二人の太極図

水妖イヨタ

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一章

覚醒する意識

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「あ、通知きた」

僕はメニューを開き確認する。
それはテストプレイヤーのメッセージだった、内容は、

「地下にボスがいる?!」

「えぇー、まだボスいるのー」

「それで何階層あるんですか?」

「それは書いてない」

僕は開発者からのメッセージが無いので隠しボス的な存在だと思った。

「どうする?今度こそ攻略しに行ってみるか?」

「兄さん攻略したときに来る通知が来てないってことはまだ一層目は攻略されてないってことだよね?」

「多分、そうだと思う」

「ゲームのボスって階層が上がるごとに強くなるじゃん?」

「うん」

「じゃあ、一階層目のボスって一番弱いってことだから私は行ってみるのありだと思う」

ごもっともな意見だ、だが、ボスの情報が何も無い状態で攻略し行くのは無謀じゃないか?
僕はレベルティラスであったことを思い出しながらそう思った。
またあんなことになったら僕は今度こそ妹と陽向を守り切れるだろうか?

「兄さん、もしかして私たちのこと心配してる?」

「うん、まあ、能力のおかげかもしれないけど、たまたま助けれただけで、今度も守れる自信は、」

「水月さん、私たちも水月さんに頼るつもりはないですよ、自分の身は自分で守りますよ」

「でも、」

「兄さん、じゃあ、攻略前に様子を見て作戦を立てよう、これならいいでしょ」

「ま、まあ、それなら」

今度こそ三人の中で誰一人欠けることが無いようにしっかり作戦を立てて挑もう。
僕は心の中でそう決心した。

僕たちはその前に武器を買いに行くことにした。

「いらっしゃいませー」

僕たちは数十分、自分の武器を選んだ。
その中で僕は、日本刀のような刀を見ていた。

「いい目してるね、お客さん」

そこでお店の店主の大男が話しかけてきた。

「この刀はこの世界に存在する刀、二大刀身の一つ、妖刀、黒雲流殺(こくうんりゅうさつ)だよ」

「これはいくらですか?」

「うーん、いくらだろうな、俺も分からん、売りもんじゃないんだ」

「売り物じゃない?」

「あぁ、そうさ、なんてったって今までこれを使いこなした人間は一人しかいねぇんだ」

「誰ですか?」

「王、ただ一人、お客さんがこれを使いこなせたらこれをくれてやる」

「え?いいんですか?」

「でもな、この刀は自分から主人を決める、主人と決めてないやつが使おうとすると、腕がちぎれる。そんだけ危険な刀なんだ」

「分かりました」

「そんだけだ、諦めがついたか?」

「いや、僕に使わせてください」

「はぁ?本気で言ってんのか?話聞いてたか?」

「はい、聞いてましたよ、その上で使わせてくださいとお願いしてるんです」

「変な奴もいるもんだな、いいぜ、でも責任は取らねぇからな?」

「はい、分かりました」

そして僕はその刀をさやから鞘から抜いた。
そして、能力を発動する、
だが、

「クッなんだこれ」

刀がビクとも動かないッ
腕がやめろと拒否してくる。
これ以上すると千切れるぞと僕の腕が言っている。
だが、僕は能力をさらに発動する!

「ッ!」

腕が悲鳴が上げている。
僕は痛みとともに体のリミッターを解除していく。
そして、

「うぉぉぉぉ!!」

「あ、あがった」

「は?まじでか?!お客さん!すげぇな!」

「兄さん!やったね!」

「これは主人として認められたってことですか?」

「あぁ、そうだ、約束通りそいつをやるよ」

「ありがとうございます、あと、僕の持っているナイフを強化してもらいませんか?」

「あぁ、いいぜ、千Gだ」

僕たちはそれぞれ武器を買った。
僕は刀、ナイフの強化、妹は剣、陽向は短剣の強化をしてもらった。
そして僕たちはボス攻略へ向かった。

メッセージに書いてあった場所に僕たちはやってきた。
その場所には地下への階段がある、僕たちはその階段を下りていく。
下りた先には広い空間があり、その先に大きな扉があった。
メッセージを読んで来たであろう人たちが数人いたので話を聞いてみた。

