極悪令息と呼ばれていることとメシマズは直接関係ありません

ちゃちゃ

文字の大きさ
68 / 79

65 次のステップへ

しおりを挟む
 目が覚めると身綺麗になっていて、シーツも新しいものに変わっていた。対応したのがレオなのか、ジェイムズなのか、はたまた違う使用人なのか……とにかく真実を追求するとこっちが火傷を負いそうだが、レオにはお礼を言っておきたい。
 
「おはようレオ。その……色々と綺麗にしてくれてありがとう」
「おはようティア。体は大丈夫?」
「ぅえ!? だ、大丈夫だ」
 
 俺の隣でベッドに横たわるレオの朝からキラキラした顔に微笑まれ、眩しくてぎゅっと目を閉じる。サラサラとした清潔なシーツを口元まで寄せるとレオがシーツごと俺を抱き締めてきた。
 
「なに? 今更恥ずかしくなったの?」
「なんか……幸せだなって……思って」
 
 目が覚めるとレオがいて、それが当たり前になったことが幸せ。半年前には想像出来なかったことだ。
 
「俺、レオにすごく愛されてるんだなって実感して」
「ちゃんと伝わってる?」
「うん。最初はちょっと不安だったし、いつか心が離れちゃうかもって怖かったけど、毎日好きって言ってくれるし……」
 
 毎日俺を気持ち良くしようとするくせに、自分のことは後回しで無理やり体を繋げようともしないし。
 
「ティアには愛されている自覚とオレ無しでは生きられない体が必要だと思って」
「う……もう十分自覚しました」
 
 レオ無しでは生きられない体ってえっちな意味も含まれてるよな……。確かにほぼ毎日睦み合って、たまにそういうのが無い時は物足りないなって……ことも……。
 
「その……レオは俺の心と体が追いつくまで待っててくれたでしょ?」
「あぁ。オレはティアとこれからも、死を分かつまでずっと愛し合いたいからな。時間はたっぷりあるし、本当にオレに心も体も人生も委ねられると思ってくれるまで待とうと思ってる」
「……いいよ……」
「え?」
「だから……レオに俺の全てを委ねたいし、レオのこれからの人生は俺が丸々貰いたいなって」
「それって……」
「もう準備出来てるのに……。さ……最後まで……しないの?」
「……ティ……ティア……!!」
 
 顔が熱くなりながらも懸命にレオに心の内を話す。じゃないとレオは俺と最後まで手を出さなそうだ。恥ずかしいけど、ちゃんと話すことの大事さを学んだんだ。
 
「本当にいいの? 最後まで愛したいしオレは深く繋がりたいけど……」
「男に二言は無い。俺も……同じだから」
 
 俺だって愛する人と最後まで結ばれたい。まさかお尻に陰茎を入れられるなんて思って無かったけど……。レオなら良い。
 
「お尻……レオのモノが入るかな……」
「んぐぅ!」
「え!? やっぱり無理かな!?」
「いや、大丈夫。ずっと解してきたし、ちゃんと入るようにしっかり準備するから大丈夫だよ」
「うん……。もし俺がやる必要があることがあれば教えて欲しい」
「ティアにお願いしたいのは二つ。腸を綺麗にするお茶を飲んで、お風呂のホースで洗浄しよう。洗浄はオレが一緒にする」
「せ、洗浄?」
「大丈夫!! ちょっと苦しいし、ティアなら恥ずかしがるかもしれないけど、これから何度もやることだよ」
 
 暗に慣れろということか。まぁどんな初めてもレオによって鳴らされてきたから大丈夫かな……、と嫌な予感はするものの無理やり楽観視することにした。
 
 仕事でシャムと共に再び外国に行ったお兄様と、多忙を極めているお父様が屋敷に不在とはいえ、今更だけど伯爵邸で最後まで致すことは出来ないという俺とレオの意見一致により、レオの借りているアパートで一泊することになった。
 母に外泊許可を貰いに部屋に行くと、すぐに許可が下りると同時にジェイムズがやって来て肩掛けタイプのカバンをレオに渡していた。中身は分からないが、おそらく寝所で必要な物だろう。お母様が「鬼の居ぬ間に頑張りなさい」と言っていたから何をするかバレている。屋敷内のことを全て把握している優秀なジェイムズがいる限り連日のアレコレも筒抜けだろうからどうにもならないけど居た堪れない。
 
「男性同士は必要だと聞いて取り寄せたから、こちらも飲んでいきなさい」
 
 と使用人から腸を綺麗にするお茶らしきものが出された時は流石に座ったまま倒れそうになった。みんなに『今日俺がレオに抱かれる』ことを知らしめてるとか恥ずかしすぎない? 貴族ってみんな平気なの? そうなの? 教えてフリードリヒ先生。
 めでたいムードに耐えられなくなりお茶を一気に飲み干し、レオの手を掴み部屋に戻り変装と出かける準備をして玄関ホールに向かうと、お母様と屋敷の使用人たちに待ち構えられていて、盛大に見送られた。
 
