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にゃんこ
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「ん……」
目が覚めると、既に日は高く昇っていた。あたしの隣には誰もいない。どうやら先輩は遊びにでも出かけているらしい。今日が休日でよかった。
「夢じゃないんだよね……えへへ」
あたしは自分の頬をつねってみる。痛みはあるけど、これは現実だ。昨晩の出来事を思い出し、思わず顔が熱くなる。
(まさかあたしとしたことが、せんぱいにペースを握られるなんて……)
思い返すだけで恥ずかしい。だけど、それ以上に満たされた気分になる。
(あたし、今幸せかも)
恋人ができたことで不安もあるけれど、きっと何とかなるはずだ。だって、あたしはこんなにも幸せなんだもの。
「ただいまー」
ガチャリという音と共に玄関の方から声が聞こえてきた。どうやら先輩が帰ってきたようだ。
「おかえりなさい、せんぱ……きゃあ!?」
出迎えようとドアを開けると、先輩が倒れ込んできた。慌てて支えると、彼女の息は荒く、額からは大量の汗が流れ落ちている。どこに行ってきたのだろうか?
「せ、せんぱい? しっかりしてください!」
「ごめ……ちょっと、休ませて……」
「わかりました」
あたしは先輩を抱き抱えると、ベッドまで運んだ。それから濡れタオルを用意し、先輩の身体を拭いてあげる。
「ありがと、まっちゃ……ん」
「無理しないでください。何か飲み物を持ってきましょうか?」
「ううん、大丈夫。それより、少しだけ抱きしめさせて……」
先輩があたしのことをギュッと強く抱き締めてくる。その腕はとても弱々しくて、まるで消えてしまいそうなくらいに感じられた。
「まっちゃん、好き。大好きだよ」
「あたしも先輩のことが好きです」
「ねぇ、まっちゃん。わたし、このままだとダメになりそう……」
「どういうことですか?」
「わたし、まっちゃんがいないと生きていけないかもしれない……」
「大袈裟ですよ」
クスっと笑いながら答える。だけど、先輩は真剣な表情であたしを見つめていた。
「本当だよ。もし、まっちゃんがいなくなっちゃったら、わたしはもう生きていく意味がない。だから、お願い。ずっと側にいてほしい……」
「せんぱい……」
先輩の目から涙がこぼれ落ちる。弱っている先輩はとても色っぽくて、可愛くて、そして何より綺麗だった。あたしはそっと唇を重ねる。
「せんぱいが望むなら、あたしはいつまでも一緒にいますよ」
「本当に?」
「はい。せんぱいのためだけに、あたしはこの命を燃やします」
「ありがとう……。大好きだよ、まっちゃん」
「あたしもです。愛してる……」
もう一度キスをする。すると、先輩の顔から徐々に笑顔が戻ってきた。やはり、この人には笑っていてほしい。そのためならば、あたしは何だってできるだろう。
「せんぱい、元気が出ました?」
「うん。ありがとう、まっちゃん」
「じゃあ、続きをしませんか?」
「いいの?」
「もちろんです」
「嬉しい。まっちゃん、優しくするからね」
「はい」
あたしたちはお互いを求め合うように肌を重ね合わせた。何度も、何度も……。
「まっちゃん、あのね。わたし、なんのために出かけてたのかというとね……」
「はい?」
翌朝、あたしは目を覚ましてからというものの、ひたすら先輩に甘えられていた。今も膝枕をしている状態だ。
「実はこういうのを買ってたの」
先輩はベッドの傍に置いてあった紙袋からネコミミを取り出して頭につける。先輩の金髪に良く似合う、可愛らしいネコミミだった。
「……っ!」
「まっちゃん、猫好きなんでしょ? ……だから、今日はわたし、まっちゃんのネコちゃんだ……にゃん?」
「せ、せんぱい! あたし、嬉しくてどうにかなりそうです!」
あたしは先輩に抱きつくと、そのままベッドに押し倒す。それから、彼女の胸元へと顔を埋めた。
「ま、まっちゃん!?」
「ふにゃぁ……♡」
先輩の甘い香りに包まれ、幸福感で満たされる。やっぱりあたしは先輩が好きだ。たとえ世界中を敵に回しても構わない。あたしだけは絶対に彼女を守ってみせる。
「せんぱい、もっと……にゃんにゃん言ってください!」
「えっ、でも……」
「ほら、早く言わないと襲っちゃいますよ?」
「わ、わかった。言うから、待って……」
「はーやーくー」
「うぅ、恥ずかしい……にゃん?」
顔を真っ赤にして悶える先輩を見て、思わず笑みが溢れてしまう。ああ、可愛い。食べちゃいたいくらいだ。
「せーんぱいっ」
「はい……」
「あたしだけのニャンコさんになってくれますよね? 答えは聞いてないけど」
「……はい」
「よしよし、良い子ですね」
あたしは先輩の頭を撫でてあげる。彼女は気持ち良さそうに瞳を閉じていた。
(あぁ、幸せ……)
これからもずっと、こうして二人で楽しく過ごせたらなと思う。先輩と一緒なら、きっとどんな困難にも立ち向かえるはずだ。
「せんぱい、あたし、今とても幸せなんです」
「……うん、そうだね。わたしも同じだよ」
先輩と目が合い、自然と微笑む。そして、どちらからともなく唇を重ねた。
「せんぱい、大好きです……」
「わたしもだよ、まっちゃん」
目が覚めると、既に日は高く昇っていた。あたしの隣には誰もいない。どうやら先輩は遊びにでも出かけているらしい。今日が休日でよかった。
「夢じゃないんだよね……えへへ」
あたしは自分の頬をつねってみる。痛みはあるけど、これは現実だ。昨晩の出来事を思い出し、思わず顔が熱くなる。
(まさかあたしとしたことが、せんぱいにペースを握られるなんて……)
思い返すだけで恥ずかしい。だけど、それ以上に満たされた気分になる。
(あたし、今幸せかも)
恋人ができたことで不安もあるけれど、きっと何とかなるはずだ。だって、あたしはこんなにも幸せなんだもの。
「ただいまー」
ガチャリという音と共に玄関の方から声が聞こえてきた。どうやら先輩が帰ってきたようだ。
「おかえりなさい、せんぱ……きゃあ!?」
出迎えようとドアを開けると、先輩が倒れ込んできた。慌てて支えると、彼女の息は荒く、額からは大量の汗が流れ落ちている。どこに行ってきたのだろうか?
