死にならなくてよくていいわねぇ」
「同族……いないから子孫繁栄もなにもないけど……。私には、獣の皆の気持ち、わかんないのかな……」

また、自分は毛のある彼らとは決定的に何かが違うのではないかという思いがラナの中で膨らむ。野菜炒めを口に入れるが、あまり味を感じられない。

「わかんないなら本人に聞けばいいじゃない。満月は今日だけじゃあるまいし。それに、たまには気持ちに素直に行動してもいいんじゃない? はい、これあげる。ラナはもっとお肉付けないと」

ミュカがラナのお盆に小鉢の冷奴を置く。

「ありがとう。でもたぶん普通体型だよ」
「私たちから見たらガリガリよぉ」
「それは獣の皆には毛があるから……!」

ラナの言葉に、二人の会話が聞こえていた周りの獣たちがドッと笑った。



ラナは仕事の後、一旦は素直に家に戻った。寒い部屋で一人でパンとスープの食事をとり、鍋で沸かした湯でさっと体を拭いた。あとはもう眠くなるまで読書でもして寝るだけだ。

――今、リゲルはどうしているのかな……。

火を灯したランプをベッドの脇に置いて本を開いても、脳裏に過ぎるのはリゲルのことだ。
今この時、彼はどうしているのか。一人でさみしい想いをしているのではないか――。
ラナは心配で堪らないが、来るなと言われてしまっている以上、考えても仕方がない。さっさと寝てしまおうとベッドに潜る。

「…………」

目を閉じても、まだ寝るには少し早い時間で、なかなか眠れない。リゲルへの心配が募るばかりだ。
ラナは悶々と暗い天井を暫く見つめてみたが、暫くして寝るのは無理だと諦めた。
ベッドから起き上がり、寒くないよう服を着込む。外用のランプに火を灯すと、部屋の中のランプを消す。そしてラナは家を出た。
夜の街は、丁度酒場が閉まる時間だったようだ。家路に着いている酔った酒客の笑い声とすれ違う。街を抜け、森に差し掛かると街灯がなくなり、途端に暗闇の世界が広がる。ランプの明かりが届かない所は本当に真っ暗だ。
先の見えない、今にも茂みから何か飛び出しそうな暗闇は踏み入れるのに勇気が必要だったが、ラナは思い切って歩みを進めた。
暗い――。
満月で月明かりがあると言っても茂る木々の葉がそれを遮り、道はほとんど暗闇だ。ランプの揺れる灯りは心もとなく、数歩先までしか灯してくれない。どうせ来るならもっと早くに――日が暮れる前に来るべきだった。ルー以外の知らない狼や、クマや野犬が出てきたらどうしよう。ラナは足がすくみそうになるのを堪え、一歩一歩踏み出した。
ガサッ! と茂みが揺れる音がした。

「なに!?」

ラナはその方向を振り向く。獣の類かと思ったが、月明かりに薄っすらと見えるシルエットは人型をしていた。
ランプを突き出して姿を確認すると黒いスーツを纏った古風なスタイルの男だ。その口元には隠しきれない立派な犬歯が上唇から飛び出している――吸血鬼だ。
ラナにとっては獣よりタチが悪い相手だ。
ラナが一人でいたから狙われて後をつけられたのだろう。リゲルと出会ってからこの手の輩が寄り付かなかったので気が緩んでいた。

「お嬢さん、こんな時間に森の中を歩いていると危ないですよ。私が御一緒しましょうか」

男は血の気のない白皙の相貌で、瞬きもせず真っ直ぐにラナを見ている。口調は丁寧だが、有無を言わさぬ威圧感がある。
その感情の無い、ラナを獲物としか見ていない目は背筋が凍るほど冷たい。

「よ、用事があるのはすぐそこなので大丈夫です!」

ラナは毅然と大きな声を出して威嚇するが、その声は震えていた。

「まあそう言わずに」
「私の血を試してみたいだけでしょう!」
「理解しているなら話は早いじゃないですか。大丈夫、殺しはしません。希少な人間なんですからね」
「やめて!」