 お父様たちみたいに過保護にされるのも、お母様たちのようにこうも大歓迎されるのも反応に困る。どちらにしても、俺を愛してくれていて、今まで心配してくれてたんだな……と感じるので、そのまま受け止めることにする。
 
 
 街に出かけるのはレオとのデートぶりだ。心が浮き足立つままレオの手を取り街中を進んでいく。
 
「調理せずに飲み食い出来る物を買っておこう」
「レオはずっとうちにいるから食材無いもんね」
「それだけが理由じゃないんだけどね……」
 
 二人で買い物をしながら久しぶりの街ブラデートを楽しみつつ、久しぶりのレオの家に着いた。
 
「そういえば、飲んだお茶ってどんな効果があるの?」
「ディオーネ茶っていうんだけど、腸に付着したものを綺麗に溶かしてくれるんだよ。この後少しお腹が緩くなるかもしれないけど、痛くはないと思うから」
「レオの家のトイレで用を足すことに……?」
「その後もっと凄いことやるから気にしないように」
「うぅ……」
「それまで二人でゆっくり過ごそうか」
 
 いつか来る腹痛に戦々恐々としながら、レオの部屋で本を読んだりソファーでレオに後ろから抱き締められたまま昔話を話し合ったりして時間が過ぎていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結済】あの日、王子の隣を去った俺は、いまもあなたを想っている

キノア9g
BL
かつて、誰よりも大切だった人と別れた――それが、すべての始まりだった。 今はただ、冒険者として任務をこなす日々。けれどある日、思いがけず「彼」と再び顔を合わせることになる。 魔法と剣が支配するリオセルト大陸。 平和を取り戻しつつあるこの世界で、心に火種を抱えたふたりが、交差する。 過去を捨てたはずの男と、捨てきれなかった男。 すれ違った時間の中に、まだ消えていない想いがある。 ――これは、「終わったはずの恋」に、もう一度立ち向かう物語。 切なくも温かい、“再会”から始まるファンタジーBL。 全8話 お題『復縁/元恋人と3年後に再会/主人公は冒険者/身を引いた形』設定担当AI /c

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

「自由に生きていい」と言われたので冒険者になりましたが、なぜか旦那様が激怒して連れ戻しに来ました。

キノア9g
BL
「君に義務は求めない」=ニート生活推奨!? ポジティブ転生者と、言葉足らずで愛が重い氷の伯爵様の、全力すれ違い新婚ラブコメディ! あらすじ 「君に求める義務はない。屋敷で自由に過ごしていい」 貧乏男爵家の次男・ルシアン(前世は男子高校生)は、政略結婚した若き天才当主・オルドリンからそう告げられた。 冷徹で無表情な旦那様の言葉を、「俺に興味がないんだな! ラッキー、衣食住保証付きのニート生活だ!」とポジティブに解釈したルシアン。 彼はこっそり屋敷を抜け出し、偽名を使って憧れの冒険者ライフを満喫し始める。 「旦那様は俺に無関心」 そう信じて、半年間ものんきに遊び回っていたルシアンだったが、ある日クエスト中に怪我をしてしまう。 バレたら怒られるかな……とビクビクしていた彼の元に現れたのは、顔面蒼白で息を切らした旦那様で――!? 「君が怪我をしたと聞いて、気が狂いそうだった……!」 怒鳴られるかと思いきや、折れるほど強く抱きしめられて困惑。 えっ、放置してたんじゃなかったの? なんでそんなに必死なの? 実は旦那様は冷徹なのではなく、ルシアンが好きすぎて「嫌われないように」と身を引いていただけの、超・奥手な心配性スパダリだった! 「君を守れるなら、森ごと消し飛ばすが?」 「過保護すぎて冒険になりません!!」 Fランク冒険者ののんきな妻(夫)×国宝級魔法使いの激重旦那様。 すれ違っていた二人が、甘々な「週末冒険者夫婦」になるまでの、勘違いと溺愛のハッピーエンドBL。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

COCO
BL
「ミミルがいないの……?」 涙目でそうつぶやいた僕を見て、 騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。 前世は政治家の家に生まれたけど、 愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。 最後はストーカーの担任に殺された。 でも今世では…… 「ルカは、僕らの宝物だよ」 目を覚ました僕は、 最強の父と美しい母に全力で愛されていた。 全員190cm超えの“男しかいない世界”で、 小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。 魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは── 「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」 これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。

番解除した僕等の末路【完結済・短編】

藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。 番になって数日後、「番解除」された事を悟った。 「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。 けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。

希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう

水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」 辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。 ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。 「お前のその特異な力を、帝国のために使え」 強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。 しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。 運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。 偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!

処理中です...