「中に入らないんですか?」

「今、中で戦ってるんだ」

「順番待ちみたいな感じですか?」

「いや、俺たちはもう入らないよ」

「なんでですか?」

「もう、あんな思いはしたくない、怖いんだよ」

「一度やられたんですか?」

「あぁ、一度死んださ、現実世界と同じぐらいの痛みを味わって」

この世界で死んでも生き返れるらしい、だけど、現実と同じ痛みを味わうらしい。
そのことを考慮すると妹と陽向を戦闘に巻き込ませたくはないと思った。

「あの、ボスの情報教えてもらうことってできますか?」

「あぁ、別ににいいが条件がある、金をくれ、一万Gだ」

僕たちはレベルティラスでの一件で倒した人のお金を持っているので即座に出した。

「まず、ボスはケンタウロスのような見た目だった。攻撃は持っている槍を投げたり、突進して刺してきたりしてきた、スピードは速かったが、走り始めるときの溜めは長かった」

「ありがとうございます」

それじゃあ、攻撃の隙があるのは走り終わった時か、だが、相手の目の前での攻撃は避けなければ。
出来り限り後ろに回って攻撃だな。
僕はそのことを二人に教えた。

数十分後、扉が開いた、どうやら終わったらしい。
前に入った人が勝ったのか、負けたのかは見ればすぐに分かった。
ボスが五体満足の状態で堂々と立っていたからだ。

「よし、行くか!」

その声とともに僕たちは扉を通り中に入っていった。

入った瞬間ボスが叫ぶ。

「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」

なんだこいつ、声だけで倒れそうなくらいの声で叫んでいる。
叫び終わる何かを溜め始めた。
まさかッ!

「二人とも!横に走れ!」

「ッ!」

風を切って予想通りこちらに走ってきた。
僕はそれを避け後ろに回り込む。
すかさず僕は攻撃をした。

「今だ!」

掛け声と同時に攻撃をくらわすと体力ゲージがボスの頭上に出現した。
今の攻撃では少ししか削れなかった。
そしてボスがまた溜めに入る。

「避けろ!」

掛け声と同時に避け、後ろに回り攻撃をくらわす。
初めの攻撃よりもダメージが入り、六分の二を削ることが出来た。
次は槍を投げる態勢に入る。

「みんな!槍の攻撃が来るぞ!」

「わかった」

三人とも避ける。
そして距離を詰めていき、攻撃を仕掛ける。

「よし!半分削れたぞ!」

半分削れた、と思った時、
槍の攻撃を仕掛けてきた。
ボスの前に居た僕はその攻撃で吹っ飛ばされた。

「兄さん!大丈夫!」

「だい、じょうぶだよ」

正直、痛くて動けない、それを好機と捉えたように突進してくる。

「グッあぁぁぁぁ!」

「兄さん!」

「水月さん!」

僕は押しつぶされ、体力ゲージが減っていく。
体力が五分の一まで減ってしまい、思わず能力を発動してしまった。
リミッターが解除されていく。

「うぉぉぉぉぉ!」

「兄さん!考えなしに突っ込んだらダメだよ!」

僕はボスの周りを回りながら切り裂いていく。
ボスは叫び苦しがっている。

ボスの体力が六分の一まで減った時、槍が僕の目の前にッ!!
気づけば僕は吹っ飛ばされて体力ゲージがもう見えないぐらいまで減ってしまった。
能力でリミッターを解除したことで、体への負担が増え、もう体が動かない。
そんな時、

「しょうがねぇなー、俺がやってやるよ、水月、能力を発動して変われ」

そんな声が聞こえた。
その声と同時に僕は能力を発動し、
意識が消えた。


「はぁ、しょうがねぇな」

俺は立ち上がり、武器をナイフに変えた。
そして能力を解除し反撃を開始する。

「おい、わかってんだろぉな」

「ぐぁぁぁぁ!」

「うるせぇんだよ、今黙らせてやるよ」

俺は飛び、首元にナイフを当てる。
そして、

ボスは倒れ、部屋の奥にある扉が開き、階段が現れる。
そして、俺は意識を水月に意識を変わってやった。


僕は暗い空間に居た。
その空間の先には僕じゃない誰かが見ている光景が映っている。

「おい、水月、目ぇ覚めたか?覚めたなら答えろ」

男は言った、

「お前、恋月守る気あんのか?」

そんな言葉を...



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