吸血鬼の手がラナへ伸びてくる。捕まる前に走って逃げようとするも、すぐに追いつかれてしまった。ランプが地面に落ちて明かりが消える。腕を引かれ、吸血鬼の男に地面に組み敷かれてしまう。
ラナは抵抗するが力で適うはずもない。男はラナの襟を乱し、その白い首筋に噛み付いて血を吸おうと覆い被さって来た。

「いやっ――――!!」

このまま襲われてしまうのかと思ったその時――茂みから何かが飛び出し、男に襲い掛かった。
「ぎゃああ!」と男が猛烈な叫び声を上げる。
ぐうううという低い唸り声は獣のもので、噛み付かれた吸血鬼はその勢いでラナの上から横に転がった。ラナは四つん這いで這いずって、落としたランプを見つける。ポケットから震える手でマッチを取り出して灯りを点けなおして吸血鬼を照らす。そこには、狼のルーが男に覆い被さり、噛み付いていた。

「このっ! クソ犬っ!」

男は抵抗してルーに噛まれている腕を振って逃れようとするが、振り切れない。それどころか余計にルーの牙が食い込んでいるはずだ。ルーの噛む力には適わないと悟ったのか、吸血鬼は蝙蝠の群れに化けて霧が散るように飛び去って行った。
真っ暗な森は再び静寂が訪れる。走って駆け付けてくれたルーの、ハッハッという荒い呼吸音だけが響いていた。
吸血鬼がいなくなってラナはホッとしたが、腰が抜けたのか、立とうとしても立ち上がれない。そんな様子を見てルーがラナに寄り添ってその頬を舐めた。心配そうにクークーと鼻を鳴らす。

「ルーくんありがとう……。君がいてくれなかったらどうなってたことか……」

ラナはルーに抱き着いて少し泣いた。
暫くそうしていると、誰かの走る足音が段々と近づいてくる音が聞こえてきた。
また何者かが来たのかとラナはルーに抱き着く。何がやってくるのかと震えていると、現れたのは狼の姿のリゲルだった。ルーの家族と思われる狼と一緒だ。呼んできてくれたのだろう。

「ラナちゃ――どぅわ!」

地面に座り込んでいるラナにリゲルが駆け寄ろうとしたところを、ルーが腹にタックルのように頭突きを決めた。リゲルは尻もちをつくように地面にひっくり返った。

「うん、オレが悪かったよ……」

ガウガウと怒った様に吠えているルーに何か言われているのか、リゲルは起き上がってラナに駆け寄った。

「大丈夫? ごめんな……オレが半端に来るなって言ったから……」
「……怖かった……」

ラナはリゲルに抱き着いた。その身体は狼の姿になっているためか、服を纏っていない。豊かな胸の毛に顔を埋めると、人の姿の時より獣の匂いの濃い、リゲルの匂いがした。力強いその匂いに、ラナは落ち着きを取り戻す。

「ごめん……家に帰ろう」

震えるラナを抱き上げ、リゲルは家に向かって歩いた。
暗い森の中でも狼の目のリゲルは見えているのか難なく進む。彼の家の灯りが見えた時、ラナは心からホッとした。
ドアを開けてリゲルはラナを下ろし、その背中に付いた葉や土を払った。

「ラナちゃん、怪我してる!」
「ほんとだ」

家の中に入るとその明るさに、ラナはやっと自分の様子を把握した。リゲルが多少整えてくれたが、服の襟元は吸血鬼に引っ張られて傷んでしまったし、スカートを穿いていたため、足にいくつかの擦り傷が出来てしまっていた。リゲルは桶に水を張り、ラナをカウチに座らせた。丁寧に水を掛けて土を落とす。
部屋の中にはリゲルが狼の姿になる前に脱ぎ捨てたのだろう、衣服が無造作に床に散らばっている。

