極悪令息と呼ばれていることとメシマズは直接関係ありません

ちゃちゃ

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39 唾液に媚薬成分は入っていません

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 ずっと気持ちよくて、レオの舌もおいしい……。舌が絡み合い、上顎の裏や歯茎の奥まで口内を全て舐められる。今まで味わったことの無い快感に震える。お互いの唾液を交換し合い、飲み込んだ。もっと……。
 
「ティア、このままずっとキスしていたいけど、これ以上続けるとそれだけじゃ済まなくなるから……」
 
 俺は顔を離し、ぼんやりとレオを見つめる。自分がふわふわしているのが分かる。レオにくっついていたくて、首すじに顔を押し付けぐりぐりと鼻で擦り、匂いを嗅ぐ。今までも傍にいたのにこんなに良い香りがしてたっけ……? すんすんと嗅ぎながらペロリと舐めた。汗ばんだレオの肌も甘美な味がした。
 
「参ったな……。でも体液が甘く感じるだけで催淫効果はないはずだけど……。ティア、ティア。オレの言葉が聞こえるか?」
 
 キスを制止させられたため、レオの首をペロペロと舐めていた俺はレオの声にそろりと顔をあげた。レオの顔が困ったような、怒ったような、切羽詰まったような表情をしていた。舐めちゃダメだった……? 嫌だった……?
 
「レオ、怒った……? 嫌だった……? ごめん……」
「怒ってないよ。むしろティアがオレを求めてくれて嬉しい。おかげでオレは余裕がなくてかなり限界なんだ」
「レオが嬉しいなら嬉しい」
「本当に素直で可愛いね、ティア。でもキスだけでこんな状態になるのはおかしい。とりあえずお茶飲んで」
 
 レオにお茶のカップを渡され、何故か緩やかにしか動けない手で受け取り、ゆっくりと飲み干した。
 
「もしかしたら愛し子やリティーダ人は体液交換による影響が強く出るのかもしれない。体液には魔力が含まれている。ほとんどの人は体内にかすかにしか魔力がなく、使うことも出来ない、失われた力なんだ。だからほぼ全ての人には影響がないものだ。だけどティアは魔法が使えるほど体内に魔力を蓄えている」
 
 俺の知らないことばかりだ。先程よりも体にこもった熱が抜け、レオの言葉が脳にスっと入ってくるようになった。魔法が使えるのは血によるものだと思っていたが、体内にある魔力を使っていたということなのか……。
 そもそもアキスト王国では魔法の概念も魔力の存在も知られていない。だからこそ尚俺は自身の力を隠す必要があったのだ。より異質・・とならないために。
 
「ここからはオレの憶測だが……他人の魔力が体内に入ることで魔力が混じり合い、脳や体など、他の機能の活動を低下させていたんじゃないかと思う……」
「確かに……レオの舌を舐めてたら次第にぼんやりしてきた……」
「オレの国に少しだけ残っていたリティーダ共和国の書籍の中に、リティーダ人の書いた魔法に着いてあるものがある。『自分以外の魔力を取り込む際、定着させるために無防備な状態になるので、安全を確保した環境で、信頼出来る者と行うこと』と書いてあった。ナルカデア王国も残念ながら使用出来る程の魔力を持っている者がいないため、この意味が分からなかったが、ティアの反応を見て、こういうことじゃないかと思ったんだ。敢えて言葉を作るとしたら、魔力酔いとでも言うのかな」
「え……じゃあレオとキスしたら毎回ふわふわのぐでぐでになるってこと!?」
 
 毎回あんなことしちゃうなんて恥ずかしくて死ぬ!
 少しずつ頭がスッキリしだした俺には、先程の自身の行動が信じられず、目も当てられない。
 
「多分オレの魔力が馴染んだら、そういう症状は出なくなると思う。ただ、馴染んだ後も定期的に魔力を吸収しないとまた酩酊状態になるかもしれない」
「馴染む……って……」
 
 つまりレオの魔力に対する体の抵抗が無くなるまでキスするってこと……!? もしかして唾液とか汗とかに反応して舐めたがったのは、魔力欲しさに体が反応したってこと……? なんとなく仕組みを理解してくると、とてつもない羞恥心が湧いてくる。昔のリティーダ人どうやってたんだよ……! どうしたら良いのか教えてくれよ……!
 
「びっくりした……? 大丈夫か……?」
「うん……。あの……でも……」
「ん?」
「その……俺は自分の意思でレオとキスしたし、もっとしたかったよ……」
「………」
「心地よくて……だから、もしまたキスして俺がふわふわしてても止めないで欲しい……」
「っティア……! あー……、ちょっとトイレ行ってくる」
「どうしたの? 大丈夫?」
 
 さっきまで普通だったのに……、と不思議に思って見ていると、レオがソファーから立ち上がり、レオの腰が丁度俺の目の前にきた……。
 
「え!!!?」
「あー、しまった。目線の位置まで考えられる程余裕が無かった」
 
 レオのものが……パンツからでも分かるくらい大きく張っていた。え……いつから……? それに……。
 
「レオ、こんなになってるのに……どうしてそれ以上はしなかったの……?」
 
 キス以上は……嫌……とか……かな。他人から愛され慣れていないので、自信のなさがネガティブな想像をしてしまう……。俺が落ち込んでいるのが分かったのか、レオが俺の頭を撫でたあと、両手で俺を抱きしめた。
 
「思考力が低下して体が上手く動かない状態の子に、色々出来る訳ないだろう? お互いに愛し合っていたとしても、魔力定着中のティアはいわゆる酩酊状態って感じなんだ。意思判断が鈍っている状態。本当に良いとか、本当は嫌とか、分からなくなってるかもしれないだろ?」
「レオにされるのなら……良いのに……」
「ティアの素の、そのままの反応を見たいんだよ。せめて初めては」
 
 そう言っておでこにキスをしてくれる。レオが俺を大事にしてくれていることが伝わってくる……。余裕が無いと言いながら、俺よりも大人で、余裕があるからこそ俺の気持ちを一番に考えて、無理強いしないように思いやってくれてる。俺はキスだけで幸せだし、満足だけど、レオは20歳の青年で、多分だけど経験豊富だ……。俺も何か……してあげたいな……。
 
「……俺が……」
「ん?」
「俺が……触っても良い?」
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