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26 レオンの真実
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「一週間近く帰ってないし、部屋も片付いてないけど。どうぞ」
「お、お邪魔します」
凄い……なんか『友達の家に遊びに行く』この感じ初めてだ……。キールたちの屋敷にはほとんど呼ばれなかったし、パーティーとかそういう集まりの方が多かったから、新鮮で面白い。
ソワソワとレオンの自宅をキョロキョロと目で見てしまう。冒険者なのに、綺麗で広い部屋を借りている……。A級ともなればこのくらいの部屋の家賃は余裕なのだろうか。
「ふふ……あとで部屋はじっくり見て良いよ」
「あ……ごめん、勝手に見て」
「いいよ、特に面白いものはないけど。ソファーに座って、お茶どうぞ。あとさっき屋台で買った朝食も」
「ありがとう。いただきます」
ここに来る途中で買ったお肉とチーズが入ったホットサンドにかぶりつく。非日常から日常に戻ったと実感し、ほっとしたのか『お腹が空いてたんだな』と食べながら気付いた。
レオンも黙々と食べ進め、一息付いた。
「オレのことを話したい」
「え?」
てっきり、俺のことを問いただされるものだと思っていたので、まさかの真逆の話に驚いた後、言葉が続かない。
「エレンが話したいこともあると思う。その前に、オレに話して良いのか、見極めて欲しい」
レオンの話が見えないが、とりあえず何度も頷いた。
「オレは、ナルカデア王国の依頼で人を探していた。今は亡きリティーダ共和国の血を受け継ぐ、大きな特徴を持った人を。どこにいるかも、いつ現われるかも分からないが、国王が言うには近々、ということだった。オレは依頼を受けたあと、サーリャさんに聞いてみた。人を探しているが、知らないかと。『会えるかどうかは分からないが、運命の人はアキスト王国にいる』と言われ、王国内を転々と回っていた。アキュレには以前にも訪れたが、その時は探し人には会えなかった。エレンの話を聞いて、アルテナでサーリャさんにまた会えば手掛かりが増えるかもしれないと思い、同行した。本当に、自分のためでもあったんだ。すまない。オレが探している人の特徴は『黒髪・黒目で、不思議な力を持つ人』というだけだった。エレン、君は黒髪でも黒い目でもないが、あの時野盗を不思議な力で吹き飛ばした。オレは君がそのリティーダの『愛し子』なんじゃないかと思っている。だが、君が違うというなら、オレはこれ以上追求しない。オレは、君を、エレン自身を大事に思っているから」
レオンが探していた人というのは、俺だったのか……。『愛し子』という言葉は初めて聞くが、リティーダ人の持つ特徴を受け継ぎ、保護魔法が掛けられた人をさしているなら俺のことだろう。
レオンなら、話しても良いと思っていた。だが、それはレオンが一人の友人だった場合だ。レオンが国からの依頼で俺を探していたとなれば、簡単に認める訳にはいかない。俺のことは、アキスト王国内でも王族と一部の公爵家しか知らない話なのだ。個人間の話だけでは済まされない。
「いくつか質問をしても良い?」
「いくつでも」
「その探し人を見付けたとして、その人をどうするつもりなの?」
「国を上げて保護したい考えだ。リティーダ共和国とナルカデア王国はかつて友好関係にあった。300年前にリティーダ共和国が攻撃された際、当時政を支えていた人々が、ナルカデア王国に書簡を送り、『いつか現われるリティーダの愛し子を守って欲しい』と書いていた。国王は代々その意志を受け継ぎ、約束を守ろうとしている」
「保護すると言いながら、その力を悪用したり、他国への牽制に使おうとすることはないの?」
「それはない。安心して良い」
「何故それが言いきれるの」
「何かしようものなら、オレが国王を切り刻んでも守る。国を捨てて共に逃げても構わない。それが、エレンだったらの話だが……」
「国王を……なんて……レオンにそんなこと」
「出来るよ。オレはナルカデア国王陛下に簡単に近付ける地位にある」
「え……?」
「オレはナルカデア王国、現陛下の5番目の息子、レオナルド・ジョゼ・ナルカデア・プロテヘールだ。王位継承権を破棄し、今は公爵となり、自由気ままに過ごすことを許されている」
「え、えぇ……公爵……? 殿下……?」
「元殿下だ」
旧王族なら、どこか高貴な雰囲気と見た目に納得がいく。最後にもう一つだけ、聞いておきたいことがある。
「レオンは、俺がその『リティーダの愛し子』だと思って優しくしたの? サーリャさんのところへ連れて行ったの? 守るって言ってくれたのは、『愛し子』かもしれなかったから……?」
この言い方だと、レオンを責めているようだ。俺自身のことだけを見て、知って、傍にいてくれたのだと思っていた。そうじゃないなら……何故だろう。キールたちの時以上に立ち直れないと思った。悲しかった。
「違う! エレンが愛し子かもしれないとよぎったのは、野盗が吹っ飛んでいったのを見た時だ。言い伝えられていた不思議な力だって、具体的なものは何も無くて、治癒とか、物を動かすとか、そういうものかと思っていたんだ。エレンは黒い色も持ってないし、今まで疑うことも無かった。不思議な力を見たあとも、何より誰より『エレン』の心配をしたんだ。『愛し子』じゃない。エレンの助けになりたい、守りたいと思って一緒にいたんだ。信じてくれ、エレン」
数日ずっと共にいて、レオンの人となりは大体分かっているつもりだ。言えないことは言えないとハッキリ言うし、本当に命懸けで俺を守ろうとしてくれた。今の話も全て本当のことだろうと感じた。