「リゲル、大丈夫だよ、自分で出来るから……」

ラナはなんとなく狼の血が流れているリゲルに傷を見せるのは、彼の中の何かを刺激してしまうのではないかと思った。しかも今日は満月の日だ。
聞こえていないのか、リゲルはラナの怪我をじっと見つめている。かと思えばおもむろに脚に顔を近付けて傷の一つを薄い舌が舐めた。ぬろりと舌が傷口に触れ、唾液が染みる。

「あっ、リゲル! 痛いよ……!」

ラナが足を引き、リゲルはハッと我に返った。

「ごめん……今日は自分がぼんやりして、何をしでかすかわからないから来るなって言ったのに……」
「私のこと襲って食べちゃうの?」
「そんなわけないだろ! 狼男は人は食わないよ」

リゲルは珍しくむきになって声を荒げた。

「じゃあ、私を遠ざけないでよ。私はリゲルの番じゃないの? 番ってどんな時も一緒じゃないの? 私は、リゲルとどんな時も、あなたが苦しい時も支えたいよ……」

ラナはそう言いながらも、今日はあんな目に遭って心配をかけてしまったことを自省する。自分では自分の身も守れなくて、どうしてリゲルの隣に寄り添えるだろう。
非力な自分が情けなくて、涙が出る。ラナは涙を隠すように顔を覆った。
リゲルはラナの両手を掴んで優しく顔から離すと、涙に濡れた頬を撫でた。ラナを泣かせてしまった罪悪感より、その純粋な涙が自分のために流れていることへの愛おしさが溢れる。だって、泣いている顔もこんなにも美しく、可愛い。
リゲルがラナの涙を舌で舐め取ると、ほのかにしょっぱかった。

「可愛い……可愛い……」

リゲルは譫言のようにそう呟きながらペロペロとラナの顔中を舐めてしまう。人を食うなんてことはしないが、このまま食べてしまいたい程、愛おしい。彼女と一つになりたいという衝動を抑えられない。

「このまま抱きたい」

リゲルの真っ直ぐな視線が、ラナの瞳を射抜く。
こんな獣の姿で交わるだなんて怖いだろうと言えなかったが、どうしても今、ラナと交わりたかった。この姿を怖がらなかったラナに、受け入れて貰いたい。

「――いいよ……」

ラナが揺れる瞳で答えた。
果たして、断られていても我慢できたかリゲルは自信がない。ただ、受け入れてくれたことが嬉しくて、その小さな身体を抱き締めた。ラナがリゲルの背に腕を回して抱き締め返してくれた。
ラナの唇を舐める。だが、狼の姿ではキスもすぐに歯が当たってしまうし、その身体を甘噛みしようにも、鋭い牙で薄い皮膚に傷を付けてしまいそうだ。リゲルはラナの服を脱がせて白い肌を顕にすると、ひたすらラナの身体を舐めた。どこもかしこも甘い匂いがして、くらくらしそうになる。

「んっ、ふっ……くすぐったい……あっ……」

初めはくすぐったがっていたラナも、リゲルの舌が乳房の先端に触れると甘い声を漏らし、びくりとその身体を震わせた。反対側の乳房を、爪で傷付かないように愛撫する。この身体の硬い爪では、柔らかなラナの肌なんて少し触れただけで直ぐに引っ掻き傷が付いてしまう。リゲルは本能に突き動かされながらも、ラナを傷付けないように細心の注意を払った。
手が満足に使えない分、つんと主張している先端を舌で撫でると、ラナの口から甘い声が漏れ、下半身から漂う牝の匂いが濃くなった。
その匂いに当てられ、リゲルは乳房から離れてラナの閉じていた両足を開かせた。
全裸でカウチに身を預け、大きく股を開いている姿はいやらしく、その中心は蜜に濡れて暖炉の火の光にてらてらと反射させていた。なんとも淫靡でいやらしいそこに鼻先を近づけ、蜜を舐め取る。牡を興奮させる味と匂い――フェロモンがした。