「せ、せんぱい? しっかりしてください!」
「ごめ……ちょっと、休ませて……」
「わかりました」
あたしは先輩を抱き抱えると、ベッドまで運んだ。それから濡れタオルを用意し、先輩の身体を拭いてあげる。
「ありがと、まっちゃ……ん」
「無理しないでください。何か飲み物を持ってきましょうか?」
「ううん、大丈夫。それより、少しだけ抱きしめさせて……」
先輩があたしのことをギュッと強く抱き締めてくる。その腕はとても弱々しくて、まるで消えてしまいそうなくらいに感じられた。
「まっちゃん、好き。大好きだよ」
「あたしも先輩のことが好きです」
「ねぇ、まっちゃん。わたし、このままだとダメになりそう……」
「どういうことですか?」
「わたし、まっちゃんがいないと生きていけないかもしれない……」
「大袈裟ですよ」
クスっと笑いながら答える。だけど、先輩は真剣な表情であたしを見つめていた。
「本当だよ。もし、まっちゃんがいなくなっちゃったら、わたしはもう生きていく意味がない。だから、お願い。ずっと側にいてほしい……」
「せんぱい……」
先輩の目から涙がこぼれ落ちる。弱っている先輩はとても色っぽくて、可愛くて、そして何より綺麗だった。あたしはそっと唇を重ねる。
「せんぱいが望むなら、あたしはいつまでも一緒にいますよ」
「本当に?」
「はい。せんぱいのためだけに、あたしはこの命を燃やします」
「ありがとう……。大好きだよ、まっちゃん」
「あたしもです。愛してる……」
もう一度キスをする。すると、先輩の顔から徐々に笑顔が戻ってきた。やはり、この人には笑っていてほしい。そのためならば、あたしは何だってできるだろう。
「せんぱい、元気が出ました?」
「うん。ありがとう、まっちゃん」
「じゃあ、続きをしませんか?」
「いいの?」
「もちろんです」
「嬉しい。まっちゃん、優しくするからね」
「はい」
あたしたちはお互いを求め合うように肌を重ね合わせた。何度も、何度も……。
「まっちゃん、あのね。わたし、なんのために出かけてたのかというとね……」
「はい?」
翌朝、あたしは目を覚ましてからというものの、ひたすら先輩に甘えられていた。今も膝枕をしている状態だ。
「実はこういうのを買ってたの」
先輩はベッドの傍に置いてあった紙袋からネコミミを取り出して頭につける。先輩の金髪に良く似合う、可愛らしいネコミミだった。
「……っ!」
「まっちゃん、猫好きなんでしょ? ……だから、今日はわたし、まっちゃんのネコちゃんだ……にゃん?」
「せ、せんぱい! あたし、嬉しくてどうにかなりそうです!」
あたしは先輩に抱きつくと、そのままベッドに押し倒す。それから、彼女の胸元へと顔を埋めた。
「ま、まっちゃん!?」
「ふにゃぁ……♡」
先輩の甘い香りに包まれ、幸福感で満たされる。やっぱりあたしは先輩が好きだ。たとえ世界中を敵に回しても構わない。あたしだけは絶対に彼女を守ってみせる。
「せんぱい、もっと……にゃんにゃん言ってください!」
「えっ、でも……」
「ほら、早く言わないと襲っちゃいますよ?」
「わ、わかった。言うから、待って……」
「はーやーくー」
「うぅ、恥ずかしい……にゃん?」
顔を真っ赤にして悶える先輩を見て、思わず笑みが溢れてしまう。ああ、可愛い。食べちゃいたいくらいだ。
「せーんぱいっ」
「はい……」
「あたしだけのニャンコさんになってくれますよね? 答えは聞いてないけど」
「……はい」
「よしよし、良い子ですね」
あたしは先輩の頭を撫でてあげる。彼女は気持ち良さそうに瞳を閉じていた。
(あぁ、幸せ……)
これからもずっと、こうして二人で楽しく過ごせたらなと思う。先輩と一緒なら、きっとどんな困難にも立ち向かえるはずだ。
「せんぱい、あたし、今とても幸せなんです」
「……うん、そうだね。わたしも同じだよ」
先輩と目が合い、自然と微笑む。そして、どちらからともなく唇を重ねた。
「せんぱい、大好きです……」
「わたしもだよ、まっちゃん」
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