「俺は……レオンを信じるよ」
「お、お邪魔します」
凄い……なんか『友達の家に遊びに行く』この感じ初めてだ……。キールたちの屋敷にはほとんど呼ばれなかったし、パーティーとかそういう集まりの方が多かったから、新鮮で面白い。
ソワソワとレオンの自宅をキョロキョロと目で見てしまう。冒険者なのに、綺麗で広い部屋を借りている……。A級ともなればこのくらいの部屋の家賃は余裕なのだろうか。
「ふふ……あとで部屋はじっくり見て良いよ」
「あ……ごめん、勝手に見て」
「いいよ、特に面白いものはないけど。ソファーに座って、お茶どうぞ。あとさっき屋台で買った朝食も」
「ありがとう。いただきます」
ここに来る途中で買ったお肉とチーズが入ったホットサンドにかぶりつく。非日常から日常に戻ったと実感し、ほっとしたのか『お腹が空いてたんだな』と食べながら気付いた。
レオンも黙々と食べ進め、一息付いた。
「オレのことを話したい」
「え?」
てっきり、俺のことを問いただされるものだと思っていたので、まさかの真逆の話に驚いた後、言葉が続かない。
「エレンが話したいこともあると思う。その前に、オレに話して良いのか、見極めて欲しい」
レオンの話が見えないが、とりあえず何度も頷いた。
「オレは、ナルカデア王国の依頼で人を探していた。今は亡きリティーダ共和国の血を受け継ぐ、大きな特徴を持った人を。どこにいるかも、いつ現われるかも分からないが、国王が言うには近々、ということだった。オレは依頼を受けたあと、サーリャさんに聞いてみた。人を探しているが、知らないかと。『会えるかどうかは分からないが、運命の人はアキスト王国にいる』と言われ、王国内を転々と回っていた。アキュレには以前にも訪れたが、その時は探し人には会えなかった。エレンの話を聞いて、アルテナでサーリャさんにまた会えば手掛かりが増えるかもしれないと思い、同行した。本当に、自分のためでもあったんだ。すまない。オレが探している人の特徴は『黒髪・黒目で、不思議な力を持つ人』というだけだった。エレン、君は黒髪でも黒い目でもないが、あの時野盗を不思議な力で吹き飛ばした。オレは君がそのリティーダの『愛し子』なんじゃないかと思っている。だが、君が違うというなら、オレはこれ以上追求しない。オレは、君を、エレン自身を大事に思っているから」
レオンが探していた人というのは、俺だったのか……。『愛し子』という言葉は初めて聞くが、リティーダ人の持つ特徴を受け継ぎ、保護魔法が掛けられた人をさしているなら俺のことだろう。
レオンなら、話しても良いと思っていた。だが、それはレオンが一人の友人だった場合だ。レオンが国からの依頼で俺を探していたとなれば、簡単に認める訳にはいかない。俺のことは、アキスト王国内でも王族と一部の公爵家しか知らない話なのだ。個人間の話だけでは済まされない。
「いくつか質問をしても良い?」
「いくつでも」
「その探し人を見付けたとして、その人をどうするつもりなの?」
「国を上げて保護したい考えだ。リティーダ共和国とナルカデア王国はかつて友好関係にあった。300年前にリティーダ共和国が攻撃された際、当時政を支えていた人々が、ナルカデア王国に書簡を送り、『いつか現われるリティーダの愛し子を守って欲しい』と書いていた。国王は代々その意志を受け継ぎ、約束を守ろうとしている」
「保護すると言いながら、その力を悪用したり、他国への牽制に使おうとすることはないの?」
「それはない。安心して良い」
「何故それが言いきれるの」
「何かしようものなら、オレが国王を切り刻んでも守る。国を捨てて共に逃げても構わない。それが、エレンだったらの話だが……」
「国王を……なんて……レオンにそんなこと」
「出来るよ。オレはナルカデア国王陛下に簡単に近付ける地位にある」
「え……?」
「オレはナルカデア王国、現陛下の5番目の息子、レオナルド・ジョゼ・ナルカデア・プロテヘールだ。王位継承権を破棄し、今は公爵となり、自由気ままに過ごすことを許されている」
「え、えぇ……公爵……? 殿下……?」
「元殿下だ」
旧王族なら、どこか高貴な雰囲気と見た目に納得がいく。最後にもう一つだけ、聞いておきたいことがある。
「レオンは、俺がその『リティーダの愛し子』だと思って優しくしたの? サーリャさんのところへ連れて行ったの? 守るって言ってくれたのは、『愛し子』かもしれなかったから……?」
この言い方だと、レオンを責めているようだ。俺自身のことだけを見て、知って、傍にいてくれたのだと思っていた。そうじゃないなら……何故だろう。キールたちの時以上に立ち直れないと思った。悲しかった。
「違う! エレンが愛し子かもしれないとよぎったのは、野盗が吹っ飛んでいったのを見た時だ。言い伝えられていた不思議な力だって、具体的なものは何も無くて、治癒とか、物を動かすとか、そういうものかと思っていたんだ。エレンは黒い色も持ってないし、今まで疑うことも無かった。不思議な力を見たあとも、何より誰より『エレン』の心配をしたんだ。『愛し子』じゃない。エレンの助けになりたい、守りたいと思って一緒にいたんだ。信じてくれ、エレン」
数日ずっと共にいて、レオンの人となりは大体分かっているつもりだ。言えないことは言えないとハッキリ言うし、本当に命懸けで俺を守ろうとしてくれた。今の話も全て本当のことだろうと感じた。
「俺は……レオンを信じるよ」
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