「んっ、やぁ、あぁっ、あ、リゲル……っ」

ペチャペチャと音を立てて、人の姿の時とは違う厚みの薄い滑らかな舌がラナの秘部を舐め上げている。溢れてくる蜜を全て舐め取りたいとでもいうように、執拗な動きだ。舐められても舐められても、蜜が溢れるのが終わる気配はない。そしてその舌が陰核を舐める度に、言いようのない快楽に腰を震わせてしまう。

「気持ちい?」
「そんなに、舐めないで……っんぁ」
「こんなに美味しい蜜を溢れさせといて、そいつは出来ない相談だな」

ラナはそう言ってリゲルの頭を押しのけようとするが、その手には全く力が入っていない。

「ぁっ、んぁ……っうう……! んぁぁっ、~~~~っっ!!」

リゲルがじゅるじゅると音を立てて陰核に吸い付くと、ラナはその頭を自らの股間に押さえ付けながら震えて、絶頂に達した。
リゲルは漸く顔を上げ、口の周りや鼻に付いた蜜を長い舌で舐め取った。その様はまるで、ラナをこれから捕食すると言わんばかりの舌舐めずりだった。今から食べられてしまうような眼光に、ラナは一瞬ゾクリと背筋が冷える。だがそれに反して胎の奥は彼の牡を受け入れたいと、切なく疼いた。
リゲルになら、食べられてしまってもいい――そんな倒錯に溶けた瞳で、ラナは彼を受け入れるため手を伸ばす。
リゲルの性器は随分前から硬く勃ち上がり、先端から先走りを床に垂れるほど溢れさせている。人の姿の時とは性器の形状も少し違う。一回り以上は大きく、本来の狼の性器は亀頭部分が長く、人の物のように精子を掻き出すための雁首はないが、狼男のリゲルのペニスには人の時のまま雁首があった。そして本来の狼の性器にある根元部分の、ある機能も備わっている。
満月の夜にラナに傍に居てほしくなかったのはこの性器のせいでもあった。身体的にか弱いラナに、この姿での交尾は耐えられないと思ったからだ。しかし理性も緩くなっている今、本能を我慢出来る気がしない。
リゲルは粗い息を隠そうともせず、腕を伸ばすラナに覆い被さった。割れ目に剛直の先端を押し付ける。少しの抵抗はあったが、溢れ出ている蜜の滑りで胎内にぬぷぬぷと埋もれて行った。

「んん……っ、おっき……!」

人の姿の時より一段と大きなそれ。ラナは苦しげに眉根を寄せながら、なんとか受け入れた。普段な彼女のうめき声が聞こえればゆっくり挿れようとするだろうが、今のリゲルに彼女を気遣う余裕はない。

「あっ……あっ! ふ、うぁ……っ」

胎内を太くて大きなペニスでみっちりと埋め尽くされ、ラナは背を仰け反らせる。内臓を押し上げられて苦しいのに、腹の中の媚肉は媚びるようにリゲルのペニスを締め付けた。
圧迫感に目に涙を滲ませて震えるラナを、リゲルは獲物を狙う狼のような鋭い眼光で見下ろす。
もっと、もっとラナが欲しい――――。

「んぁっ、はあ、――っ、なに……っ⁉」

ラナが呼吸を整える間もなく、リゲルが腰を動かす。前とはと違い、腰を動かされる度に胎内に射精されているような感覚がある。胎内に出されている体液は収まりきらずに膣口から溢れ、床に溢れた。リゲルはそんなことお構い無しで腰を激しく打ち付けて来た。

「ぁっ! おっ、あう……っ! んあぁっ! 激し……っ!!」

訴えてもリゲルは腰を止めず、ばちゅばちゅと容赦のないピストンが続いた。当然、一突きされる度に最奥を穿たれる。身体の中心から内臓を押し上げ、脳天にまで衝撃が来るようだった。死ぬ。激しすぎて息が詰まって声も出ない。このままお腹を突き破られて死ぬのではと、ラナが遠ざかりそうな意識の端に過った頃、リゲルが一際強く、奥に腰を押し付けた。そしてそのまま引くことはせず、ただひたすらに押し付ける。するとペニスの根本が膨らみ、ラナの中から抜けなくなった。

「っ、ぐ……はぁ……っ」
「えっ、り、リゲル……っ? なに、これぇっ、ああ―――――っ!!」

リゲルがラナの身体を繋がったままひっくり返し、後ろから繋がる形になる。その衝撃にラナは悲鳴のような声を上げた。しかしリゲルは夢中でカクカクと小刻みに腰を揺らした。これでは完全に獣の交尾だ。そして胎内の圧迫感が増す。リゲルのペニスの根元が精液を吐き出そうと膨らんだのだ。
ただでさえさっきから出されていた体液で胎内はぐちゃぐちゃだというのに、本当の射精はこれからだったのだ。

「うっ、――っ、あ……っ、射精る……っ!」

リゲルは最奥にペニスを押し付けて腰を小刻みに揺すり、長く続く射精をしている。人の姿の時とは違い、ビュルビュルと出しても出しても止まらない。当然、そんな量の体液をラナの狭い胎内で受け止めることなど出来るはずもなく、結合部から止め処なく溢れ出した。

「あ……っ、あぁっ……ふぁ、あ……っん、動か、ないでぇ……っ」

リゲルが腰を最奥に押し付ける度に、ラナの媚肉は勝手に彼を締め付けて快楽を拾おうとする。

「好きだ……オレの……オレの番……っ、ラナ――ッ!!」

リゲルは譫言のように一人で呟くばかりで、ラナの言葉は耳に入っていない。最奥に子種を塗り込む様に、本能のままこの牝を孕ませたいと、腰を押し付ける。

「んんっ……あァ……っ、おく、らめ……っ、くぁ、ふ、うう……死ぬ……っ、~~~~っっっ!!」

容赦なく奥を突かれるのも辛かったが、子宮口にぴったりと亀頭を密着され、小刻みに揺らされると瞼の裏が真っ白に弾ける。自分の身体なのに、最早自分のものではいようだ。ラナは快楽の奔流に飲まれる意識を繋いではおけず、手放した。それは一時の間だったが、主の制御を失った尿道から透明な液体が漏れる。それはポタポタとカウチの下に溢れ、先に床を濡らしていたリゲルの体液と混ざった。
折角のカウチの背面も座面も濡れて布が黒く変色しているが、今それを気にする余裕のある者など、ここにはいない。

暫くラナに覆い被さっていたリゲルが、漸く長い射精を終えた。
根本も萎えてペニスを抜けるようになった。腰を引くとぬぽっと音を立てて抜けた。そのペニスには混ぜ合わさって白濁したラナの蜜と自身の精がねっとりと纏わりついて糸を垂らした。
リゲルの剛直がいなくなってぽっかりと空洞のように空いた穴から、胎内を満たしていた先走りと精液の混じった液体がこぷこぷと勢いよく溢れ出た。小さな身体でよくもこれだけの欲望を受け止めたのかと思うと、愛おしさと更なる劣情がとめどなく溢れてくる。
ラナに無理をさせたくないと頭の隅に追いやられている理性が必死に訴えている。だがリゲルの本能はこの牝をまだ抱きたい、孕ませたいと訴え続けている。
なにせラナの牝穴はリゲルを恋しがってヒクヒクと震えているのだから――情欲に当てられたリゲルにはそう見えて、自らの牡もまだやれると直ぐ様体中の血を集めて張り切っている。血が下がって冷静になれそうなものなのに、リゲルの血は、体温は、まだ沸騰しそうな程熱い。

「ラナ、ごめん……っ」

意識を飛ばしてカウチの背に凭れかかっているラナの腰を掴み、すっかり臨戦態勢を取り戻した怒張を挿入した。

「んぁっ! リ、リゲル……も、もう……むり……っ」

挿入の衝撃で意識を取り戻したラナはそう訴えるが、リゲルは止めてやれない。ラナの中は待ってましたとばかりにリゲルの牡を愛撫するのだから。
リゲルは再び夢中で腰を振り始めた。

リゲルの激しさに翻弄されながら、ラナの脳裏にいつかのミュカの、「イヌ科の交尾はすっごいやばいらしい」という言葉が浮かぶ。
確かにやばいと、今なら自信を持って言えるだろう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】 「運命の番」探し中の狼皇帝がなぜか、男装中の私をそばに置きたがります

廻り
恋愛
羊獣人の伯爵令嬢リーゼル18歳には、双子の兄がいた。 二人が成人を迎えた誕生日の翌日、その兄が突如、行方不明に。 リーゼルはやむを得ず兄のふりをして、皇宮の官吏となる。 叙任式をきっかけに、リーゼルは皇帝陛下の目にとまり、彼の侍従となるが。 皇帝ディートリヒは、リーゼルに対する重大な悩みを抱えているようで。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。 絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

完結·異世界転生したらアザラシ? でした〜白いモフモフでイケメン騎士たちに拾われましたが、前世の知識で医療チートしています〜

恋愛
ネットでアザラシを見ることが癒しだった主人公。 だが、気が付くと知らない場所で、自分がアザラシになっていた。 自分が誰か分からず、記憶が曖昧な中、個性的なイケメン騎士たちに拾われる。 しかし、騎士たちは冬の女神の愛おし子を探している最中で…… ※小説家になろう、Nolaノベルにも投稿しています ※完結まで毎日投稿します

敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる

今泉香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。 敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。 エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。 敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。

【完結】たれ耳うさぎの伯爵令嬢は、王宮魔術師様のお気に入り

楠結衣
恋愛
華やかな卒業パーティーのホール、一人ため息を飲み込むソフィア。 たれ耳うさぎ獣人であり、伯爵家令嬢のソフィアは、学園の噂に悩まされていた。 婚約者のアレックスは、聖女と呼ばれる美少女と婚約をするという。そんな中、見せつけるように、揃いの色のドレスを身につけた聖女がアレックスにエスコートされてやってくる。 しかし、ソフィアがアレックスに対して不満を言うことはなかった。 なぜなら、アレックスが聖女と結婚を誓う魔術を使っているのを偶然見てしまったから。 せめて、婚約破棄される瞬間は、アレックスのお気に入りだったたれ耳が、可愛く見えるように願うソフィア。 「ソフィーの耳は、ふわふわで気持ちいいね」 「ソフィーはどれだけ僕を夢中にさせたいのかな……」 かつて掛けられた甘い言葉の数々が、ソフィアの胸を締め付ける。 執着していたアレックスの真意とは?ソフィアの初恋の行方は?! 見た目に自信のない伯爵令嬢と、伯爵令嬢のたれ耳をこよなく愛する見た目は余裕のある大人、中身はちょっぴり変態な先生兼、王宮魔術師の溺愛ハッピーエンドストーリーです。 *全16話+番外編の予定です *あまあです(ざまあはありません) *2023.2.9ホットランキング4位 ありがとうございます♪

最強魔導士に転生したけど、護衛が過保護すぎる

ホロロン
恋愛
最強魔導士に転生したけど、護衛が過保護すぎる 転生したら──とんでもない魔力を持つ「最強魔導士」になっていた! 戦える力も自信もあるのに、なぜか専属護衛の近衛騎士・アルディスが、命に代えても過保護モード。 市場に行くだけで抱き上げられ、戦場に行こうとすれば即お持ち帰り。 「私は戦えるの!」 「戦う必要はありません。あなたは私が守ります」 ……いや、それはそれで格好いいけど! そんなある日、過保護の理由に隠された彼の過去が少しずつ明らかになっていく──。 甘やかし騎士と最強魔導士の、距離ゼロ異世界ラブストーリー。 Rシーンには*をつけます。 全11話+エピローグで完結です。

処理中です...